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古文はいらない? 無駄だからいいのよ。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:らんちゃん(ライティングゼミ3月コース)
 
 
「受験に古文はいらないのでは?」
 
最近、古文についてネットやテレビで議論になっているそうです。たしかに、古文なんて生活で使う場面はないですもんね。しかし、私は思うのです。
 
古文は無駄だからこそ、学べる機会があるなら学んでおこう! と。
 
私の場合、「おみくじ」で役立ちました。「おみくじ」に和歌が書いてあるのを知っていますか? 実はその和歌が吉や凶より大切なのです! 「おみくじ」は神様からのメッセージ! しかし、古文で書いてあるからわかりづらい……私は古文を受験のときに勉強したのが活かして、「なるほど、そういうメッセージか!」と理解できました。
 
「え? おみくじ? 年に一回しか引かないし、神様とか信じないからやっぱりいらない!」
 
そうおもった方もいるでしょう。他にもメリットがあります! 森鷗外さんや樋口一葉さんなどの有名作家の堅苦しい文章が古文の知識があることで楽しめるようになります。その他にも、百人一首をそのまま読んで、景色が思い浮かべて楽しむことができます。
 
「それって、すべて趣味の範囲じゃないか! やっぱり古文は意味ない!」
 
たしかに! 紹介したメリットはすべて趣味の範囲内であり、「古文がないと明日の生活が苦しくなる」なんてありませんものね。しかし、生活に必要ないからといって、私たちの人生に全く関係ないといえるでしょうか?
 
 
そこで、荘子(そうし)さんという思想家のエピソードをご紹介します。恵子(けいし)さんに「あなたの話は役に立たない」と言われたことに対する返答です。
 
荘子:「大地はとても広いですが、人間が使っているのは足で踏んでいるところだけです。もし、足を踏んでいる土地だけを残して周りを地下の奥深くまで掘り下げたとしたら、その土地は役に立ちますか?」
 
恵子:「それだと役に立ちません」
 
荘子:「これで、役に立たないように見えるものが実は役に立っていることがわかってくれましたかね」
 
意味のあるものだけするのは、まさに足で踏んでいるところしか大地がない状態です。他の場所に移動できないように、私たちの世界がひろがりません。そもそも、生きるためだけならば、食事をサプリメントですまして、お風呂はいってトイレいって歯磨きして寝るだけをすればとても効率的です。他の行動は無駄なので一切しなくてよいです……それって「生きている」実感はあるのでしょうか? 
 
私が思うに、「無駄なこと」が「生きている」実感を与えると思います。今日は何食べようか考えたり、映画をみて涙を流したり、学校で古文を読むのに苦戦したり……意味のないことに必死になったり、心を動かしたり、自分で勝手につくった選択に悩んだりなどに「私は生きている!」と感じていると思います。
 
その中で、古文は、それを通じて日本語の美しさに感動したり、物語を読んでいく上で自分に必要な教訓に出会えたり、言葉のルーツを知ったり(例えば、「けりをつける」の「けり」は古文の助動詞からきています)することで、「私は生きている!」という実感を与えてくれることが多々あります。
 
「それって、今の言葉で訳したものを読めば良いのでは? わざわざ古文のまま読む必要はあるのか?」
 
たしかに! 古文を今の言葉で訳した本のほうがわかりやすいから古文のまま読む必要はなさそうにみえます。しかし、「わかりやすい」は、その本を「理解した」といえるのでしょうか?
 
例えば、次のような文。『春はあけぼの。いとをかし』
 
「あけぼの」は夜明けのこと、「いと」はとても、「をかし」は「美しい」や「趣深い」という意味です。今の言葉に訳すと、「春は夜明けがとても美しい」や「春は夜明けがとても趣深い」となります。
 
ここで、「をかし」が「美しい」と「趣深い」と二通りの訳し方をしました。どちらもテストだと正解になるでしょう。桜などの春の景色がキレイというだけであれば「美しい」でOKです。春の心地よい風の感触やホトトギスの鳴き声に味わいがあると思えば「趣深い」もOKでしょう。では、両方の意味がある場合はどっちの訳がいいと思います? そうなると、どっちも不十分。つまり、「をかし」は「をかし」なのです!
 
もし、「春の夜明けがとても美しい」という訳しか読んでこなかったらどうでしょう? 「をかし」の意味合いが半分知らないことになります。なのに、その訳だけみて、「わかった!」と思い込んで、他の人に「これってどういう意味?」と聞かれたら「春は夜明けがとても美しいって意味だよ」と教えることでしょう。これが連想ゲームのように伝わると、「春は、朝しかキュートじゃないの」みたいなとんでもない伝わり方をすることもありえます。
 
「をかし」という言葉のまま受け取れば、「なんか心躍るなぁ」とか「綺麗な文章で癒されるなぁ」と思えるでしょう。しかし、伝言ゲームのように訳された言葉で、その感動は味わえるでしょうか? やっぱり、古文は古文のままでメッセージを受け取れたほうが良いですよね。
 
古文は、「心の香水」だと思います。古文を読むことで、文字からつたわる美しさにリラックスしたり、気分が高まったりします。また、日本語のルーツや日本文化に触れることができ、日本という国がより好きになるきっかけを与えてくれます。この記事を書いているうちに古文を読みたくなったので、今から読もうと思います。つれづれなるままに、ひぐらし、すずろにむかひて……
 
 
 
 
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2025-06-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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