メディアグランプリ

もっと堂々と好きになれたら……。


 

 

 

 

*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:三澄翔太(2026年5月開講・渋谷/会場・4か月コース)

「2025年9月21日(日)に、私たちから大切な大切なメッセージがあります。」

「……メジャーデビューから20周年を迎える日に?これは……まさか!」

見た瞬間に予感がよぎった。だから、当日は朝からメッセージをチェックした。

「私たちは2026年からPerfumeを一度 コールドスリープ します。」

当たってしまったっ。今回はいいかと思っていた翌々日にあるドームライブのチケットを即座に取る。こういう時の瞬発力は大事である。こうして無事に取れた活動休止前最後のドームライブ。本番中は涙ぐむシーンがありつつも「今ここに没頭しようッ!」の意識だったので大きく泣くことはありませんでした。最後の3人の言葉は「感無量」という感覚で涙ぐんだくらいで終わりました。口の中はちょっとしょっぱかったですが……。ただ、その翌日は違いました。

職場で隣の席の同僚に「ライブ観てきましたよ~」と話している最中。

トイレで昨日の3人に触れたニュースを読んでいる最中。

ランチでワラサの漬け丼を食いながら昨日の局と場面を振り返っている最中。

至る場面で昨日の臨場感や言葉が蘇ってぶわっとすぐに涙を我慢しなければならない状況でした。だからこそ、昼休憩中トイレに篭って、感動と感謝の涙を流してボロボロ声なき号泣をしました。

さて、これほど熱量がある文章を読むと僕に対して、「本当にPerfumeが大好きなんだな」と思うのではないかと思います。実際、シチュエーション別好きな曲ランクとか書こうと思えばたくさん語れます。でも、今日語りたいのは、好きについてではありません。好きに対する後悔です。それは、自分の好きを堂々と好きになりきれなかったことへの後悔。僕がそれに気づいたのは、ライブを終えて、東京ドームから水道橋駅に向かう途中のことでした。

「あれ?いつも以上にFacebookの反応が気になっている?」

その日はライブ会場に着いたことや終えた後の感想など、僕としては珍しく一日に何度も投稿していた日でした。これまでも、SNSに投稿した時の反応が気になる時は普通にあります。でも、こんなに気にしすぎているの何故? まだ夜風が冷たい中、水道橋駅まで歩いている最中だったので、イメージの中でそっと胸に手をあてて自分に聞いてみる。

「……そっか、怖いんだ」

僕は好きなことを発信した時、その反応が怖かった。そして、その恐怖があるから、人に好きを言うことを恐れていたし、自分の好きを堂々と好きになれなかった。活動休止……完全に失った訳ではないけど、こうなってみて初めて「もっと好きになって、たくさんライブに行っておけばよかった」と思います。

「じゃあ、堂々と好きになりきれなかったんだろう?」

「もっと好きを大事にしたい」

だからこそ、少しだけ自分の経験を振り返ってみようと思います。

思えば、保育園とか小学校4年生くらいまでの僕は無敵でした。母親に何度怒られようが、部屋には大好きな電車のプラレールを敷き詰めて遊んでいましたし、友人の家で遊んだゲームにハマりカービィというキャラが大好きになって、リビングでずっと遊んでいました。夢中で好きにのめり込む……まさに無敵です。

そのヒーローのような無敵状態にも挫折が訪れます。小学5年になると、僕はいじめられるようになったのです。いじめっ子からはバイキン扱いされたり、話し方を馬鹿にされたり、軽く暴力を振るわれたりする中で。

「お前男のクセにこんなかわいいのが好きなのかよ。気持ちわりいな」

それは当時テレビでやっていた大好きなカービィのアニメの話を楽しく友達と話していた場面です。いじめっ子は聞き耳を立ててすぐにからかいにきました。その時の自分には、終わらぬいじめに対して逃げるしかなかった状態です。だから、好きなことをバカにされたくない気持ちから、何も言わないようになりました。ここがきっかけだったと思います。

中学校になって、たまたまいじめっ子と違う学校になり、いじめはなくなりましたが、「好きなものはバカにされる」と無意識で感じていました。

「カービィそんなに好きなの?」

「もしかして電車好きなん?」

これらの質問は、まるで歴史の授業で学んだ隠れキリシタンをあぶり出すための踏み絵のようでした。

そして、高校から大学生を経てPerfumeと出会います。この頃になると、友人と自分の好きを多少語ってもいいかなと思えるようになっていました。でも、当時のPerfumeは全ての人ではありませんが、一部の人には認められていない部分もありました。友人にも、

「どうせ口パクじゃん!」

「あんな電子音のどこがいいの?」

「お前が車の中でかけたせいで気持ち悪くなったわー」

と言われることも多かった。この時には笑って返すこともできるようになったけど、傷ついていた。

ここまでバカにされていようと、堂々と好きになっていればよかったのかもしれません。これが僕の好きに対する後悔です。だけど、振り返ってみて、こうも思います。

「これからはもっと自分の好きに対して堂々としよう」

今だって、こうやって傷ついてきた過去やバカにされてきて人に言うのが怖かった好きについても堂々と書くことができています。そして、Perfumeのライブ翌日に、この気持ちも語った僕の投稿では、信頼できる友人向けではあるものの、

「ほんとに素晴らしいよね」

「その言えない気持ちよく分かる。私もそうだった」

「素敵な思いを聞かせてくれてありがとう!」

と嬉しい声をたくさんいただけました。そして、この文章のように自分の気持や好きを、さらに素敵に発信できるライティングも学んでいる。だからこそ、これからは堂々と自分の好きを認めて、発信できるよう楽しんで行きます!

<終わり>

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