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料理教室を楽しむには  


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

記事:シマダ カナコ(ライティング・ゼミ11月コース)


料理教室を楽しむコツは何ですか、と聞かれたら私は「勇気を出すこと」と答える。
受講することにそんな勇気がいるものだろうか、と疑問に思う方もいるだろう。
なぜそう思ったのか、その経緯に触れながら話をしていきたい。

6年前「自己流でなく、各料理に適した野菜の切り方や調理の仕方をちゃんと学びたい」と思い切って料理教室に通うことにした。
通っていた料理教室では、常設授業と限定授業があった。
まず、常設授業は料理の基本を学べる初級編の授業、それらを応用した上級編の授業の
2種類がある。そして限定授業は、季節をテーマにした料理や、その時に流行している料理を学ぶことができる。(例えば、夏はスパイスカレー3種を同時に作る講座があったり、韓国式居酒屋がブームの時はヤンニョムチキンがメイン料理の韓国料理講座もあったりした)
このように様々な授業があるわけだが、受講者は初心者上級者関係なしで好きな授業を受けることができる。
特に限定授業はその年度のその月にしか受けることができない内容のため、人気があり、初心者の方もベテランの方も多くの方が受講する。

私がその時受けた限定授業は「1人で仕上げるお弁当講座」であった。
最近お弁当をSNSにあげる人も多く、見栄えの良いおかずを作りたい人も多いため人気があった。
そして、受講当日私は緊張していた。
なぜなら、周りの人がとても慣れた様子でテキパキと進めていったからであった。
一方で、私の手際はめちゃくちゃ悪かった。
他の生徒の方は先生の説明を聞きながら同時に手を動かしているのに対し、私は先生の話とレシピの写真を参考にしながら野菜を切ったりしているため、かなりの遅れをとっていた。
そうしている間に、問題が起きてしまった。
豚肉のロール巻きがどうもうまく巻けないのである。
工程としては、縦に並べた豚肉に青じそと焼のりを順にのせ、手前からくるくると巻いていき、半分に切る。断面が綺麗な渦巻きを見せるようにして、串に刺して出来上がり。
となるはずだったのだが…。
竹串に刺したそばからバランスが悪い状態で、今にも豚肉がはがれそうだった。
そして、何回もやり直しているうちに余計変な形になっていった。
横をちらりと見ると、すでに完成した人たちから焼く準備にもう入っている。
ここで質問したら作業が絶対に中断する。
でも聞かないと今の私ではどうしたらよいか分からない。
迷った結果、ありったけの勇気を振り絞って、焼き方の説明をし終えた先生に聞いてみた。
「先生、これどうしたらいいでしょうか」
一瞬場が静まったが、先生がすぐに私の豚肉串の様子を見た。
「壊滅的状況になってしまって」
私がそう言うと先生は噴き出してしまった。
「壊滅的状況という言葉が面白いですね!」と先生が言うと、つられて他の生徒の方も笑った。
「でも見るとそれほどでもないですよ!」
と豚串をくるくる動かしてどこを改善すべきか見ているようだった。
「これって、実は結構あるあるなんですよね。こういうときは……」
と一旦串から巻いた肉を引き出しながら野菜を強くつまみ、先ほど私が行ったよりも強く手際よく巻いていった。その様子を他の生徒さんも熱心に覗きこんでいた。
そして肉を片手で挟んだまま強めに串を刺した瞬間、ほどけることもなく巻かれた豚肉はその場所で安定した。
私はほっとしながら豚肉串を受け取り、先生に「よかった……ありがとうございます、
どうなることかと思いました」とお礼を言った。
「いえいえ!その時使う野菜と肉の大きさでやりづらさがあったりしますよねぇ。そんな時も、今の場合も自分が思っているより強めに巻くのがコツです!」と先生はにっこりしながら補足してくれた。
確かに、レシピに掲載された豚肉の綺麗な断面を真似したさに、ぺちゃんこになるのを恐れて豚肉を強めに巻いてなかったような気がする。
「解決してよかった……ただ、授業を一時中断してしまう形となったため、皆さんに申し訳なく思って」と私は謝罪した。
すると先生は「勇気を出して質問してくださってよかったですよ!私も生徒さんの苦手なポイントがどこか知りたかったので」と言ってくれたのだった。
生徒の皆さんも「すごく勉強になりました!」と笑って言ってくれ、さらにほっとした。
その後私は先生や生徒の方と話がはずみ、笑って話をしながら作業をして、先生の独自のワンポイントアドバイスや失敗談を聞きながら楽しく調理することが出来たのだった。

私は子どもの時は分からないことがあればすぐその場で質問するタイプだった。
ところが「今この場で質問したら授業の流れが中断してしまう」「いま話していいのかな」等大人になるうちに色々気になり、聞きたいことが聞けないという引っ込み思案なタイプに結局変化してしまった。
そんな私がまさか料理教室で勇気を出し、その大切さを知ることになるとは思わなかった。
その日つかんだ楽しむコツのおかげで、そのあとの料理教室の学びはさらに楽しく豊かなものになったと思う。
もし料理教室に行くことがあれば、ぜひ皆さんに「勇気」を出していただきたい。


≪終わり≫

 

 

***

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2025-11-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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