メディアグランプリ

アーユルヴェーダに出会う ― 幸せに生きる調和の道


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:嘉藤恵(ライティング・ゼミ7月コース)

 

健康と幸せは同じ言葉ではない

9月23日、インド大使館で行われた「アーユルヴェーダの日を祝う会」に参加しました。

アーユルヴェーダとは、インドに古くから伝わる「生命の科学」。

身体、心、魂のバランスを整え、人が本来もっている自然な力を引き出すことを目的としています。

会場では、伝統的な療法の紹介、そして健康について語る温かな講演が行われていました。そのひとつひとつに触れながら、私はふと立ち止まって考えました。

「健康であること」と「幸せであること」って、同じ意味なのだろうか。

血圧や体重の数字が理想的でも、心が疲れていたら“健康”とは言えないのかもしれない。反対に、病気を抱えていても、心が穏やかで満たされていれば“幸せ”を感じられる。
アーユルヴェーダは、この両方を切り離さず、「全体としての調和」を目指していることを知ったのです。

 

ウェルビーイングと高齢化社会の現実

1. 国際社会が注目する「ウェルビーイング」
近年、国連が「ポストSDGs」として掲げたのが「ウェルビーイング」。
これは単なる長寿や経済発展ではなく、人々の幸福度や心身の調和、さらには環境の健全性を重視する考え方です。
数字や効率だけを追うのではなく、一人ひとりが「生きていてよかった」と実感できる状態を大切にしようという呼びかけ。まさにアーユルヴェーダの哲学と重なります。

2. 高齢化社会の課題
一方、私たちが暮らす日本では、医療費が年間40兆円を超え、寝たきりや認知症の高齢者が増え続けています。
「老老介護」という言葉に象徴されるように、介護する側もまた高齢者という現実。誰もが自分の生活を精一杯支えるだけで精いっぱいになり、心に余裕が持てなくなっています。
数字だけを見れば、日本人の平均寿命は世界有数です。けれども「健康寿命」、つまり介護に頼らず自分の力で生きられる期間は、その長さに追いついていません。
長く生きることがゴールではなく、どう生きるかが問われる時代に入っているのです。

3. 「物欲」と「精神的な豊かさ」
社会が豊かになり、物に困らない時代になると、人は次第に「もっと欲しい」と思うよりも、「どうすれば心が満たされるか」を求めるようになります。
高齢化社会における課題の背景には、物質的な豊かさに偏り、心や魂の声に耳を傾ける時間を失ってきたこともあるのではないでしょうか。
アーユルヴェーダの思想は、その問いかけに「調和」という答えを示してくれるように思います。

心と体の調和を日常に取り戻す
では、私たちはどうすれば「ただ生きているだけで幸せ」という感覚に近づけるのでしょうか。アーユルヴェーダやウェルビーイングの考え方から、日常に取り入れられるヒントをいくつか挙げてみたいと思います。

1. 小さな生活のリズムを大切にする
アーユルヴェーダでは、一日の過ごし方が心身に大きく影響するとされています。
たとえば、朝は太陽とともに起き、夜は早めに休む。食事は腹八分を心がけ、旬のものを選ぶ。これらは難しい理想論ではなく、日々の積み重ねが未来の健康をつくるという実践的な知恵です。

2. 「足るを知る」感覚を育てる
物質的な欲望を満たすことよりも、「これで十分」と感じられる心の状態が、精神的な幸福につながります。
欲しいものを追い続けると疲れてしまうけれど、手の中にある小さな幸せを見つめ直すことで、心は驚くほど穏やかになります。

3. 心の静けさを養う
瞑想や深呼吸、自然の中を歩く時間は、心を静かに整えてくれます。脳科学的にも、深い呼吸は副交感神経を優位にし、ストレスをやわらげる効果があると知られています。
「静けさの中に智慧が宿る」という言葉の通り、立ち止まることで見えてくるものが必ずあります。

4. つながりを大切にする
人は誰かと共に生きることで安心感を得られる存在です。家族や友人、地域社会との関わりを持つことは、健康寿命を延ばす大切な要因でもあります。孤独を避け、共感を分かち合う時間こそ、心の栄養になります。

幸せは「今、この瞬間」にある

インド大使館でのアーユルヴェーダの日の体験を振り返ると、「健康とは数値や寿命の長さだけでは測れない」ということを強く感じます。

心と体、そして魂の調和こそが、本当の意味での幸せをつくるのだと。

老いや病を避けることはできません。けれど、物欲にとらわれず、精神的な豊かさを育みながら日々を送ることは、誰にでもできる一歩です。

そしてもうひとつ、大切にしたいことがあります。

それは 過去に縛られない勇気。

かつての栄光に執着することも、嫌な出来事を繰り返し思い返すことも、今の私たちを幸せにする力にはなりません。むしろ「今」を曇らせてしまうことさえあります。

過去は尊い学びとして心の奥にしまい、手放していく。

そうすることで、ようやく「今、ここに生きている自分」を大切に感じられるのではないでしょうか。

「過去の栄光は手放し、過去の嫌なことは忘れる。そして今を楽しむ。」

このシンプルな姿勢こそが、調和ある人生への入口です。

今日の一杯のお茶に感謝し、ささやかな会話に喜びを見つけ、眠る前に「今日もいい一日だった」と心から思えること。

その積み重ねが、私たちを“ただ生きているだけで幸せ”という境地へと導いてくれるのだと思います。

アーユルヴェーダが示す知恵は、遠い国の特別なものではありません。

それは、過去に縛られず「今を生きる」というシンプルな真実を、そっと思い出させてくれる鏡なのです。

≪終わり≫

 

***

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2025-10-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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