70代両親のスキンケアの習慣化にようやく成功した話
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記事:ヨシダ ノゾミ(ライティング・ゼミ集中コース)
「このあいだ教えてくれた保湿クリーム、使いきっちゃったの。まだあるなら欲しいんだけど」
母からのこのメッセージを見たとき、私は静かにガッツポーズをした。
私にとって両親は厄介な取引相手のようなものだ。要望は多く、少しでも気に入らなければ拒否。2人の希望が叶うようにあれやこれやと策を巡らす日々だ。
さて、私の両親を紹介しよう。70代、昭和のど真ん中を駆け抜けてきた2人組。「2人は文系? 理系?」と尋ねたら「体育会系!」と答えが返ってくるような、そんな2人組。スキンケアとは病気の人や美意識の高い人がするもので、自分達には縁遠いもの、という感覚だったのだと思う。母に至っては、下手なものを塗る方が合わなくて荒れる、日焼け止めを塗ることすら稀だったように記憶している。
そんな両親に育てられた私がスキンケアを意識しだしたのは働き始めてからのこと。ご高齢の方と接する機会が多い職場で、皮膚の乾燥が強いせいで痒みに悩まされたり、あかぎれができて苦労されたり、といった状況に何度も遭遇した。しかしほとんどの方が適切なスキンケアにより短期間で改善していく様子を目の当たりにし、重要性を実感するきっかけとなったのである。それからは何度も折りを見ては両親に説明し、おススメの保湿剤を紹介してきた。しかしながら、帰省する度に中身が減っていない保湿剤の容器を見つけてはがっかり、というのがここ数年の経過である・・・・・・。
スキンケアは①適切なタイミングで②適切な量の保湿剤を使用する。そしてそれを③継続する、の3つがポイントとなる。そのため、それぞれのポイントに両親がスキンケアをうまく習慣化できない原因があるのでは、と考えてみた。
①の適切なタイミング、とは「皮膚を清潔な状況にしたあと、入浴後できるだけ早く(調べてみると5分もしくは10分以内との記載も見かけた)」なのだが、夏場は汗が引いてから、冬場は寒いのですぐに服を着てあたたかい居間に移動してから、といった状況になりがちで、いわゆるゴールデンタイムを外してしまう、もしくはそのまま忘れてしまう傾向が強かった。
②の適切な量の保湿剤を使用する、については、「指の1関節分で手の平1枚の広さに」など適量が明記されているものの方が少数で「適量を塗布してください」と説明にならない説明しか書いていないものばかりだった。そんな状況で、もったいない精神の強い2人が適量よりも少なめに使用していたことは想像に難くない。
そして、①と②のハードルが高くなれば③継続する、が難しくなるのは当然だし、そもそも喉元すぎれば熱さは忘れるわけで、皮膚の調子がいい時に保湿剤の存在感は薄れがちである。
以上を踏まえて、今回、両親に紹介したのは「お風呂上がり、タオルで身体を拭く前に塗るタイプの保湿剤」である。さらに言うならば、「ポンプ式」で「吊り下げタイプ」のものを選択した。これには、次のような目論見があった。
まず①については、身体が濡れている状態で使用するものなので、問答無用でゴールデンタイムでの使用が促される。そこにはちょっと一旦トイレに行って、なんて隙も与えない。さらには②のポンプ式にしたことで、1回量も、そこに両親の裁量が入り込む余地はない。さらに念押しとして、「1プッシュで両腕、1プッシュで体幹・・・・・・」といったふうに、塗る量を具体的に伝えた。最後に③については、浴室のドアにこの保湿剤をぶら下げて、否が応でも目に入る場所に設置して、塗り忘れ回避を図った。
結果、冒頭のメッセージに至ったのである。皮膚の調子もすこぶる良いとのことで、このままスキンケアに継続して取り組んでくれることを期待している。
さらに、このタイプの保湿剤の利点として追記しておきたいことがもうひとつ。使用方法にもある「洗浄後、浴室から出る前に軽くぬれた肌に塗ります。(中略)タオルでからだの水分を軽く押さえるように拭きます」の最後の部分。乾布摩擦世代の両親にとって、タオルでゴシゴシ、は常識どころか無意識でやってしまう行動だ。洗顔のときにもよく言われることだが、こするのは皮膚にダメージを与えてしまい良くない。だけれど、ダメージが加わるといのは、いまいち実感が湧きにくい事象である。そこで「ゴシゴシすると、せっかく塗ったクリームが取れて『もったいない』よね? だから優しくポンポンと拭いてね?」である。「もったいない」という両親に響きそうな(でも嘘ではない)フレーズを使い、回避に成功したわけだ。
今回、私が両親に紹介した保湿剤は普通にドラッグストアやネットショップで手に入る品であり、特別な品でも高価な品でもない。「保湿クリーム」「お風呂」で検索すれば容易に辿り着けるような品だけれど、両親の思考や行動パターンにはハマったのだろう。相手に合わせた提案をすることは仕事の際には当たり前だが、いざ両親のような身近な人とのやりとりのなかでは忘れてしまう、というのが今回の教訓である。
以上、両親との攻防の中では数少ない成功体験の備忘録である。
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