背徳心と好奇心のゆらぎより、こんにちは。
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記事:かをる(ライティング・ゼミ日曜コース)
ちょっと前の、内緒の話である。
何の気なしに、いわゆるマッチングアプリに登録した。
当時私には彼氏がいたのだが、ほんの出来心で登録をしてしまったのだ。
彼に不満があったわけでもなく、遊ぶぜ!と思ったわけでもなく、ひょんなことがきっかけだった。質問に答えていくと、性格診断ができるアプリをやってみただけなのだ。
軽く自己分析をしてみようと思い、質問にサクサクと答えていく。すると、性格診断の最後に、「この結果を、マッチングアプリに連携しますか?」のサジェストが出てきた。
おぉ……? マッチングって今流行りの?
好奇心がむくむく湧いてきたので、いけないと思いつつも、登録画面に進んでいった。
ちなみに、これまで私は恋愛といえば、学校の同級生など友達の延長線上で関係を深めることが多かったので、こういったのはまるっきり初めてだった。どんな人が登録しているかわからないけれど、今の自分のことを知ったうえで、自分と相性が良い人を提案してくれるなら、その結果も見てみたい……。可愛いらしい色合いでの親切な設定誘導と、プロフィールを埋めれば埋めるほどポイントがもらえるシステムなど、すごく心地よい感じで背中を押され、ポチポチと空欄を埋めていく。流石に、写真を登録するのははばかられて、なんとなく知り合いが見てもばれなさそうなラインでプロフィール作成が完了した。
一方、今度は良き人を探す画面に移った。これについては、デフォルトでは性格診断の結果の相性でソートがかかっている。これこそ、このアプリの見せ場なのだろう。
あらま、結構そこらにいそうな方が登録してるんじゃん……!
これが、皆さんを拝見した第一印象だった。いい意味で期待を裏切られ、私はさらに興味をそそられた。試しに何人かのプロフィールを覗くと、自己紹介文に始まり、出身地から居住地、趣味、身長体型、年収、学歴など結構詳細に書かれている。もはや私は感動すら覚えてきたので、色々な条件で絞って皆さんのプロフィールを拝見してみたりした。その結果、年齢や年収、趣味など幅広い方が登録をしていることが分かった。出会いが無い無い、と周りで聞くことが多くなってきていたが、こんなところに広大な市場が広がっているじゃないか。なんとまあ。しかも素敵な人ばかり。
そして、自分の結構俗っぽい一面にも気づいてしまったのだった。
人間顔じゃなくて心だよ、という言葉がある。
お金にとらわれる人生なんてつまらない、という言葉がある。
年齢なんて関係ない、という言葉がある。
それについて、ある程度同意する人生だった。今までは。
しかし、私は男性たちを、まず顔と年齢で判断し、プロフィールを見るかどうか決めていた。
プロフィールを開くとまず見たのは、年収だった。
あーあ。自分も意外と俗っぽいのである。
決して、モデル級とか言わないまでもある特定のお顔の方にときめき、やはり自分より年上がいいなと思ってしまい、そしてとびぬけて多くないまでも自分と同じかそれ以上の年収を、と思ってしまったのだ。
もし、本当に自分がマッチングアプリで婚活をするとなったら、まずはそういったところで選んでしまうのかもしれない。これは確かに効率が良い。性格診断も相性が合う前提で見ているのだから、きっと実際に話をすると、素晴らしい人と出会えてしまう確率も相当高い気がする。行きたいところにまっしぐらである。
色々な男性のプロフィールを見ていると、とても素敵な人であふれていて、多少盛って書いているとしたって、きっと友達として出会ってもいい人たちだろうと想像させる自然さを感じた。もちろん、共通の知り合いのいない出会いなので、危ない側面もあるだろう。宗教勧誘やビジネス目的の人を排除するための運営側の努力も、かなり見て取れた。
ああ、なんて時代なんだろう。自分の俗っぽさに見て見ぬふりをしつつ、そんな風に感動をしていたら、とある男性から、丁寧なメッセージとともに好意を伝えるアナウンスが飛んできた。プロフィールを見て、誠実そうに感じたのでよかったらメッセージをやり取りしないかというのだ。
そこで私は一気に現実に返ってきた。私はそのとき、存分に不誠実だったことにようやく気付いたのだ。真面目に出会いを探しているわけでもないのに、市場に現れてしまった。いろんな方面に不誠実だ。
だけど、なんだか甘美な世界だった。普段は出会えないような人と知り合えるチャンスを知ってしまったし、実際に会ってみるまでもちょっと賭けっぽいようなドキドキ感があるように思えた。この21世紀に本当に出現してしまった、どこでもドアのようだった。
どこでもドアを開いた先にいけるところは、電車やバスを乗り継いで辿り着く目的地とは全く異なった世界かもしれない。プロセスや多少の困難を楽しむというのはすっ飛ばす勢いだ。でも、恋愛の世界に突如現れたこの扉を開けてみるのも、悪くないかもしれない。
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