メディアグランプリ

オヤジ化する女子がオヤジをダメにする


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ハル(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「最近、どんどん格好がなんでもよくなってきちゃった」
「昔は、月の洋服代や化粧品代がやばかったのに、最近は全然買ってない」
「なんでもいいよね、どうせだれも気にしてないし」
 
職場の女性たちが休み時間に話しているのをよく耳にする。いつまでもおしゃれで綺麗にしていたいと女性たちは思っていると世のオヤジたちは思っているかもしれないが、女性も楽をしたいのだ。
 
「もうおしゃれ代がバカバカしくなったんですよ。そのお金は他につかいたいです」
 
女性たちに質問すると、本音で返ってくる。確かにおしゃれをするのは、労力がかかるし、もちろんお金もかかる。決して歩きやすいわけではないピンピールを女性たちが頑張って履くのは、おしゃれでいたいからなのだ。そこまでしてオシャレをしたいという女性は、今後絶滅危惧種になるかもれないけれど。
 
「お店に入るのが面倒くさいから、ここで食べていこう。デパ地下の惣菜は美味しいし、パンやお弁当、デザートまでなんでもあるし」
 
先日、久しぶりに渋谷のデパ地下街をのぞいてみたら、いつの間にか立ち食いスペースが
できていて、カップルが会話をしていた。お家まで持って帰ってから食べなくてもいいし、理にかなっているといえばそうだ。でも、なんでも人目を気にしない世の中になったら、女性のピンヒールはなくなるだろうし、ドレスアップした女性もいなくなる。それはそれで、男性にとっても残念な世の中だ。
 
 
最近は、立ち飲み屋が女子の間でブームらしい。北の赤羽。南の蒲田。立ち飲み屋や老舗の大衆居酒屋が好きな僕がよく行くお店も、今までは女子率0パーセント、純度100%のオヤジの聖地だったのだが、若い女性同士で飲みにきているグループを頻繁に目にするようになった。おしゃれなイタリアンや高級フレンチではなく、彼女たちは、お世辞にも店内が綺麗だとは言えないようなもつ焼き屋さんに、わざわざ足を運んでいるのだ。
 
そして、とうとうデパ地下も立ち食いの時代になったようだ。多分にもれず、ここでも女性たちがすぐそこで買った総菜やお弁当を食べている。今までもデパ地下といえば、帰宅途中のOLがいっぱいいたけれど、立ち食いするOLたちは、もはやそれは、可愛らしい対象とはかけ離れたオヤジの領域ではないか。
 
オヤジ化する女子。
 
「最近、コンビニの中にも椅子とテーブルがあって、食べれるようになってるんですよ! イートインという新しいスタイルみたい。コンビニでも食べれるようになったら、レストランもいらないですよ」
 
職場の女性に教えられながら、またふと考える。
 
自分も最近は昔に比べておしゃれなお店に行くことも減ったし、格好もフォーマルなスーツよりも楽でスポーティな格好を好むようになった。なぜなら、楽だからだ。
 
こうした楽な道に流され、人目を気にしなくなっていくことを、どうやら世の中ではオヤジになったと言うらしい。気がつかないうちに、ジワジワと自分もオヤジ化している現実。
でも、ひと昔前ならば、『レオン』というおしゃれなオヤジ雑誌が流行ったように、歳をとってもオヤジ化しないようにおしゃれに気をつかいながら、かっこいい大人を目指していたかもしれない。
 
しかし、世の中の女性が求めているのは、人目を気にせず、カッコつけない立ち食いスタイルなのだ。『レオン』のようなスタイリッシュさはもういらないし、気をつかっておしゃれなレストランにデートに誘う必要もない。そのうちデートもデパ地下の立ち食いコーナーで済んでしまう時代になるかもしれない。
 
「ちょっとデパ地下寄って食べていく?」みたいな感覚だ。今週のHanakoは、「若者に人気! デートスポットのデパ地下特集だ!」なんて特集が組まれるかもしれない。
 
 
「いくら稼ぎがなくても、女性のデート代はケチらない。男だったら見栄をはってでも女性に奢って、また翌日から仕事を頑張ればいい」
 
とある大物芸能人が口にしていたのを覚えている。女性のために男性が見栄を張りながら、頑張ってカッコつける。よく言えば、女性が男性を育てた時代もあったのだ。おしゃれもいらない、食事はデパ地下でよくなったならば、世のオヤジたちは頑張らなくてもいい。
ゆるゆるでも大丈夫。ゆるゆるなのは、パンツだけではない。頑張らなくてよいオヤジの精神性もきっとゆるゆるだ。
 
それは、自分を含めたオヤジにとって本当に楽なことなのか。
 
オヤジ化した女性が増えた世の中は、オヤジをダメにする世の中なのかもしれない。
たまには、オヤジ化に逆らってみようと思うのだが、デパ地下での立ち食いデビューも
そう遠くはないかもしれない。
 
情けのない話だが、これが僕の現実だ。

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2018-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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