ニコチン依存症の夫と砂糖依存症の私
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記事:牧 美帆(ライティング・ゼミ平日コース)
うちの夫は煙草を吸う。
なぜ吸うようになったのかと以前聞いてみたのだが、なんでも若い頃に、
「煙草吸う男の人って格好いい! もちろん牧君は煙草を吸うよね?」
と、イケてる女子に言われ、
「おう、もちろんやで☆」
と「ええかっこ」したのが、煙草を吸い出したきっかけらしい。
そのイケてる女子とやらに恨み節の一つも言いたくなるが、2000年前後はそういう時代だったので、しょうがないといえばしょうがない。
1999年に大ヒットした宇多田ヒカルの「First Love」に出てくる男性も、普通に煙草を吸っている。
当時流行っていた漫画の「NANA」でも、メンバーは普通に煙草を吸っている。
私はその頃、はじめて会社勤めを経験したが、社員の喫煙率が高く、分煙が全くされていない喫煙スペースで、結構重要な話がやりとりされていた。
ビジネスは会議室で進んでるんじゃない、喫煙スペースで進んでるんだ、という状況だった。
同期の営業は、喫煙スペースでの話についていくために、煙草を吸い出したくらいだ。
また、新幹線の出張が多い仕事だったが、当時の喫煙車両は「あそこに座るくらいなら、デッキで立っていた方がマシ」と思える臭いだった。
当時の煙草の値段は、200円そこそこだったように思う。
とにかく、今と違って、煙草が「当たり前」の時代だった。
夫と付き合い始めた2010年、煙草が大幅に値上げした。
300円のマイルドセブンが、410円になった。
夫はそのとき、煙草をやめようとしたが、長くは続かなかった。
仕事でストレスを感じたときに、吸ってしまうそうだ。
1箱千円になれば辞めると言っているが、多分辞めないだろうなと思う。
ずっと、夫が煙草をやめられない気持ちが理解できなかった。
しかし最近、私は夫のことを言えないかもしれない、ということに気づいた。
私はここ数年、太り続けている。
2012年の出産後にするすると体重を戻し、2014年には「大人AKBオーディション」に応募してみようかなと一瞬考えた程度には、そこそこのスタイルを保っていた。ちょうど「2629(34)理論」でいう34歳のときだ。
しかし、その直後にお姑さんと同居したあたりから太りはじめ、ついに臨月のときの体重を突破してしまった。
仕事のストレスだろうかとも考えたが、2017年に転職しても体重は減らなかったので、どうやら直接は関係なかったようだ。
そんなに沢山食べてるわけではないのに、なぜ太るだろうか……。
その答えが、もしかしたら「砂糖」にあるのかもしれないと、最近考えるようになった。
きっかけは、勝間和代さんのブログだ。同性パートナーの存在をカミングアウトしたことで注目を集めた際、そういえば10年位前に本を何冊も買ったなと思い出し、最近のブログを読んでいたところ、砂糖を断っているということを知った。そういえば彼女はベストセラーを連発していた10年前よりも、美しくなっているように思う。良いパートナーに巡り会えたということだけではないのかもしれない。
夫は仕事でストレスを感じると煙草を吸うと言っていたが、私の場合は砂糖だ。
2017年まで勤務していた前の職場では、煙草を吸わない人が多くなっていた。その代わり、お菓子を食べる男性が増えたように思う。部長も「チョコレートでも食べないと、やってられないからねー」といいながら、食堂の横の売店でチョコレートを買っていた。
部長もそう言うんだし、やっぱり甘いものを食べた方が、仕事もはかどるよね、自分に言い聞かせながら、お菓子を食べていた。
当の部長は、とても恰幅がよかった。
甘いものを食べると、なんとなく気持ちが落ち着く。
最近はコンビニで、クッキー1枚だけとか、チョコレート1粒だけとか、箱買いしなくても、少し高級感のある「ちょこっと」のお菓子が手に入りやすくなっている。
カフェオレやミルクティーとセットで、この「ちょこっと」のお菓子をコンビニで買う。
ちょこっとしか食べてないから大丈夫、甘いけど飲み物だから大丈夫。
その積み重ねが身体を蝕み、今の肥満につながっているのかもしれない……。
試しに、少しだけ砂糖を控えてみようと、いつも飲んでいるカフェオレを、ブラックコーヒーに変えてみる。
そして「ちょこっと」のお菓子を買わないようにする。
最初は平気でも、しばらく経つとイライラしてくる。
落ち着かなくなる。
集中できない。
空腹感を感じて、お腹がキュウキュウする。
頭がクラクラする。
そして大好きなクッキーやチョコレートが次々と浮かんできて、思わず、つばを飲み込んでしまう。
やばい、これは本当に依存症というやつではないだろうか……。
煙草のニコチンと同じように、砂糖も身体に溜まることで、依存してしまうのか。
夫に煙草をやめろといいながら、私が砂糖をやめられなくなっているとは。
というわけで、砂糖を控える生活を始めた。
コンビニに行けば、今年の夏は「チョコミント」推しだそうで、誘惑がすごい。そもそも私はコンビニに行ってはいけない。
あと、最近は認知症を患うお姑さんの介助をすることが多いが、太っていると介助してもらうことも大変だと気づく。大切な一人息子に苦労をかけたくない。
それに、最近ちょうどいい目標を見つけた。「秘めフォト」に参加することだ。
女性のゴールデンエイジは残念ながらとうに過ぎてしまったが、それでも38歳なりの美しさが、この贅肉の向こうに秘められているはずだ、とお腹の肉をつまみながら考える。
私が砂糖依存症から脱して、更にSEXYな写真も撮ってもらえば、夫もニコチン依存症から脱しようと努力してくれるかもしれないなと、密かに期待している。
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