メディアグランプリ

確率1/11で、心臓のBPMは190になったぞ


*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2025年6月開講】目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」〜たとえどんなに上手くとも、効果がなければ意味がない。〜

 

記事:梶花音


【厳正なる抽選の結果「当選」となりました】

東京マラソン2026に当選した。
驚きである。

 

東京マラソンは、私的【いつか走ってみたい!マラソン2選】のうちの一つ(もう一つはホノルルマラソン)。
人生で一度は走れたらいいなあと夢に見ていただけで、実現は社会人になってから、くらいに思っていた。


ご存知の方には恐縮だが、東京マラソンは毎年大人気。
4万人弱の募集に対して応募が殺到、毎年当選確率は10~12倍と言われている。
つまり40万人近い人が応募しているということ。恐ろしい。


実は私、以前東京マラソンのコースに立ったことがある。
大学一年生の時、アルバイトで交通整理スタッフとしてその場にいたのだ。

ポジションはゴール直後。
脚を引きずるようにしてやってくる人のなんと多いことか。

しかしながら、その表情は輝いていた。

おつかれさまでしたー!
ありがとうございますー!

ゴールした証であるカラフルなタオルをまとい、笑顔で返してくれるその姿を見て必然、私もいつか選手として走りたいと思うようになった。

しかし確率は10倍超え。
きっと当たらない。でもいつか走ってみたい。

調べてみると、三大会連続落選枠なるものがあるらしい。
よし、じゃあ今からコツコツ落選して、4年後に当選できるようにしよう!
それまでにマラソンの経験を積んで、自信を持って走れたらいいなあ。

なんて思っていたところに突然現れた、当選の文字。

え、私、走れるんでしょうか???


東京マラソンって過酷


出場にあたり、不安はたくさんある。

まず第一に、経験値的問題。
陸上部出身とはいえ、42.195㎞のフルマラソン完走経験は過去に一度のみ。
大舞台できちんとまた走り切れるのか、不安である。

練習不足もまた、不安要素。

今年の猛暑はひどかった。

やっと暑さが落ち着いてきた今月、久々に10㎞走をした。
ふと気になって手帳を振り返ると、
前回10㎞走ったのは5/11だった。

約半年前だ。

6月くらいから暑い日が続き、「夏、来るの早くない?」と思った記憶。
しかしその分秋が来るのが早まるわけでもなく、9月も暑かった。
初春は現代では春じゃないって認識があるけど、9月も夏認識になっちゃうのでは?
秋分の日って、秋じゃないよね~って2世代後くらいの人たちが言ってそう(もう言ってる?)。

暑さを理由にぐしゃぐしゃ言い訳しつつ、焦る。

約半年後には4倍以上走らなければいけないのに、、、

第三の関門は仲間いない問題。

一般的にマラソン大会には【ご家族エントリー】【お仲間エントリー】なるものがあり、チーム単位で当落が決まる。
私はこれまで出場したどの大会も、家族や友人と一緒に応募し、一緒に走っていた。

しかし。
東京マラソンは単独応募しかできなかった。
そして一緒に走りたいね、と言っていた友達も家族もみんな落選。
私一人である。

陸上競技って個人競技のイメージかもしれないが、実はそんなことはなく、
仲間の存在って本当に大きいのだ。


フルマラソン攻略法:仲間と歌う


フルマラソンとは5時間近く、足と手を交互に前に出す運動のこと。

膝は悲鳴を上げるし、脚の重さは半端じゃないし、
冬なのに汗びっしょりで、
身体はもちろんつらい。

しかしもっとつらいのは精神。

長い。とにかく長い。
知らない道だから、残りどれくらいがよくわからず
途方に暮れる。

生理的問題もある。
5時間近く走っていると、トイレに行きたくなることももちろんある。
しかし、設営されるトイレには必ず長蛇の列。
次のトイレに行こう、と決めても空いているところは現れない。

あきらめて行きなよ、と思う方もいらっしゃるだろう。
しかし、無理なのだ。
一度列に並ぶと30分待ちは確実。
目標タイムを切れなくなるのは目に見えている。

それだけではない。
今抱えている爆発しそうな膝と、
いつでも止まりたいと訴えてくる脚を30分も止めてしまった後、
果たして私は再び走り出せるのか…?

こうして終わりの見えない運動を
ボロボロの身体と
トイレに行けないという不自由さを抱えながら走るのが
フルマラソンである。


そんな恐ろしい取り組みを乗り切れたのはひとえに
一緒に走った仲間のおかげ。

唯一にして初めてのフルマラソンは、姉妹で参加した。

スタート位置でドキドキを共有したり、
道のりでの発見を報告し合ったり、
励まし合ったり。
長い道のりにメリハリがつき、気分転換ができていた。

その中でも特によかったのが歌うこと。


その時の我々のテーマソングが、
コブクロの42.195kmという曲。


疲れてきて、でもまだ20kmいかないくらいの地点で、

なんぼなんでもそろそろぉーもう半分はきたやろぉー!

そう片方が口ずさむと、

嘘やー?まだそんなもんかい?ほんまどんだけ長いねーん!

ともう一方が小声で答え、爆笑。

ゴールが近づいてきてモチベが上がったところに現れた坂道、
心が折れそうになった時も、

最後に待ち受けているー地獄のとりでっ なんこーおおーはしー

這いつくばってでも良いからー超えようー今日はー一人じゃない―!

きっと小渕さんもこの南港大橋を乗り越えたはず!(目の前は坂だけど)
そう心を強く持ちながら、ハモって乗り切った。

 

私のフルマラソン完走は、こうして乗り越えられた。

しかし今回は、隣にだれもいない。

加えて、体力への不安。
精神的ハードル。

当選の文字をみたとき、
これらに対するプレッシャーと、
夢の舞台で走れるときめきがまとめてぎゅっとやってきた。

鼓動がうるさい。
あいみょんもびっくりである。


1/4のクリームパンとか、走るモチベ


なんだかマラソンのネガティブキャンペーンのようなことをしてしまったが、
私がマラソンを走ると知って
「マラソンなんて身体に悪いことしかないじゃん!」
と仰った社長に、この面白さが伝わらないのは
なんだか悔しいので、
それでも走りたい理由を書いてみる。

マラソンの醍醐味で一番大きいのは、やはり達成感である。
完走してメダルをかけてもらった時の喜びといったらない。

そしてそれまでに練習を積むので、運動習慣がつく。

また、途中で給水・給食があるのだが、
それがものすごく美味しい。

私が特に記憶に残っているのが、クリームパンである。
1/4サイズにカットされたそれは、
おそらくスーパーに並んでいてもおかしくない、
慣れ親しんだビジュアル。

それでも人生で食べた中で
一番美味しかった。

1/4のクリームパンのおかげでその後の1㎞、
うきうきで走っていた。
ビジュアルと味のこのギャップ、罪だ~~~


仲間と走れないけれど、周りにはともに頑張る人がいる。

道の途中で看板を持ちながら応援してくださる地域の方々、
大会運営者の方、
背中に「頑張るあなたが素敵」、的なプリントを背負って
ポジティブを伝染させてくれる他のランナーの方。
そんな環境で走れる幸せも、またフルマラソンの素敵なところ。

 

せっかくの夢の舞台、
心でくちずさみながら頑張ってきたい。


決意表明でした!



***

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2025-10-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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