人生の理不尽はコーヒーのようなもの!?
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記事:kohei(ライティング・ゼミ木曜コース)
「今はタイミングじゃないってことだよ」
仕事で自分にチャンスが巡って来なかったとき、僕の上司はそういった。
タイミングって何だろうか。
おそらく落ち込む自分に上司が気を使って声をかけてくれたと思うが、実際のところそんな気休めの言葉では納得できないこともある。
世の中は仕事をはじめ、理不尽なことや不条理なことで埋め尽くされているように思う。
そう言ってしまうと生きていることが悲しい出来事のように思えてしまうが、実際のところ初めから理不尽なものなのだと割り切って生きていたほうが、人生エンジョイできると思う。
僕は社会に出始めたころ、絵に描いたように生意気な存在だった。
高校を中退しているので働き始めたのは、周りのみんなよりも早かった。
親が病気だったことや、自分の単車のローンの支払いもあったのでそれなりの収入が必要だった事も関係している。
周りが高校生で受験勉強に明け暮れているとき、僕の収入はおそらく大卒の新入社員並みの月給はあっただろう。
「給料を上げてほしい」
そう会社に直訴すれば、すぐに時給は上がっていった。
次の年には、周りの同い年の中で学校行かずに働きだした友人を含めて一番給料が高かったと思う。好きなものは何でも買えた。
その時、社会は僕にとって砂糖たっぷりのミルクコーヒーのようなものだった。
「楽勝だ」
実際そう思っていた。仕事を始めた時は人一倍努力をしていたと思うが、次第に調子に乗っていって先輩の言う事も聞かなくなっていった。
甘いものを体内に入れると気持ちが落ち着いたり、ストレス発散になるとはよく言うが、取り過ぎは逆に体によくない。若いころに甘やかされてしまった僕は当たり前に世の中自分の言うことはまかり通るものだと思い込んでいた。
最初の仕事は鉄工所で、今の時代よりまだまだ羽振りの良い時代だった。
自分に仕事を教えてくれた先輩はバブルの時代を生きた人だったし、飲みに行ってもすべて先輩が払うのが当たり前の時代。
若い者は生意気をいうものだというか、言わなければ若くないといったような雰囲気さえあったのでその雰囲気に飲まれてしまっていた自分もいたのだと思う。
そんな甘いミルクコーヒーのような時代はすぐに終わり、その会社を退職して次の職場に移るようになると一気に人生は混じりっけなしのブラックコーヒーのような日々に変わった。
好きなことを話すと煙たがられ、生意気言うとはじかれた。
人間関係がうまくいかない日々が続き、仕事を転々とするようになった。
ある時、僕は友人にこう話した。
「世の中ブラック無糖や」
鉄工所に勤務していた時は周りより高い収入があったとはいえ、それなりに仕事量をこなしていたことも事実である。自分は周りよりも仕事では優れていると思っていた。
しかしそれは高校も行かずに働きだした、周りの人の温情が作り上げていた幻想だった。
実際に僕が優れているのか、優れていないのかはいまだにわからない。
実際に優れていたら
「タイミングじゃない」
なんて言われないかもしれない。
人は誰でも正義感や譲れないものがあると思う。しかしそれをどこかで折り合いをつけて生きていかないと、周りと衝突してしまうか反発を買ってしまう。
何も自分なりのこだわりまで捨ててしまえとは言わないが、つまらないプライドは捨ててしまった方が世の中上手くいく。
社会に出始めたころ、自分のプライドを捨てるほど格好の悪いことはないと思っていたが、今は逆につまらない自分のプライド捨てられないことほど格好悪いことはないと思っている。
例えば、職場でも僕は良く喧嘩してきた。自分を曲げることが出来なかった。
その結果、雰囲気は険悪になり仕事にも支障が出ていた。
「自分は間違っていない」
そう思っていたけど、実際は間違っているか間違っていないかの問題ではなく、衝突したことに問題があったわけだ。
誰だって自分の意見ややり方を否定されると大なり小なり感情的になるものだ。
良く漫画やドラマでは正義は必ず勝つだったり、理不尽な上司がコテンパンにやっつけられる話があるが、それはあくまで本やTVの中の話だから面白いわけであって現実にそれをやるのはまた違う。
実際には起きないから、漫画やドラマは面白いのだ。
仕事な仕事を通して、色々な人間関係を見てきたけれど、どこの職場にだって理不尽な人は必ずいるし、希望して入った職種でもやりたい仕事をやらなければいけないことはある。
人が10人いればそこには10通りの考え方や性格があるわけで、そもそも最初から全ての意見が一致することはない。そこで折り合いをつけていってうまく立ち回ることが大事だ。
最初から考え方は人それぞれ違うので意見が食い違うものだと思っていれば、多少の衝突は避けることができる。
理不尽な出来事をどう感じてどう動くかは実は自分自身の考え方ひとつだったりする。
自分は理不尽だと思っていても他人からすると、何が理不尽なのか理解できなかったりするものだ。案外それが自分の身の丈に合っていたりすることもあるだろう。
下手にそこで難癖つけて恥をかくより冷静になったほうが次のアクションや戦略を立てやすい。
この人、よくこんな状況でやっていけるなと感心してしまう人は周りにいないだろうか?
周りにいなくても日々過酷なトレーニングを続けるスポーツ選手だっていい。
あなたから見ると、恵まれていない環境にいる人だって実は本人はそう思っていないこともある。人それぞれ捉え方や見え方は違うのだ。
最初から自分が見てきた景色と、他人が作り上げた景色は違うもの。会社の人事や、上司の評価も結局はその人の今まで見てきた景色なので、自分とずれているのは当たり前。
甘いと思って実際に飲んでみたら苦かった。ということがないように最初から苦いものだと思って、砂糖やミルクを事前に用意しておいて自分なりにアレンジして美味しく頂いてやればいい。
ちなみに僕は昔からコーヒーには砂糖とミルクが必須である。
若いころの自分に助言することが出来れば、社会の理不尽はブラックコーヒーのようなものだが、自分の捉え方一つで甘くも苦くもなると言ってあげたい。
理不尽に腹を立てたり、嫌な思いをする人が一人でも少なくなることを願って、明日の朝もミルクコーヒーを飲んで職場に出かけよう。
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