名前は、可能性をも決める
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記事:育子
「いつでご希望の老人ホームにお入りいただけます」
平日のテレビの画面で明るい声でCMが流れている。
画面から目を離していた私は、何かわからない違和感を覚えた。
高齢者が自宅で最期を迎える。
そのことの難しさは痛いほど認識している。
私も母をサービス付き高齢者住宅への入居を決断し自宅に帰らすことなく
お浄土へお見送りをしたから。
何が気になっているのだろう。そうだ「老人ホーム」だ。
老人ホーム、この言葉は正式にも使用されている言葉である。
正しくない言葉ではない。
でも、今日改めて嫌な名前だと感じた。
昔、高年齢の女性が事故にあったというニュースでは「老女」という言葉が
新聞の見出しに出ていた。
いつからか、その言葉は姿を消した。おそらく問題視された結果かと思う。
家族ドラマが流行っていた時代、昭和。
高齢者がトラブルの中心になる場面
ある「お婆さん」は、こんなセリフを吐き捨てていた。
「もういいですよ、私は老人ホームに入りますから。そうすればいいんでしょ」と
「老人ホーム」それは、行き場のない高齢者が追いやられるところという概念的に使われていた言葉のように覚えている
もちろん、今の高齢者の「終の棲家」として自宅ではない様々な場所が選ばれることを否定するものではない。推奨さえする。そこが、とても心地よく素晴らしいところであっても、「老人ホーム」という名称には、何かしらうら寂しい響きを感じると思う私の感受性に偏りがあると批判されるかもしれない。でも、私は名称には立ち止まって考えてみることで、物事は変わるとさえ思うのである。あえて言えば「老人」という言葉に引っかかっているのであろうか。
日本は、ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベットを使う国であるが、特に音ではなく視覚に訴える漢字により、色んなイメージを持たされることが多く感じる。
話が逸れるようだが、子どもが生まれると出生届を出し、その時にその子には名前がつけられる。もともと決められていた名前の場合もあれば、生まれた時に降りてきた?名前がつくこともある。余談だが私には「裕子」という名前が決められていたが、仮死状態で生まれてきたので急遽「育子」という名前がついた。どの場合も、殆どに願いが込められている名前であろう。今は、 先に音を決めてそれに願いを込めた漢字を充てることも多いと思われる。
さて、話を戻すと老人は、老いた人、老いている人である。もともと「老」という漢字自体には、年長者で物事をよく知っているという敬う意味も含まれてはいる。
しかし前段で述べたように、既に視覚にうったえられる「老」には、マイナスな“老い”のイメージをもってしまう。
何が言いたいのか、という話にもなってくるが、今さらながらの「名は体を表す」ということにつながる話であり、とりわけ漢字は物事の内容をつかみ取りやすくする役割をもつ。
「老人ホーム」というと、高齢者の住居という内容を簡潔に表しているといえる。
高齢者がどのように暮らしていくか、それは本人の重大な問題でもあり、それ以上に高齢者の身内にとっても切実な問題である。老人ホーム経営は需要が高い事業である。
どうこうしている間にも、「老人ホーム」を探して喧々諤々している家庭も多いかと思う。
「いつでご希望の老人ホームにお入りいただけます」は、そういった人々へは、ありがたい情報の提供であると推察される。
でも、当たり前になってしまっている「老人ホーム」といいう名称、私は適当であるとは思えない、じゃあどんな名称がいいのか、それは思い浮かんではいない。だが、課題だと言って結論づけて終わりにはしない。考え続けたいと思う。その名称によって、現状も未来も方向づけられると思うから。
もう一つ名称問題で、考え続けているものがある。
私は、スーパー銭湯に行ったきっかけで、『大衆演劇』という文化の世界を知り、とても興味をもち、惹かれ、どんどんその世界の住人になっていった。
お芝居と舞踊ショーを3時間かけて、豪華絢爛な衣装、洗練された芸が『大衆演劇』という名称の元、披露される。全国に100ほどの劇団と100ほどの劇場があり、1か月ごとに入れ替わる。お芝居、舞踊の内容は毎日変わる。本当に半端なく稽古に励まれた成果である。
足を踏み入れてみて、この世界をもっと色々な人に知ってもらいたいと強く思うようになった。これからの行く末を不安だと業界の方々が語る。知れば必ず良さが分かるが、少なからず『大衆演劇』という名称が、入口を狭くしているのかもしれない。大衆酒場・大衆食堂などと同様、2千円前後の低料金で入場できるという意味では「大衆」は使われていておかしくはないのであろう。
私は『大衆演劇』という名称は大好きである。しかし、頼まれもしないのに、私は頭を悩ませている。
名称一つで、受け取る側の心の幸せも、これからの未来も左右される、そんなことを考えている。
***
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