晩年の苦労をどう打破するか
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:羽衣姫 香耶(ライティング・ゼミ日曜コース)
「晩年、苦労する。と出てますね」
そう彼女に言われて
「おい。ちょっと待て」
と思った。
ここまでの人生、決して順風満帆ではなかったぞ?
私の人生45年(当時)。本人的には結構、大変だったぞ?
なので、これからの人生はもうちょっと良いことが待っていてもいいではないか。新しい仕事を始めるにあたって、ちょっとは先行きの明るい話も聞きたいじゃないか。
多少、苦労するにしたって、何か希望があれば頑張れるじゃないか、と思い
「あの占い面白かったよ」
と姉から聞いたので、楽しみにその占いを受けてみれば、占い師さんより
「一時は伸びますが、ずっと、というわけにはいきませんね……」
とのお答え。
そうは言われても苦労三昧だった人生を打破したい私としては
「いえいえ。一時だけではさすがに……ずっと、良い感じで伸びるようにするにはどうすれば良いですかね?」
と質問したくなるのが人情だろう。
けれど、その答えは無情にも冒頭の答えになるのである。
「うーん……晩年、苦労する。と出てますね」
「いやいや。これまでの人生も結構、苦労してきたと思うんですけど。まして、私、もう45才なので、そろそろ晩年に片足突っ込んでると思うですが。それなのに、まだ苦労しなくちゃいけないんですかね?」
思わず思考が口をついて出ていた。「おい。ちょっと待て」と言葉に出なかっただけ、まだマシだろう。
小学校までは成績優秀でスポーツもそれなりに頑張って、ちょっと自慢だった息子は中学校で不登校になった。
働き盛りだった夫は、大きな病気をして一時、生死の境をさまよった。
そして何より私自身が実の母親との不仲で長年ずっと悩みを抱えていた状態だった。
そんな状態だったのが、不登校の息子はそれでも笑顔を見せるようになり、夫は何とか生死の境を抜けて生還し、不仲な母とは不仲なままでも、ある程度の折り合いをつけ始めた矢先の
「晩年苦労する」
である。
そろそろ人生の頑張ったご褒美がもらえても良い頃合いではないかと思っていた私にとって、これはもう、自分の人生のシャッターがガラガラピシャン! と閉まる音が聞こえたように思えても仕方がない状況だった。
何とか「晩年の苦労」を回避したい私は必死に占い師さんに食い下がる。
「どうすれば、苦労しないで済みますかね?」
占い師さんはう~ん、と鑑定書を見つめた後
「今日の服は青色を着てらっしゃいますが、普段も青はよく使いますか?」
と質問してきた。
「あ、そうですね。青色は好きですし、人からも似合うと言われているので、よく着ます」
なぜここでいきなり服の話? とも思ったが、とりあえず質問に答えると
「ああ……なるほど……」
と占い師さんに苦笑されてしまった。
「緑色は使いますか?」
と今度は色の話をしだした。
ところが緑は「緑って信号機以外にどこで使ってましたっけ?」と言いたくなるぐらい、私にとって全く興味ない色だったので、素直に
「いえ。緑の物は服も小物も持っていません」
という答えになった。その私を聞いて、占い師さんは
「そうでしょうね」
と、ふぅとため息をついた。
「あの~色がどうかしましたか?」
と尋ねると
「色であなたの運の良さが変わるんですよ」
と占い師さん。
「ああ、風水で西に黄色を置くと金運が上がる。とかいうやつですか?」
「それに似ていますね。でも、例えば黄色が羽衣姫さんにとって運気を落とす色だと、いくら西に黄色を置いたとしても金運は上がりません」
「え? ということは……」
「そうなんです。青は実は羽衣姫さんにとって運気を下げる色なんです。そして緑が運気を上げる色なんですが、なぜか人生の苦労をしている方って、自分の運気を下げる色を好んで、運気を上げる色は眼中にないんですよね」
色が運気を上げる? そして青色が私の運気を下げる?!
そんなバカな!! と思うものの、こう質問せずにはいられなかった。
「ということは、晩年苦労するように仕向けているのは私自身ですか?!」
「いえ。そもそも運気として晩年苦労するという相が出ているんですが、それをわざわざ増長しているというか……」
と苦笑いの占い師さん。けれど彼女は「でも」と言葉を続けた。
「でも、大丈夫ですよ。運気が上がる色と数字を普段から心がけて身に着けておくと、自分の運気を変えることができるんです。なので、羽衣姫さんもこれからは緑とこの数字を意識して使うと、これからの人生が変わってきますよ」
数字と色を意識しただけで運気が変わる?
そんな話は、にわかには信じられなかったけれど「100万円の壺を買えば運が上がる」と言われればあきらめるしかないが、数字と色を意識して使えば良いだけ、とのこと。それなら帰りに100均に行ってグッズを揃えるぐらいなら数百円で済む話。
晩年に片足突っ込んだ身としては、これ以上の苦労を強いられるのは、どうしても避けたく、早速実践してみることにした。
色、数字、色、数字、色、数字……
それらを意識して3年。
今現在は。
「あなたは世に言うラッキーセブンが逆に運気を下げてしまう人なので、こっちの数字を使った方が良いですね」
と、占い師になった私が目の前のクライアントさんに対してアドバイスしている。
そう。私はあれから「数字と色を意識する」を心がけたことにより、家庭は円満、仕事は楽しくなり、収入もUPし、見事運気を変えることに成功した。そうなると、逆になぜそうなるのかが不思議で、この占いにどんどんはまり、ついには占う方の立場になってしまったのである。
そして、今日も私の元には、あの日の私と同じように、運命転換したいのにその方法が分からずに、もがいている人が訪れる。
私は「え? その色、全く興味ないんですけど」と言うクライアントさんに出会う度に、あの日の自分を思い出しては
「大丈夫です。今日から意識して取り入れてみて下さい。それだけで運気が全然変わりますよ」
とにこやかにアドバイスをしている。
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