メディアグランプリ

目的意識を持つ怖さ。《青き東大生書店員の悩み》


*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2025年6月開講】目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」〜たとえどんなに上手くとも、効果がなければ意味がない。〜

記事:梶花音(ハイパフォーマンス・ライティング6月コース)

 

小説を課題文とした国語の問題は、勉強中の楽しみ。でも私にとって怖いものでもありました。

「あ、逆接が来た。ということは、この後に重要事項が来るぞ」「ここは類比構造になっているから注意。筆者の主張はなんだ?」

いつしか染み付いた、課題文を分析する姿勢。それが、自由に読書をするときにも抜けず、小説の世界にただ浸るという、あの幸福な時間を私から奪ってしまうのではないか?

物語を「味わう」のではなく「読み解く」対象としてしか見られなくなるのではないか?

問題を解く経験を積めば積むほど、分析という目的意識を持った読み方が身についていきます。不安と焦燥感がじわじわやってきました。

小説が大好きで、勉強中に触れられる喜びがある一方で感じる、国語の問題を解き慣れる怖さ。今振り返れば考えすぎだったと思うのですが、あの感覚はいまだに鮮明に覚えています。

さて、私が今回参加することになったのが、天狼院書店の「インフィニティ∞リーディング」という読書会。お客さんとして天狼院のイベントに参加するのは、今回が初めてです!


読み方を制限される?
インフィニティ∞リーディングとは、ChatGPTなどの言語生成AIを究極の家庭教師として使う読書会。多くの参加者の方と同じ本と同じ時間を共有することで、未だかつてない”究極の読書体験”を提供することが目的のイベントです。

課題本の種類によって4つのタイプに分かれています。私が参加したのは、「Type S」という、「クリエイター目線で本を読み解く」タイプ。取り上げられるのは基本的に小説です。

事前にHPでどんな内容なのか見てみました。

l 「クリエイター目線」で本を読み解いていく

l 「本は好きだし、個人の楽しみとして、読むことはあるけれども、それを人生や仕事に活かせるような読み方はわからないから、詳しく知りたい」というお客様の声にこたえる読書会

クリエイター目線で読み解く、かあ、、、筆者の考えを読み解く、国語の問題の記憶が蘇ります。人生や仕事に活かすための、「目的のある読書会」に慣れて、読み方が固定化されてしまったらどうしよう。

読書会というワードにわくわくしつつ、一抹の不安を抱えていました。

イベント当日。

課題本は吉田修一さんの『国宝』。映画化もされ、大きな話題を呼んでいる作品です。みなさんは映画や小説、ご覧になりましたか?私は、映画は観ていましたが、原作はまだ読めていませんでした。

イベントが始まると、講師の三浦社長が複数の生成AIの出力をもとに解説していきます。

原作者のプロフィール、映画化のプロセス、脚本家のすごさ、監督の魅力、俳優さんたちの心構え、カメラマンはどのシーンをどう切り取ったのか。様々な角度からのクリエイター目線の情報が、物語への理解をぐっと深めてくれます。

これは小説家、ライター、編集者、劇団主宰、プロカメラマンという、クリエイターとしての複数の顔を持つ三浦社長だからこそ語れるのだなあと、この読書会の特長を実感しました。

また、映画と原作の違いにも触れられ、本ならではエピソードが紹介されると、「早く読んでみたい!」という気持ちが湧き上がってきます。逆に、この壮大な物語をあの映画によくぞまとめたな、という制作陣への尊敬の念も深まりました。この視点でもう一度映画を観たい。

そう、私は本を読んでいなかったのです。それでも、こんなに楽しめます。置いていかれるどころか、むしろ「本を読みたくてたまらなくなる読書会」。課題本を手に取る動機付けをしてくれる読書会なんて、聞いたことありません!

個人的には、物語における「花」の解釈についての分析が非常に面白かったです。これは前回の課題本であった世阿弥の『風姿花伝』との比較から導き出された考察です。一つの作品が、また別の作品と繋がっていく感覚がいいです。この感覚のもとになっているのが、どちらも未読の本だなんて!まさに未だかつてない体験です。

そして何より嬉しかったのは、会場全体に満ちる一体感です。講師が「あれはやばい」「めちゃくちゃよかった」と熱く語ってくれる。その言葉にみんなで頷く。自分が興味のある作品を褒める言葉を聞けるだけでもう楽しいです。

結局、私の不安は杞憂に終わりました。「目的のある読書会」は、私の自由を奪うどころか、むしろ新しい扉を開け、私が大好きな読書への、動機付けになったのでした。

本好きの方はもちろん、分厚い本に挑むのはハードルが高いけれど内容は気になる、という方にも、心からおすすめしたいイベントです!

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

「インフィニティ∞リーディング、ちょっと面白そうかも」と興味を持ってくださった方、一見さんでも大歓迎です!

今回ご紹介した『国宝』の回は、アーカイブ視聴が可能です。ご興味のある方は、

下記の詳細リンクより詳細をご覧ください ↓↓

わからないことがありましたら、お電話またはお近くの店舗にて、スタッフにお気軽にお声がけください!

お読みくださり、ありがとうございました!

皆様のご参加、そしてご来店を、心よりお待ちしております🌱

 
 
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この記事は、天狼院書店の目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」を受講した方が書いたものです。「ハイパフォーマンス・ライティング」では、執筆いただいた記事をフィードバックしてもらえます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店/天狼院書店の公式noteのマガジン「READING LIFE/天狼院読書クラブマガジン」にアップされます。

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2025-08-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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