おもちゃ屋泣かせ? 財布にやさしいプレゼント
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:ゆうじパパ(ライティング・ゼミ平日コース)
僕には息子がいる。
2018年5月、息子は2歳になった。
その時のこと。
誕生日前日の晩、すやすや眠る息子をよそに僕はあせっていた。
なんということだろう、誕生日プレゼントを買い忘れていたのだ。
妻に聞いてみると、妻はちゃんと絵本を買って用意していた。
まだ息子はどちらからのプレゼントか正確に判断できるわけではないので一緒のプレゼントとしても何ら問題ないのだが、僕も何かプレゼントをしたい。
自分のプレゼントに喜んでいる息子の顔が見たいのだ。
2週間ほど前には「来月息子の誕生日だ、2年ってあっという間だなぁ」と自分の中でしみじみとしていたのに……
日々の家事育児の忙しさの中でプレゼントのことだけすっかり抜け落ちてしまっていた。
ハッとしても時すでに遅し。
誕生日当日に買いに行く暇もないし、驚きのスピードで届けてくれるAmazonさんでも息子の保育園帰り直前にピンポイントで送り届けてくれるようなところまでは面倒を見てくれない。
息子が喜ぶものはすぐに思い浮かぶのだが、残念ながら調達する手段が思いつかない。
万事休すか……
若干あきらめが入りつつ、いい手段が見つからないのは部屋が散らかりすぎていて気が散ってしまうからだ! と部屋のせいにしてしまいたくなった。
なんてアホな父だろう。
部屋のせいにしても何も解決しないので、とりあえず気分転換に部屋の片づけをすることにした。
イヤになるくらい、うちの家にはモノがあふれていて散らかっている。
子供の服やおもちゃがたくさんあるからどうしてもね、ではなく僕たち夫婦のものがあちこちに散乱している。
泥棒がうちに忍び込んだら、この家はもう物色された後か、と思われてしまうくらい散らかり放題。恥ずかしい限りだ。
気分転換にということもあって、特に場所をとってしまっている段ボールを折りたたんで片づけていくことにした。
最初に目をつけたのが、マットレスの布団を買ったときに梱包されていた背丈の高い段ボール箱。
「こいつを片づけたら、結構すっきりするぞ!」と解体しようとしたが、結構しっかりビニールテープが張られていてハサミなしでは解体できそうにない。
仕方がないので、箱の置いてあった2階からハサミの置いてある1階へ移動した。
167cmの僕の身長よりも背丈のある段ボール箱を縦に抱え、狭いのに荷物が散らばめられた危険な階段をするりと下りて行くとき、神が降臨した。
「あれ? なんか大きい箱抱えて下りるだけでも楽しいかも?」
ふと何気なくそう感じた時、この大きな段ボール箱はおもちゃになると思った。
もちろん息子には大きすぎるので息子が抱えたりはできないが、直感でいいおもちゃになると確信していた。
後はこれをどう生かすか。
ここからは早かった。
最近ものの名前を言えるようになってきた息子がよく口にするのが、アンパンマン。
「アンパンマン、アンパンマン、アンパンマン」
結構早口で連呼する。これがまたかわいい。
僕は段ボール箱にアンパンマンのイラストを貼りつけることを思いついた。
なんとも都合がいいことに、縦に長い段ボール箱は底面がA4用紙の縦の長さとほぼ一緒の正方形!
インターネットでアンパンマンのイラストを探した。
ありがたいことに、アンパンマンのイラストは簡単に見つかった。
息子が名前を覚えているアンパンマン、バイキンマン、ドキンちゃん、チーズ。そのほかは主要なキャラ達をチョイス。
ささっと10数枚ほどA4用紙にエコノミー印刷して、そのまま四隅を両面テープで段ボール箱に貼りつけていった。
たまたまだが、両面テープを段ボール箱のビニールテープ上に貼りつけると貼り間違えた時にはがしやすくて便利だと発見した。テープをはがす際に段ボール箱がベリベリめくれることがない。
いやはや、捨てるのをとどまらせてくれたり、便利だったり、しっかり貼られたビニールテープさまさまだ。
そんなこんなしつつ、あっという間に背の高いアンパンマンボックスが完成した!
手の込んだ作り方をしたわけではなかったが、案外いい感じ。
僕はホッとして、完成したアンパンマンボックスを抱え息子に見つからないよう階段の途中に裏向けて隠しておいた。
誕生日当日、息子を保育園に迎えに行き家に到着した後、玄関に息子を待たせ階段に隠しておいた大きな段ボールを部屋の中央にそっと置いた。
僕はまた玄関に戻り、息子に部屋の扉をあけるように促す。
どんな反応をするだろうか……
緊張の瞬間。
息子が扉を両手でわっせわっせと右にスライドさせ、あけ終わろうとした頃だった。
「アンパンマン!!」
ゆっくりと、大きく、嬉しそうな声を発しながら、2歳の息子が僕のほうに振り返った。
驚きと嬉しさが入り混じった歓喜の表情だった!
僕は嬉しくてたまらなかった。
僕の喜びをよそに、2歳の息子は僕の靴を脱がすスピードがまどろっこしいと感じているかのごとく、即座にアンパンマンボックスに駆け寄っていった。
「アンパンマン」と何度も指さしして連呼したり、なぜか大好きなチーズを引きちぎって破ったり、ボックスを倒して喜んだり、中に入ったり、バンバン叩いたり、上に乗って遊んだり。
存分に堪能してくれた。
2歳の息子の歓喜から数十分後。仕事から家に帰ってきた妻が、大きな段ボール箱に気づいた。
「なにその大きいアンパンマンの、いつ買ったん?」
その一言に、僕は小さくガッツポーズした。
いらない段ボール箱がおもちゃになった。
さらに、うちでは毎年ほぼ年末にしか稼働することのないプリンターを活かすことでキャラグッズにもなった。
同じ年頃のお子さんがいる家庭はぜひ試してみてほしい。
ぼろぼろになっても、破られても平気。しかも子供は大喜び。
この組み合わせ、最強です!
僕がそのあと家族3人でした誕生日パーティーで終始ご機嫌だったのは言うまでもない。
誕生日プレゼント、買ってなくてよかった!
なお、部屋が片付いたかどうかはお察しくださいませ。
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