都会の人間関係は“足湯”的、田舎は“お風呂”的
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記事:溝端直毅(ライティング・ゼミ集中コース)
都会の人間関係が寂しかった。だから田舎に移住した。
僕は、そんな人間だ。都会にいたとき、いろんな人やコミュニティと関わっていたが、バットがボールの芯を捕らえてないというか、「なんか違う」感があった。
でも、田舎に来てようやく、ボールがミットにバシンと収まったような感じがしている。
これについて考えていて、「都会の人間関係は“足湯”的、田舎は“お風呂”的」とでも言えるんじゃないか、という気がしてきた。
これは、あくまで僕の感覚である。だが、僕個人の内面を掘り下げれば、他の人にも通じる点があるかもしれない。
だから、人付き合いのあり方に関心のある人は、よければ参考までに読んでみてほしい。
僕は、千葉県出身で、30代前半まで東京で働いていた。その後、香川県の三豊(みとよ)市という田舎町に移住し、以後、そこでリモートワークをしながら暮らしている。
千葉の実家があったのは、いわゆる「ニュータウン」と呼ばれる場所だった。住人の多くは東京に通う通勤族で、「地域性がないのが地域性」とでもいうようなエリアだった。
そんな土地で高校まで過ごし、大学以降は東京に出て、国分寺、江戸川区など、いくつかの場所に住んだ。職場は、一時期を除いていつも都内だった。
そんな東京生活における、僕の人間付き合いは、どうだったのか。
仕事以外に、僕はヨガをやったり、農業の勉強会に参加したりと、いくつかのサークルや団体に参加していた。
ただ、その中で強く感じていたのは、
「飲み会や団体のイベント以外で、会う機会がない」
「(それ以外で会おうと思うと)わざわざ理由をつくって声をかけないといけない」
ということだった。
僕は、体があまり強くない。だから、休日は仕事疲れで、わざわざ声をかける気力が残ってないこともしばしばだった。
恋愛も失敗続きだったので、「このまま結婚できないと、孤独死まっしぐらだな」と危機感を抱いていた。
さらに、都会にいて物足りなかったのは、あるテーマのコミュニティ(例えば、農業とかヨガとか)に参加しても、メンバーとはそのテーマ以外の話題をするのが難しかったことだ。
彼らとは、そのテーマに関する集まり以外で会うことはない。だから、必然的に、関係がそれ以外の側面に広がっていかないのだ。
これに対して、三豊市に移住した後は、どうか。
都会に対して、僕はより「全体的」な関わり方をすることが増えたように感じている。
つまり、「同じ人と顔を合わす機会が多くあり、その人のさまざまな側面を深く知れる」ということだ。
例えば、僕には、多世代が交流するコミュニティスペースを運営している友達がいる。
彼女とは、スペース運営に関する議論をしたり、一緒にイベントを開催したりすることがある。
ただ、三豊市は人口約55,000人の町だが、このくらいの規模だと、彼女と顔を合わせる場面は他にもいろいろある。
例えば、地域のマルシェや祭りで会ったり、海岸清掃のボランティアで一緒になったり。スーパーでばったり出くわすこともある
そんな時、お互いの生活に関する雑談が広がることも多い。また、彼女が子どもを連れていると、子どもとの交流も生まれたりする。
このような関係性は、僕にどんな変化をもたらしたか。
ひとつは、他の人たちの人生を、より想像しやすくなったことだ。
たとえば、僕は独身だが、三豊市では子育て中の友人たちがたくさんいる。それによって、「この人は、子どもの受験で忙しいんだな」「お子さん、イヤイヤ期なんだな」といったことを想像できるようになった。
それによって、他者とのより深い繋がりが感じられるようになった。また、自分自身の人生も、いろんな側面から深く考えられるようになったと感じている。
最初に、「都会の人間関係は“足湯”的、田舎は“お風呂”的」だと書いた。
これはつまり、都会の場合、人間関係はより「局所的」「部分的」になるのに対し、田舎ではより「全体的になる」(=どっぷりつかる)ということだ。
足湯的な関わりの場合、心地のよい部分だけを選んで関わることができる。代わりに、全身の疲れはうまく取れない。
その一方で、お風呂では、全身をそこに浸す。だから、そのお湯の温度や水質が合っていると、深い癒しが得られる。
結局、僕が求めていたのは、こういう全身での人との関わりだったのだろう。
ただ、お風呂の場合、そのお湯が冷たすぎたり、熱すぎたりすると、”足湯”よりも大変なことになる。
田舎の人間関係が嫌いになってしまう人というのは、つまり、このお湯がうまく合わなかったということだと思うのだ。
僕はたまたま、(少なくとも現時点において)三豊市で人々と良い関わり方ができていて、寂しさが和らいだ。
ただ、これが万人に合うかは分からない。だから、皆さんもぜひ、僕の事例を“他山の石”として、自分に合った人間関係をつくれる場所を考えてみてもらえれば、と思うのである。
***
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