けっこん、します。

第9回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》


記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

 

‘おふたりの土台作り、関係性を築く基本’をこれまで、第2章としてお伝えしています。

個人の見解で異なる事もあるかと思います、個人差もございます。

これらをよくご理解頂いた上で、読み進めて頂きたいと思います。

今回は‘健全な関係をつくるための基本原則’について、です。

会話は成立している。けれど、どこか噛み合っていない。私はその“わずかなズレ”を、職業柄、敏感に感じ取ることがあります。

 

 

「少しだけ、別の話をしてもいいですか?」

と私が言うと、ご新郎・ご新婦様がお顔を上げた。

私は、ゆっくりとペンを置き、迷いながら静かに言葉を選んだ。

「お2人は日頃から、どこまで本音で話せていますか? なかなか全部は伝えられいです。と言う方が多くいらっしゃるので、お聞きしました」

空気が、ほんの少しだけ止まった。

 

最初に口を開いたのは、ご新婦様だった。

「正直に言うと、あまり言えてないかもしれません」

「ケンカになるのが嫌で、飲み込むことが多くて」

ご新郎様は少し驚いたように、

「え、そうなの? そんなに我慢してる感じに、見えなかったけど」

と彼女を見た。

その一言に、彼女の表情がわずかに揺れた。

「だって、言ってもどうせ分かってもらえない。と思って」

ここで、多くのカップルはすれ違う。

気づかなかった側と、気づいてほしかった側。どちらも悪くない。

ただ、言葉が足りなかっただけだ。

 

「今の“違い”が見えたこと、すごく価値があります。

結婚って、相性がいいからうまくいくんじゃないんです」

と私が言うと、お2人の視線がまっすぐに集まる。

お互いのズレを言葉にして、すり合わせ続けられるかどうか。

そして、沈黙。

でもそれは、これまでの沈黙とは違った。

考えている沈黙。

受け止めようとしている沈黙。

ようやく、言葉になった“意見”じゃなくて、“背景”が。

「両親には、きちんとしてる。って思ってもらえる演出は、残して他で調整するっていうのはどう?」

ご新郎様は少し考えて、うなずいた。

「それ、いいかも」

その瞬間、空気が変わった。正しさのぶつかり合いから、

 “二人で作る選択”へ。

打ち合わせが終わる頃には、二人の距離は、最初より少し近づいていた。

完璧に分かり合えた、わけじゃない……。でも“分かろうとする形”ができていた。

 

打ち合わせが終わると、ご新婦様がぽつりとつぶやいた。

「なんか、ちゃんと話すのって、ちょっと怖いけど……。でも、必要ですね」

ご新郎様も笑って言った。

「うん、むしろ今まで、なんとなくでやって来れたのが、不思議かも」

「結婚生活って、今日みたいな会話の積み重ねなんです。ズレは、なくならないです。でも、言葉にすれば、必ず整います」

私は、最後にこう伝えた。

お2人は顔を見合わせて、少し照れくさそうに笑った。

 

その笑顔は、さっきよりもずっと“同じ方向を見ている顔”だった。

少しずつズレながら、言葉で寄せていくこと。

そしてその作業を、やめない二人だけが、長く続いていく。

 

 

新郎新婦の健全な関係をつくる基本原則

 

1|“察して文化”を卒業する

「言わなくてもわかるでしょ?」

は、ほぼ幻想。特に結婚初期は、バックグラウンドが違いすぎる。

実務的には、

期待値、優先順位、NGラインなど。これを言語で合意し形成する。

 

2|“事実・感情・要望”を分けて話す

かなり重要なフレームです。

例えば

事実:「最近帰りが遅い」

感情:「少し寂しい」

要望:「週1回は一緒にご飯食べたい」

この3つを混ぜると、ただのクレームになります。

この3つを分けると、“建設的な対話”に変わる。

 

3|“正しさ”より“関係性”を優先する

夫婦で勝ち負けをつけた瞬間に、どちらかが負け続ける関係になる。

賢い方法は、

「どちらが正しいか」ではなく

「どうすれば、2人にとって最適か」ここに着地させること。

 

4|“小さな違和感”を放置しない

違和感って、初期はめちゃくちゃ小さい。でも放置すると、後で“価値観のズレ”に進化する。

強いて、ビジネス的に言うと

初期のバグは、即修正が最もコストが低い。

 

5|“感謝と承認”は言葉にして増幅させる

これはシンプルだけど最強。

「ありがとう」「助かった」「それいいね」

言葉にすると、関係の“資産”になる。

言わないと、ただの“無風”。

 

 

言葉にする”の本質

言葉にするって、単なる会話じゃないです。

本質は「見えないものを、見える状態にする」こと

気持ち。期待、不安、未来像などを可視化して、2人で共有する。

これが“健全な関係のインフラ”です。

いい夫婦って「相性がいい人たち」じゃなくて“ズレを言語で修正し続けている人たち”

 

好きから始まり、理解に変わり、やがて信頼になる。

‘おふたりの土台作り、関係性を築く基本’は、いかがでしたか?

次回からは‘第3章 向き合うこと’について、お伝えしていきます。

 

 

 

❒ライタープロフィール

藤原 宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』

愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に26年携わり、2200組以上の花婿花嫁さんの人生のスタートに関わり続けています。

思い立ったら即行動、世界中どこまでも行く。好奇心旺盛で知らない事は、どんどん知ってみたい。何があってもすぐ、前向きに切り替える。

ブライダル業務の経験を活かして、次の世代に何を繋げていけるのか? 未来に社会に、何を残せるのか? を模索しています。2024年より天狼院で学び、日々の出来事から‘書く事と発信する事’に真摯に向き合い、楽しみながら学び、日々精進しております。

 

 

 

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