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4時間の自己分析でみえてきたもの 20代半ばの実録転職記


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記事:田中優希菜(ライティング・ゼミ5月コース)
 
 
「転職しようか迷ってる」
そう相談したら、友人がある転職エージェントを教えてくれた。
話によると、本気度が違うとち狂ったエージェントらしい。
 
まず、他社利用はNG。
1人1人に丁寧に関わるため、他の転職エージェントから応募されると元がとれないという。これが他に類をみない本気度。
 
次に、圧倒的な面談時間の長さ。
支援開始が決まった次の面談では、なんと4時間の自己分析をするのだとか。
これが、とち狂ってる所以。
「マジであの人ら狂ってるから、田中は好きやと思うで。笑」
大学4年間をともにした友人が言った。彼はちゃらんぽらんしてて見る目がないけど、おもしろそうなのは確かだ。
「なにそれ。連絡してみるわ」
ふたつ返事でHPを検索し、相談予約フォームを入力する。
フォームには「ただいま面談の希望を多数頂いており、状況によってはお断りさせていただく場合がございます。申し訳ございませんが、あらかじめご了承ください」の文字。
受けきれないくらい相談がきているのか、どうやら本気度も確からしい、と思う。
転職は勢いだ。母が口癖で言う「結婚は勢い」と同じ。あまり考えずぱっぱと進んでいかないと、躊躇したら前に進めない。私はノリで申し込みを送り、返信を待った。
 
翌日、担当者から日程調整の連絡がある。
どうやら紹介だということもあり、「場合によってはお断り」はクリアしたらしい。
面談日程の調整をして、どきどきしながら当日を待つ。
 
コンサルタントは快活な人だった。お互いの自己紹介、経験を話して、転職の流れを説明される。
「正直、けっこうキツイです」
噂に聞いていた4時間自己分析だけでなく、毎週のように膨大な宿題が出るらしい。
これまで、力を入れて就活をしたことがなく、早期の募集で取ってもらったり、仲良くなって取ってもらったりと、就活のお作法を知らないまま就職をした。
私は「お作法で落とすような会社は願い下げだ」と変なとがり方をして、それで幸か不幸かなんとかなってしまったのだ。その経験から考えると、きつい支援など受けなくても転職先は見つかるだろう。そもそも、勢いで一旦面談してみようと連絡してみたが、転職する覚悟はまだない。自分のペースで、長い目で転職活動をしたかった。
「他のエージェントも登録してみて、1回自分でやってみます」
まずは求人をざっとみて、転職するかどうかから考えよう。そう思った初回面談が2025年2月だった。
 
転職を視野に入れて働いてみると、在職中の仕事の良い面も悪い面も見えてくる。
他社の求人をみて「同じくらいの給与か……」と思ったり、少し分野が違うと驚くほど年収が高いものもあり、心が躍った。エージェントからのおすすめ求人をみるためには面談が必要だということで、検索上位に出るような有名な転職エージェントで何件か面談をしてみたり、スカウト機能のあるサイトを使ってみたりした。
私の根拠のない自身はあながち間違いではないようで、スカウトもくるし、書類もそこまで苦労はせず進めることができた。でも、エージェントはサイト経由で求人を紹介してくれるだけで、結局自分は何を基準に仕事を選ぼうか……と迷って、応募も決め切れずにいたし、面接もなんだかぼんやりした雑談をしてしまう始末だった。
それでも、他の企業を知ることで、転職しようという気持ちは固まった。
 
どう転職を進めて行こうか……そう思ったとき、最初に紹介された狂ったエージェントを思い出した。「転職の決意が固まったので、面談お願いします」そう連絡して、2025年6月、ついに4時間自己分析を受けることになった。
 
自己分析までの課題は、幼少期から現在までのエピソードをずらっと書き起こすことだった。前もって課題ができるタイプではないので、2日前に必死に空欄を埋めていたら、半分埋めるのに7時間かかった。確かに本気で、確かにきつい。めっちゃ書いたけど、これ全部読むのかな? だとしたら確かに狂ってるよ……。
眠気に負けそうになりながらなんとか課題を完成させ、当日の面談に挑んだ。
 
元々自己分析は好きな方で、何かにつまずいたら必ず自分の思考の奥の奥まで振り返る。そんな私だけど、4時間の自己分析では新しい発見がいくつもあった。
基本なんの苦労もなく歩んできたと思っていたが、人生全体をみるといろいろと重たいエピソードもあって、それを苦労にしてこなかったのは自分と周りのおかげだということ。自分は目立つタイプじゃないと思っていたが、人の目を集める場面もそこそこあったということ。
「私、自覚的には陰キャなんですけど……」「陰キャは授業で手を挙げません」
「金遣いが荒くてマジで金がないです……」「それは家族の血じゃない?」
なんて会話もした。確かに、その発想はなかった、という感じ。
 
自己分析というと、自分ひとりでワークシートを書くというのを想像する人もいると思う。特に私みたいに、考え事が好きだったりする人はなおさら。
でも、4時間自己分析をしてみて1番に思ったのは「他人の目が入ることがおもしろい」ということだった。
実はぽろぽろと悩みを話したり、コンプレックスの話をしたりもしたのだが、普段の自分を知らない人の素直な感想をもらえるのは、絶対に自分ひとりではたどり着けない考えに連れて行ってもらえる体験だった。
強みも弱みも悩みもコンプレックスも、混ぜてぐつぐつ煮込むと、深みのある自分らしい色が見えてきた。
そうしたら、自分のやりたいこと、なりたい自分が見えてきた。
私、かなり自分勝手だと思ってたけど、人のために何かしたいって思ってるんだな。
もっとたくさんの人に関わる仕事がしたい。そう思った。
 
さあ、ここからが本番。明るい未来への転職に、乞うご期待。
 
 
 
 
***

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2025-07-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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