よく働き、よく遊べ! これぞ、休むための秘訣
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:越光 純(ライティング・ゼミ7月コース)
ポォン!
シートベルト着用サインが消えた。
フランクフルト発羽田便の機内、今日はなぜか足下が広い。自分は窓側。通路側にはドイツ人夫婦が座っていた。最初は何とも思わなかったのだが、やたらと男の客室乗務員がやって来て、隣の夫婦と談笑しては戻って行く。ドイツ語なので何を喋っているかわからなかったが、どうも隣は同じ航空会社の社員のようだ。なるほど、ここはそういう人が選ぶ席だったのだ! ちょっと嬉しかった。
窓際の席、あっ、窓際なのは職場だった。その窓側の席だが、昼間の国内線ならともかく国際線だとこれがあまりよろしくない。夜はブラインドを閉めっぱなし。朝は眩しすぎてチョイ見で終わり。昼は延々と雲か海。トイレに行きたくなっても通路側に厳つい大男が座っていようものなら絶望でしかない。前の年も同じ失敗をしたのに、また窓側を選んでしまっていた。これを学習能力の欠如と呼ぶが、今回、たまたまラッキーだったのだ。
そうこうしていると、また客室乗務員が話しに来ている。ちゃんと仕事しているのだろうか? その時、KyotoとかOsakaとか日本の地名が聞こえて来た。やはり日本への旅行のようだ。
「日本へはご旅行ですか?」
「はい、そうです。休みが1ヶ月しかとれませんでしたが、金沢、京都、大阪、○○、東京とキャンピングカーで巡るんです」
「実は私も旅行してきたんですよ。一週間休みがとれたので、ミュンヘン、ベルギーとかに行ってきました」
「一週間?」「……」
何気ない、ただの世間話のつもりだったが、彼の表情が一瞬固まったのがわかった。すぐ元のように会話は続いたのだが、あの一瞬が忘れられない。「休みが一週間」というのが信じられなかったようだ。自分はやっとの思いで最長の休みをとったのだが、内心、少々恥ずかしかったし、悲しくもあったのを覚えている。
思うに日本で十日以上の休みを取れることはあまりない。あるのは製造業などでのGWや盆、シルバーウィークくらいで、十二日あれば大連休! と話題になるくらいだろう。1週間の休みをとれるようになったのですら10年も前の話ではなかったのだ。何と言う違いなのだ! 残念ながら欧米各国とはまだまだ違う土俵のようだ。しかし、毎年1ヶ月の休みがあったらどうするだろう? 悲しいかな想像すらできそうにない。羨んでも仕方ないことだが、ちょっと言葉としては憧れているのかもしれない。
ただ、この話、一般的な給与所得者、つまり雇われ人だから言えることではないだろうか? 自営業となると全く事情が変わってくる。例えば個人開業の店主なら「休=無収入」になりかねず、休みたくても休めないことも多いだろう。逆に人を使う立場であるなら、実際休まれるかどうかはわからないが、何か問題が起きたと時に連絡がつき的確な指示ができさえすれば、どこにいてもいいこともありそうだ。コロナ以後注目されたリモートワークもある。場合により端から見ると仕事しているか休んでいるかわからないこともあるだろう。個人投資家になるとさらに区別がつきそうにない。
長い休み、どうしたらとれるのだろう?
実は、こう思うことが1つの盲点だった。
そもそも「休み」とはどういう状態のことなのか。もう、それですら一言で言い表すことができない時代なのだ。
給与所得者の自分はその立場でしか語ることができないのだが「長い休みが欲しい!」とずっと思ってきたようには思う。短いと不満を持っていたと思うのだが、ならば実際長い休みがあったらどうしていただろうか?
例えばマチュピチュを観に行きたいと思ったことがあるが、休みがあったら行っていただろうか? たぶん懐具合と相談の結果、行っていないような気がしてならないのだ。
結局、「仕事は嫌」何もしたくないのに「遊びたい!」と思っていただけではないのか? そしてさらに悪いことに、休みになったら本気で遊んだだろうか? やることやらずに「休みが欲しい!」と思っていただけ、単なる甘えではなかったのか? 何かそんな気がしてくる自分が情けない。
もちろん世の中には本当に休めない人もいる。しかし少なくとも私は違った。他に幾らでも選択肢はあるのに、やることやろうとせずに「休みが欲しい!」と言っていただけだったように思えてならない。
休みは「もらうもの、与えられるもの」ではなく「やることやって、捻り出すもの」なのだ。
これまで完全に履き違えていた。
大学時代、同級にやたらと遊んでいるのがいた。しかし、勉強もしっかりしていた。輝いていた。それに引き換え自分はどうだ? どちらも中途半端。その結果が今の姿だ。
人を羨むばかりで、自分は何もしていない。それでは駄目だ!
自戒の念、反省を込めて、自分のこれからに対し
「よく学び、よく遊べ」転じて「よく働き、よく遊べ」と言うことにする。
これこそ「休む」秘訣なのだ!
≪終わり≫
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「天狼院カフェSHIBUYA」
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜20:00■天狼院書店「名古屋天狼院」
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先 レイヤードヒサヤオオドオリパーク(ZONE1)
TEL:052-211-9791/FAX:052-211-9792
営業時間:10:00〜20:00■天狼院書店「湘南天狼院」
〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-18-17 ENOTOKI 2F
TEL:0466-52-7387
営業時間:
平日(木曜定休日) 10:00〜18:00/土日祝 10:00~19:00