目を閉じて、いつも思い浮かぶ「理想の私」に
*この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:izmy(絶対麗度ライティング)
「ブラボー!」「最後は音程合ってよかった〜!」「声がかっこよいですね」
都内某所のスナックでデュエット相手と笑顔を交わし、気恥ずかしくも拍手を浴びる私。
恩師のバースデーパーティで一緒にデュエットを歌う企画があり、主賓である恩師に主旋律を歌ってもらいたくて、私は男性ハモリパートを担当。
音感は無く、カラオケでハモリパートを担当するのは人生で初めて。
何年振りかにカラオケに通い、練習を重ね、パーティー本番。半音くらい音を外し続けるとっても微妙な歌声を披露したにも関わらず、歌い切った後は温かい大きな拍手があり、参加者の皆さんが私にも声をかけてくださったことが嬉しかった。
誰かのために初チャレンジして、ベストを尽くすために努力を重ねることができた。
そして、カッコ悪くても、勇気を出して人前で表現することに達成感があった。
「私は、一流の俳優になる」
絶対麗度2期目の目標に掲げた私は、その後、どんな役であっても、前向きを忘れなかった。
プライベートでは、天狼院書店の演劇ゼミや朗読ゼミ、パフォーマンスゼミで自分の見え方を認識し、自分の目指す方向にコントロールできるように取り組んだ。先生からは一人ひとりの個性を活かす温かく丁寧な指導をいただけた。そのレッスンの成果を舞台やオンライン配信などで発表できる場があることで、座学だけじゃない、強めの緊張感を維持してより高いクオリティを目指すことができた。
仕事場の私は、今後社内で育つかどうか分からない新技術の案件を担当していた。
大まかな方針を書いた部長のメモ書きを見ながら、自分なりに必要なことを分解し、市場調査や手元にあるツールの実験を行う。その結果と今後の計画を報告資料にまとめる。
ひとり実働部隊、という役割は変わらないが、少しずつ案件に参加する管理職が増えてきて、4月には予算付きのプロジェクトとしてスタートラインに立った。
手と足を動かすタスクは全て私担当、複数の管理職からレビューという名の「ありがたい」……いや、時には有り難くない山ほどの指摘が降り注ぎ続ける状況は、適度なストレス解消が必要で、ディスコのような空間でサンドバック相手にパンチとキックでエクササイズする「暗闇キックボックシング」へ仕事帰りに通っていた。
暗闇キックボクシングでは、30分間のエクササイズの後、マインドフルネスタイムとして静かに胡座で座り、目を閉じ、呼吸を整えながら「自分のなりたい姿、理想とする自分」を思い浮かべる。
「いつも笑っている自分、ゆとりのある自分……ポジティブな姿を思い浮かべて。今日のエクササイズを通じて、一歩ずつ、理想の自分に近づいています」とインストラクターが声掛けをする。
その時自然に思い浮かぶ私は
「堂々と人前で講演している自分」
だった。
この姿はボクシングとは直接関係なさそう、と思いながらも、毎回マインドフルネスの時間に毎回登場するのだった。
私は人と話すことが苦手だ。道に迷って、歩いている人に声をかけることができない。
そんな会社員なので、市場調査のセミナーに足を運び、登壇者や出典企業との名刺交換は、相当な勇気を振り絞って名刺入れを握りしめて向かっていた。
名刺交換は必須ではないけれど「この方、この企業とは仕事で繋がっていきたい」と思うから、一歩足を踏み出し続けた。
新緑が爽やかな5月。
新技術を社内にも広めていこう、という上層部の意向が強くなり、全社員向けにオンラインライブ勉強会を開催することになった。
約40分のコンテンツのネタ作り、パワポ資料とスピーカー原稿を作り、部長に何度も内容を叩かれ、練習の録画をチェックし、迎えた本番。
たぶん、途中で噛むかもしれない。それでも、完璧に原稿通りに話し切ることよりも、熱意と明朗さで、社員のみんなに「ちょっと面白そうかも」「自分も試してみよう」と前向きな気持ちを持ってもらえるような雰囲気を演出しよう! と会議室に向かった。
オンラインライブなので、会議室には私一人、のはずだった。
会議室に行ってみると、直属の役員と、面倒見の良い管理職Aさんが座っていた。
おっと……誰かがリアルに目の前にいると緊張するぞ〜〜〜〜!!!
役員は冒頭のスピーカーなので、ご自身のパートが終わったら途中退席するはず。
Aさんはスピーカー&機材操作などワンオペの私に気遣って、見守り隊として同席してくださる、とのこと。
想定とは違ったシチュエーションだけど、勉強会、やりきろう。
やりきった!! 途中やっぱりちょっと噛んだけど。
講座終了後、目の前には役員とAさんが変わらず座っていた。
役員は
「お疲れ様でした! 話、上手だね。アナウンサーにとても分かりやすかった。何かスピーチ関連で習ってるの?」
と労いと褒め言葉をかけてくださった。
そうなんです! 演劇や朗読などをやってまして!!!
という心の声とともに脳内ガッツポーズをして
「はい、喋りに苦手意識があったので、少し勉強しました」
と、はにかみながらお礼とともに伝えた。
部長からも
「完璧でした! 熱意が伝わってよかった!」
と珍しく褒めてもらった。
社内アンケートでも「興味をもった」「私も新技術を試してみようと思った」と前向きなコメントが多く寄せられた。
溶けるように暑い8月。
プロジェクトは一層スピード感を持った推進を求められた。残業時間も積み重なる。
海遊びでリフレッシュしながらも、演劇ゼミの講演日が近づいたり、母の体調不良による看病が必要になる時期もあったりと、心身ともにハードな時期となった。
市場調査活動の中で名刺交換をした企業とコラボレーションをして、役員向けの新技術体験講座を主催することになった。会長、社長から部長までの上層部が参加する。
一般社員の私は、そんな場に身を置くことは初めてだ。
メインスピーカーは取引先企業だが、社内調整や案内、会場の準備やMCは私が担当する。
いわゆる「偉い人たち」がリアルに集まり、その場でMCをやるのは「緊張」でしかない。
だけど、これは、まさに「アレ」なんじゃないかと思った。
「堂々と人前で講演している自分」
講演、とは違うけど、MCってそういう一面もあるよね。
笑顔で背筋伸ばして、やりきろう!!
やりきった!! ちょっと進行微妙なとこあったし、やっぱり噛んだ部分もあるけど、上層部の皆さんが課題感を持って前向きに参加してくださったから、場が盛り上がった。
完璧ではなかったけど、私は堂々と人前で話していた。
絶対麗度でシェイプアップされたからネイビーのパンツスーツが決まった。
あの暗闇キックボクシングのマインドフルネスで思い描く自分、そのものだった。
そして「取引先と名刺交換をした日」を思い出す。
あの日の勇気が、仕事につながった。
前に進んだ。
仕事を創る、開拓することのきっかけづくりを自分も担えたような気がして、この日のビールは本当に美味しかった。
これらの活動をきっかけに、私宛に新技術に関する相談や質問が多くの社員から寄せられるようになった。
うちの会社って好奇心のある人や、意欲、課題意識がある人が多いんだな、これってすごくいいことだし、恵まれた環境かもしれない、と気づくことができた。
「私は、一流の俳優になる」
と目標に掲げた私は、当時の絶対麗度ライティングでこんなことを書いていた。
「新技術の情報収集をして、チームに共有して興味をもってもらうこと。
実直さだけでなく、相手を楽しませようと企てる。様々な感情が生まれて揺さぶられても、自分をコントロールして美しい姿勢と表情を保つ。美しい笑顔・かしこい戦略・豊かな情報がウリの、よろずや相談所になること」
おおむね、達成できてる、と思う!
自分のなりたい姿を具体的なエピソードやストーリーに描くという「ファンタジー思考」の効果かもしれない、と実感した。
ただ、この時描いたストーリーには続きがある。
「そして、いつか、まだここにない新しい役割を開拓して、仲間づくりをして、みんなが輝くビジネスの舞台をプロデュースしたい」
私は、これをやりたい。
これまでの積み重ねで少しずつ自信もついてきた。
人前で表現することにも慣れてきた。
意欲もあるから、きっと、私はできる。
引き続き「一流の俳優になる」という意識は忘れずに、プロデューサーになるストーリーを描き始めてみようかな。
ファンタジーは、どこまでも自由で、いつだって、自分にとって一番面白いドラマだもんね。
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この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。
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