わかってもらえない辛さを抱えて、それでも人と関わり続ける方法
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:溝端直毅(ライティング・ゼミ集中コース)
近年、いろんなものに病名(あるいは、それに類する名称)が付くようになっている。たとえば、HSP(繊細さん)、ADHD(注意欠乏・多動症)など。
健康な人からすると、「なんでも病気にすればいいってもんじゃないだろ!」と感じるかもしれない。
ただ、個人的には、この傾向を歓迎している。
「病名がある」ことのメリットは、自分の体調不良を、他人に説明しやすくなることだ。そうでないと、日本社会では「お前の根性が足りないだけ」と言われがちなので。
ただ、世の中には、まだまだ「わかってもらえない辛さ」、つまり「病名は付いてないけれど、他人にはあまりない体調不良」に悩む人が、少なくないのではないか。
僕の場合、それは「人と話す、あるいは頭を使う仕事をすると、すぐ疲れる」というものだ。
もちろん、誰だって会話をしたり頭脳労働したりすれば、疲れるだろう。ただ、僕の場合、普通の人に比べ、疲れるのがとにかく早い。
僕は今年、40歳だが、原稿執筆は1時間くらいしか集中していられない。それで心臓がバクバクいうほど疲れるのである。
また、人と話すと、1~2時間でクタクタになってしまう。飲み会などで3~4時間も話そうものなら、翌日は半日、臥せる破目になる。
(会社の仕事で、1時間ほどの会議を1日4回やったことがある。その日は、他のことがほぼ手に付かなかった)
もっとも、このように疲れやすくても、1人でできる作業は、まあなんとかなる。1時間集中して30分休んで、といったリズムで、かつ仕事中の生産性を上げれば、対処できるからだ。
その一方で、とにかく困るのは、人付き合いである。
世の中、「楽しい話は、何時間話していても疲れない」という人が一定数、いると思う。
こういう人たちと飲み会や食事会をしていると、だいたい2~3時間くらいたった時点で、話が佳境に入ってきたりする。
話好きの人にとっては「さあ、いよいよ盛り上がってきたぞ!」というタイミングなのだが、一方で、僕はもう疲れ切っている。
なので、「申し訳ないけれども、じゃ、これで」とそそくさと中座させてもらうことになる。
この時、「自分はあまり体力のない人間だから」とは、もちろん話すようにしている。
しかし、それでも、「あの人、楽しそうにふるまっていたのけど、本当は楽しくなかったんじゃないかな」という、不安や失望の視線を背中に感じることが多い。
そうじゃない、そうじゃないんだ。
僕は、その場を本心から楽しんでいたんだ。
でも、もう疲れて、頭痛も出ていたから、どうにもできなかったんだ。
20代のころ、僕はよく自己啓発本を読んでいた。そこには、よくこんなことが書かれていた。
「本当に楽しんでいれば、疲れない」
「疲れるのは、お前がそれを本心から楽しんでないからだ」
それを真に受けていた僕は、ずっと「疲れない楽しみ方」ができない自分を責め続けていた。
そして、こういった状態を改善しようと、さまざまな努力を続けてきた。
ヨガや呼吸法、瞑想を学び、自律神経の整え方を学んだり。他人から「健康オタク」と言われるほど健康に気を遣い、食事は玄米食、散歩などの軽運動も欠かさないようにしたり。
それでも、頭の疲れやすさは改善できなかった。
こんな僕だが、それでも、人と話すのはけっして嫌いでない。むしろ、好きなのである。
この文章を読むと、なんだか僕が「話好きの人」を非難しているようにも思われるかもしれない。
でも、そういう人の近くにいることによって得られる元気もあって、本当は、そういう人が好きなのである。好きな人を、悲しませている自分が、辛いのである。
だから、ここ数年、僕はこんな工夫をするようにした。
●”短く””頻繁に”会う
僕は、いっときに長時間話す体力はない。であれば、「短い時間で会う」を頻繁にやるようにすればいい。
たとえば、僕の友人に、イベントをよく開催している人がいる。
僕はイベントに参加しても、いろんな人と話しているとすぐ疲れてしまう。だから大抵、途中退出させてもらっている。
その時は正直、雰囲気は良くない。しかし、その次の回も、何事もなかったようにイベントに参加するようにしている(そしてまた途中退出をする)。
これを繰り返すことで、「1回1回のイベントには長居してないけど、僕はあなたを応援しています」という意思を、行動で伝えるようにしている。
●ほどよい“諦め”をもつ
僕には、人生の中で、いくつかやってみたいことがあった。起業家になって社会を良くする事業を立ち上げたり、世界を旅して回ったり、海外に長期で滞在したり(プライベートでは、恋や結婚も)。
ただ、それらについて、ほどよい諦めというか、「できなそうだったら、無理にやらなくてもいい」とだんだん思えるようになってきた。
そして、自分が「これをやらずに死んだら後悔しそうなこと」を考え、やることに優先順位を付けるようになった。
実は、40歳になった今年、会社を辞めてフリーランスになるのだが、こうした選択も、この”ほどよい諦め”に基づいている。
「わかってもらえない辛さ」には、いろんな種類がある。これはあくまで、僕の事例に過ぎない。
ただ、いずれにしても、「わかってもらえない辛さ」を抱えている人たちは、孤独を感じているのではないか。そして、その孤独が、ますます辛さを大きくしているのではないかと思う。
そういう辛さは、他人に伝えるのが、そもそも難しいものだから。
正直、僕も、このことをどう書けばいいか悩んだ。その結果、かなり拙い文章になってしまった。
ただ、そういったことを、少しでも伝えていくことによって、「わかってもらえない辛さ」を抱える人同士、孤独感を癒し合っていくことができればと思っている。
ともに、生きましょう。
***
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