メディアグランプリ

恋人と別れた僕がリア充になった理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小原正裕(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
胸の奥が締め付けられる甘酸っぱい気持ちを一番最近味わったのは、新宿南口のマクドナルドだった。
胸にぽっかり穴が空いたような喪失感と、モヤモヤした関係に終止符を打てたことへの、ほんの少しの開放感。他にもいろんな感情が入り混じったような、恋人と別れた直後の気持ちだけは、何回味わっても慣れることがない。きっとこの先も、慣れることなんてないんだろう。この胸の痛みは、いつまで続くんだろうか…
 
と思った2ヶ月後。 当時のことがウソのように、僕は「リア充」になっていた。
毎日が楽しくて仕方がないし、一日中ワクワクしっぱなしの日もある。
といっても、新しい恋人ができた訳ではない。
「リア充」=「恋人がいる」という一般的な定義に逆行した僕が、なぜ「リア充」になったのか。
 
そもそも、彼女と付き合っていた時のことを思い返してみると…
丸一日、もしくは泊まりがけのデートが多かったためか、毎回のデートに結構な額のお金をかけていた。社会人なりたてのカップルにしては、だいぶ贅沢なデートを繰り返していたと思う。
かけていたのは、お金だけじゃない。
会いたいと言われれば何をおいても時間を作っていたし、実際に毎週のように会っていた。社会人になると同時に東京に出てきた彼女には「東京で行ってみたい場所」が多く、東京育ちの僕がいろんな場所に連れて行くのも自然な流れだった。
彼女のリクエストの中には、僕も行ったことのない場所も多かったから、自分の知らない東京を知る新鮮さをたくさん味わえた。彼女と付き合ってなかったら行かなかったであろう場所にもたくさん行くことができたから、彼女と過ごした時間の中で、自分の世界も随分広がったような気がする。
実際に遊びに行く時間に限らず、彼女のことを考えてる時間、彼女と連絡を取り合う時間、彼女とのデートの準備にかける時間などなど。。。
今思い返すと相当な時間を、彼女との恋愛に費やしていた。
もちろん、彼女と過ごせた時間は何物にも代え難いものだったし、付き合っていたことに後悔は全く無い。
それでも、恋愛以外のやりたいことに時間を割けていたかというと、それは「No」だったと思う。
「恋は盲目」とは、本当によく言ったものだ。
 
そんな膨大な量の時間とお金が、恋人と別れた瞬間にぽっかりと空いてしまったのだ。
時間とお金と寂しさを持て余した僕は、最近会えていなかった友達に連絡を取って、片っ端から会っていった。別れた当初の寂しさも、友達とわいわいしてると多少は薄れてくる。そうすると、やりたいこともたくさん出てくる。趣味の舞台鑑賞も再開したし、仕事の勉強なんかも手をつけ始めた。
「やりたいこと」にひたすら手をつけて行くと、恋愛とは違った充実感がどんどん湧いてくる。
これが、僕がリア充になった理由だ。
でも、僕が今胸を張って「充実している」と言える最大の理由は、以前の夢を追いかけ始めたことにあると思う。
 
それは、小説家になること。
 
無類の本好きだった僕にとって、小説家は憧れの仕事だった。
中学生くらいまでは割と真剣に目指してたのに、高校くらいからなんとなく遠ざかっていた夢でもあった。小説家なんてそう簡単になれるもんじゃないって分かってたし、「大人になること=夢を諦めること」だと感じていたのもあったと思う。
でも、諦め切れてなかったんだろう。奥底に押し込めていた夢が、少しづつ自分の中で存在感を増していった。
時間とお金ができて、やりたいことに片っ端から手を出していく中で、気が大きくなっていたのかもしれない。
「別に、夢を諦める必要なんてないんじゃないか」
衝動的にそう思ってから、ライティング・ゼミに申し込むまでは本当にあっと言う間。
本当に小説家になれるのかなんて分からないし、なれたとしてもずっと先かもしれない。
それでも、こうやってスタートラインに立てたことに、自分でもびっくりするくらいワクワクしている。
雲ひとつない青空を見上げた時みたいな、どこまでも行けるような感じ。
どこまで行けば自分が満足するのかなんて分からないけど、行けるところまで行ってみたい。
 
恋愛がつまらないなんて、1ミリも思わない。「もう恋なんてしない」なんて、全然思わない。きっとそのうち、また恋をする。
でも、それだけが全てでもない。
世の中には、恋愛と同じくらい素敵なものがたくさんある。そのことに気づけて夢への背中を押してくれたんだから、今回の失恋はそう悪いものじゃなかったのかもしれない。
せっかく立ったスタートライン。自分が満足いくまで、夢に向かって走ってみよう。
 
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2018-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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