決戦は日曜日
*この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:加藤 真矢(絶対麗度ライティング)
「残念ですが、私、明日でキメてしまうかもしれません……!!」
3月の絶対麗度総会で興奮を隠しきれない私。
翌日の日曜日、4回目にお会いする方との夜桜クルージングデートを控えていた。
30代で酷い失恋をし、長らくの傷心期間を経て40代からマッチングアプリを始めた私は、
信じられない輩の数々に遭遇し、
自己肯定感が下がり続ける日々を過ごしていた。
いきなりおうちデートに誘ってくる男、
次回デートの予約金を徴収した後にトンズラした男……。
年を取った女性が受ける扱いなんてこんなものか、と絶望しつつも、
毎月の絶対麗度総会でネタにして笑い飛ばす中で、何かが覚醒したのか、
いつの間にかどんな出会いも楽しめるようになり、
次第に、いかなる理解不能な男性に遭遇しても
びくともしないメンタルを身に付けていった。
そんなある日ついに、
「同世代の神様」が降臨。
暖炉のあるレストランや、
イルミネーションきらめく通りでのお散歩など、
素敵なデートプランで毎回ときめかせてくれる彼にメロメロになり、
順調にデートを重ねていた。
夜桜とか、何とも思ってない女性なら誘わないよね……
綺麗な桜の下で、少しでも魅力的な自分に映りたい。
濃紺の生地にゴールドのレースと深紅の花飾りがセクシーな、某有名ブランドのランジェリーに身を包み、ノリノリに「秘めフォトプレミアム」の撮影を終えて、己を解放。
同モデルの色違いであるアイボリーホワイト生地の“清楚版”をお守りに身に付けて、
決戦の日曜日に臨んだ。
隅田川の千本桜をテーマとしたクルージング。
クルーズ船に乗るときに、さり気なく差し伸べてくれた手にもときめいてしまう。
「大丈夫です」
と可愛くなく、自分で乗り込んでしまう私。
東京暮らしが長い彼は、隅田川のことを色々と解説してくれた。
時折、「寒くないですか」
と気遣ってくれるものの、
乗船の時に可愛くない対応をしてしまったせいか、いまひとつロマンチックな雰囲気にはならない。
しれっと腕を組みにいくようなあざとさがあったら、関係性を進められるのかしら。
奥手な私は悶々としながら、ポケットの中のカイロを握りしめて過ごした。
隅田川から眺める圧巻の千本桜の通り、
桜色にライトアップされたスカイツリー、
色とりどりにライトアップされた橋の数々……、
この季節ならではの非日常感を堪能し、陸上へ戻って、
「身体が冷えたと思うので、少し温まりましょうか」
と夕食へ足を運ぶ。
日曜日で営業していない飲食店も多い中、
苦労して予約してくださった、世界のソーセージとビールが楽しめるというお店で、
煮込み料理で身体を温めながら、
仕事のこと、家族のこと、好きな料理のこと、
他愛もない話を楽しみながら、ラストオーダーの時間に近づいていった。
時間も時間だし、今日はこれで終わりかしら……。
あの時、手を握りに行ったらよかったのかな、
あの時、身体を寄せて、腕を絡めにいったらよかったのかな、
しかし、気持ちも確かめてない中で、尻軽な女性には見られたくないしなぁ……
一人反省会が頭をぐるぐるしていたところ、
「ところで真矢さん」
との彼の一声に、ふっと我に返り、
「はい」
と慌てて目を合わせ、向き直った。
「これまで過ごしてきて、素敵な方だと思っているので、よかったらお付き合いしてもらえませんか」
え??
「仕事も趣味も全力で頑張っていて、気遣いもできる素敵な方なので、これからを一緒に歩んでいきたいと思いました」
それは待ち望んでいた言葉のはずだった。
もし、交際を申し込んでくれたら、
こう返したいと思っていた言葉が、たくさんあった。
でもいざその時がやってくると
頭が真っ白になって、言葉にならない。
「……あ、はい」
「え、いいんですか?」
「是非」
「じゃあ、よろしくお願いします」
なんとか絞り出したお返事は事務的になってしまい、
なんとも味気ないはじまりとなった。
駅まで送ってくださったものの、
いまひとつ、甘い雰囲気にはならない。
付き合うことになったのに、恋人らしいことは何もしないのかな。
いや、そっけなくしちゃったのは、
私なんだけど……
「じゃあ、また」
去ろうとする彼の姿を
なすすべなく見送ろうかなと一度は思ったけれど、
勇気を出して、自分から手を握りにいった。
その後は、
一緒に居る時は常に手をぎゅっとしてくれる彼に、ふわふわとした気分で過ごしている。
それ以上踏み込んで来ないのも、逆に舞い上がっている。
ちゃんとした彼氏ができるのは
実に10年ほどぶりか。
「秘めフォト」で仕込んだ大胆な私はしばらくお預けにしよう。
「加藤さんにはもちろん、最終的には幸せになってほしいけれど、
『残念な男』エピソードが聞けなくなるのは残念なような、
複雑な気持ちだよね(笑)」
天狼院書店の店主・三浦さんの総会での言葉が蘇る。
ごめんなさい、三浦さん、
残念ですが、私、幸せです(笑)
***
この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。
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