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アラ還初フェス体験は「先輩」の存在があってこそ


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記事:冨山 繁美(ライティング・ゼミ3月コース)
 
 
「新しい挑戦? 無理よ。無理」
50歳を過ぎた頃から「初体験」や「挑戦」なんてしなくても全く支障はないし仕事も順調。管理職になり保育やそれに関連する学びも楽しい。還暦間近「アラ還」の私は今を変える必要なんて全くなかった。
  
そこに日本中を震撼させた「サザンオールスターズ ロックインジャパン 最後の出演」というニュース。かなりサザンオールスターズ・桑田佳祐さんの大ファンの私だが、ライブに行くことがあってもフェスへ行こうとも思わなかった。理由は単純だ「サザン以外興味がない」そして「フェスは若者のもの」だから。でも今回が最後だというではないか。
  
チケットの抽選倍率はかなり高そうだから「とりあえず」と当たるはずないチケットの申し込みをした。ところが奇跡が起きた、いや起きてしまった。ロックフェスなど縁がなかったアラ還のおばあちゃん。それも名古屋から車で9時間、新幹線でも乗り継いでかなりの時間がかかる茨城県ひたちなかの会場。そもそもフェスに行っても楽しめるのか? やっぱり行くのをやめようか? いやいやもったいない。この繰り返しだ。
 
いろいろ調べた結果はこうだ。服装は軽装でありながら動きやすい服装にすべし。大きな荷物は会場ロッカーに預ける。斜めがけのショルダーバック、さらにペットボトルが入る大きさならもっといい。現金は少なめ、キャッシュレスがよい。暑さ対策も必須。ここからはおばあちゃんの心配性が出てしまう。冷えるとダメだから長ズボンに一枚羽織るものも必要。日焼け止めやアルコールジェル、ティッシュやウエットティッシュ、ゴミ袋にタオル。雨の心配、水分補給の心配で大荷物だ。最大の難関の往復の経路は深夜発長距離シャトルバスを選択。老体に0泊3日。大丈夫だろうか?
  
最初の後悔は事前精算のオフィシャルグッズを受け取る列に並んだこと。グッズを受け取った後、シートを敷く場所の確保に行ったが既に日陰やステージ近くには場所がない。「しまった! 先に場所確保だった」と後悔したが仕方なく炎天下にシートを敷くことになった。周りを見ると、フェス経験者の猛者たち。その違いは一目瞭然。「服装の軽さ」「荷物の少なさ」「決定が早い」「迷いがない」などだ。そこで私たちは「先輩」を探すことにした。
  
先輩(せんぱい)とは、日本標準語で、学校や会社などにおいて、その組織に先に加入したものを指す言葉。(Wikipedia)より。
 
私の使う「先輩」とは「見習うべき存在」なのである。例えば東京ディズニーランド、ベイマックスのハッピーライドの曲に合わせて誰よりもキレが良く完全に振りをマスターしていて、その人の真似をすれば間違いないという存在。このフェスでも先輩を探すことにした。
  
荷物を四隅に置くだけで強風に煽られている私たちとは違い「先輩」は四隅を杭でシートが飛ばされないようにしっかり固定している。さらにクーラーボックスなどを持ち込みキャンプさながらアウトドアを楽しんでいるではないか。飛ばされそうなシートを前に慌てていると隣にきた40代2人組男性がまさに「先輩」だった。
「それじゃシート飛んじゃうからこれ使ってください。椅子エリアもういっぱいで椅子使わないので」
と折り畳み椅子を貸してくれた上に「フード買いに行く時とか声かけてくださいね。荷物見ておきますよ」と言ってくれた。全くの赤の他人が声を掛け助け合う。これが「フェス」なのか! 現代社会の中で少なくなっているやり取りが生まれた「先輩」の心遣いにも感動した。
  
アーティストの楽しみ方でも先輩方の力を借りた。「ももいろクローバーZ」「WANIMA」「クリーピーナッツ」などバンド名となんとなく曲は聞いたことがある程度の私たちは「先輩」の背後にスタンバイ。「ももクロ」のコンサート前の掛け声と振りを私がやるなんて、ある意味感動だ。曲ごとに決まった振り、タオルを回すタイミング、見様見真似だったが「かなり古くからのファンです」という顔をしながらその場の雰囲気や一体感を味わった。サザンの時にはライブ経験豊富な私が「先輩」化しようと頑張ってみた。
 
その経験が今回の「サザンオールスターズドームツアー2025」の時に開花する。周りから聞こえる
「サザンのコンサート初めて」
の声に応えるように誰よりも早く座席から立ち上がり、手拍子のタイミング、拳の挙げ方を先導し、盛り上がる曲でも座っている座席近所周りを巻き込みコンサートの一体感を伝える「先輩」としての楽しみも味わうことができた。
「サザンあまり知らなかったけど すごく楽しめた」
と話す隣の熟年カップルは途中から、私と同じタイミングで立ち上がり盛り上がっていたから、彼らも近い将来きっと「先輩」として大活躍するであろう。
 
偶然参加できる機会を得たフェスに思い切って行ってみたことをきっかけに、「やったことのないことに躊躇していたことがどれほどの楽しみを逃していたのか」ということを知ることができた以上に、人との関わりの心地よさも味わった。
 
娘や息子をはじめ若い世代や世の中で盛り上がっていることを「知らないから」「若者のすること」と躊躇せずに飛び込み「先輩」の存在の力を借りで楽しんでみてはどうだろう? 偶然起こる何か(誰か)との出会いこそが醍醐味だということを思い出させてくれるだけでなくそれが「若い」ということだと感じられるはずだ。「先輩」から教えてもらい「先輩」になっていくことを楽しみ、未知の経験を探究する「若者」でいつづけようではないか。
 
 
 
 
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2025-05-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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