8日と14万円を使って たった6時間の台湾へ行った僕だけが知る癒やし
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記事:きよっち(ライティング・ゼミ3月コース)
8日と14万円を使って、6時間の台湾を旅行したことがあるだろうか?
2018年1月……真冬の東京晴海埠頭に僕はいた。
悔しい気持ちで東京駅までのバスを待っていた。
2018年1月は、東京都でも20センチをこえる積雪があるほど寒く
ひどく荒れた天候が続いた月だ。
「8日と14万円を使って、6時間の台湾を旅行した」
この旅の帰り道の話のことだ。
航空機ならば、台湾までは羽田からたった3時間程度。
2018年はもうすでに格安航空会社は浸透している頃だ。
往復でも羽田空港から数万円かければ遊びに行けてしまう。
それを僕は、8日と14万円という、
無駄に感じる時間とお金をつかって6時間だけ台湾にいってきたのだ。
「たったの6時間」だよ……日帰り旅行にでもいったかのような時間じゃないか……
さかのぼること、2017年8月。
僕は多忙を極めていた。今思えば、心の余裕はほとんどなかった。
うまくいくことより、うまくいかないことのほうが多かった。
あるショッピングセンターの旅行窓口のクルーズ船の旅の案内が目に止まった。
クルーズ船旅行というと、豪華で高いイメージをするかもしれない。
しかし、パンフレットを読んでみると、意外や意外!
1泊17,000円程度でクルーズ船に乗ることができるのだ。
しかも、食事付き。夕飯は毎晩コースディナーとある!
僕はすぐに申し込んだ!
2018年1月19日。
僕の目の前には、12階建ての大きな船があった。
出港の日だ。
旅程は
・名古屋
・沖縄那覇
・台湾基隆
・沖縄宮古島
・東京晴海埠頭
を7泊8日で巡る旅だ。
船には
毎晩パーティーが開かれるラウンジ
毎晩コースディナーを提供してくださるダイニング
甲板にはプールとジャグジー
などがある。テレビで見たことある風景だ。
名古屋港を出てから那覇港までは、丸一日かかる。
出港すると、ただただゆっくりと大海原を進む。
とにかく何もない。ただただゆっくり進むだけだった。
船はイタリア船籍の船で、多様な人々が旅を楽しんでいた。
夜のディナータイムでは、となりの席に座ったマダムの旅の話を聞く。
マダムは、年の半分は海の上にいるとのこと。
世界中の港に行ったマダムの話は、僕の好奇心をかきたてる。
気持ちに余裕がなかったので仕事を休業宣言した上で僕はこの船に乗った。
この選択は間違ってなかったと思った。
クルーズ船は豪華な旅をイメージしていた。
しかし、実際はとても壮大なリラクゼーション施設だった。
ゆったりした時間を手に入れ、多様な人々を通じて新しいことを知っていくことができる。
脳の中がクルーズの体験を通じて、入れ替わったのだ。
しかし、そう思っていたのも一晩のことである。
翌日、那覇港につくと船内にアナウンスが響き渡る。
「悪天候により、那覇港への接岸をあきらめ、台湾基隆港へ向かいます」
船内がざわつく……
東京でも大雪が降るような大荒れの1月だ。日本全国の海も大荒れだったのだ。
だめなものはだめだ。
そう思い海を眺められるラウンジのソファで昼寝をした。
台湾基隆に到着。基隆は活気がある港町だった。
バスツアーにて、台湾の観光地も回ることができた。台湾に停泊する時間は6時間。
6時間を楽しむには十分なバスツアーだった。
「さぁ! 次は宮古島だ!」
と思って一晩が明けたが
「悪天候により、宮古島港への接岸をあきらめます。予定にはないですが鹿児島港へ向かいます」
どこかで聞いたようなセリフが船内に響く。
「まぁ……鹿児島行ったことないし……」
と、どこか自分に言い聞かせるように残念さを押しつぶす。
しかし、その数時間後には
「気象庁の情報によりますと、鹿児島への接岸も不可能と予測します。このまま東京へ向かうこととします」
というアナウンス。
なんということだ!!
8日間をつかって、行くことができたのが6時間の台湾だけということが決定した瞬間だった。
8日間どころか、14万も使って。だ……
この船に乗っている人々以外で、こんな体験をしたことがあるひとがいるだろうか……
その夜、例のマダムと話す。
「これも船旅ね。あなたもそれを楽しんでいるように見えるわよ」
確かにそうだった。
ゆっくりと進む時間、人々と交流する楽しみ。
ほとんどの経由地に寄ることができなかったために、海を見ながら、ただ眠っていた。
頭の中がクリアになった。
結果的に悪天候も、神が与えてくれたのだろう。
そして、何より、この体験を、今こうして文章にしているのだ……
マダムはお見通しだったのだろう!
気持ちの余裕がないときには
とにかく強制的に時間がゆっくりとなる場所へ行こう
そう思えるようなきっかけでもある体験だった。
が……しかし……
いざ船を降りてみると感じる……
やっぱり……
8日と14万は惜しいよ……
***
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