メディアグランプリ

これからの時代を生きるならマナーの教科書なんて捨ててしまおう


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記事:藤崎 香奈子(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
 
SNSをぼんやり見ていたら、思わず仰天するつぶやきが流れてきた。「日本酒の徳利は先が尖っている注ぎ口からついではいけない」というマナーがあるそうなのだ。丸い方からついだらこぼれやすくないか。酔っている時なら尚更だ。
 
なぜそんなおかしなマナーがあるのかと言うと、注ぎ口は縁(円)の切れ目に繋がり縁起が悪いとか、戦国武将は注ぎ口に毒を盛られる事があったため逆からついだ、など諸説あるらしい。
 
SNSではこんなマナーは馬鹿みたいだという意見が多かった。これは多くの人が守らなくてもいいと感じたようだが、その他の一般的なマナーはどうなのだろうか。
 
最近仕事で驚いた事があった。私はフリーランス。自宅で図面を描く仕事をしている。作図料金は、打ち合わせをメール又は電話のやりとりで済ます前提で設定している。対面打ち合わせがない分、他社より安くサービス提供しているし、それをメリットのひとつに感じてくれているクライアントもいる。
 
そんな事情をよく知っているはずの方から、1年ぶりに仕事依頼の電話がかかってきた。近くまで出向くので、1〜2時間ほど会って打ち合わせできないかと言う。その理由がなんと、新しいバイクを買ったので乗る口実が欲しいから、天気もいいし、との事。
 
いやいやいや、基本的に対面打ち合わせは受けていないし、そもそも仕事がびっちり詰まってるので無理だ。1時間くらいどうにかならないの? と言われたがどうにもならない。100歩譲って会うとしても、事前にアポを取ってほしい。その後、メールで資料が送られてきたのだが、会って打ち合わせするほどの内容でもなかった。
 
これは私にとっては迷惑な話で、正直腹が立った。人の時間を軽く考えないでほしい。だが、ふと思った。相手の立場に立ってみれば違う見方もできるのかもしれない。一年ぶりだから、会って依頼しないと失礼と考えたのかも? 私に気を使わせないために、バイクを口実に近くまで出向くと言ったのかも? 真相はわからないが、それが相手のマナーだったのかもしれない。そうであれば、冷たくしてしまって申し訳なかった。
 
当日アポなんて論外と考える私と、とにかく顔を合わせて話す事を大事にする相手。これはそれぞれのマナーが違う事からすれ違った例だったと思う。この他にもお互いの当たり前が違う事から、噛み合わない例は多々ある。例えば「追い電」。FAXやメールを送った後、先方に「今、送りましたのでご確認下さい」と電話するビジネスマナーだ。
 
これは私個人としては必要ないと思っている。集中して仕事をしている時に、急ぎでない電話で中断されると効率が落ちるので迷惑だ。FAXは届いているか確認したい気持ちをわからないでもないが、メールは送信履歴で確認できるんだから良くないか。
 
とは言え、そんな私でも追い電する事はある。それは緊急の時。午後イチでの打ち合わせに使う資料を、午前中に作ってメールする時などだ。その場合は、「今送ったのですぐ確認して下さい!」と電話する。これは必要な追い電だと思ってやっている。
 
追い電ひとつとってもケースバイケース。する事がマナーにもなれば、迷惑にもなる。
 
こうしたマナーの食い違いは今後ますます広がって行くと思う。今の若い世代は、前置きなしで用件だけやり取りするLINEなどのツールに慣れている。ホリエモンを代表する超合理主義の有名人が声高に、無駄なマナーはいらないと言っている事もあり、形式的なマナーを省略する動きは加速するだろう。それは私としては歓迎だ。無駄を省いて効率化。その結果、自分の時間も収入も増える。嬉しいではないか。
 
しかし効率重視ばかりでは無味乾燥で人間関係は広がらないとも思う。現に新しい仕事につながるキッカケは、リアルで顔を合わせた時に訪れる事が多い。一度会った人との方が仕事はしやすいし、距離感も縮まるからだろう。会わないまでも、電話での雑談の中から仕事が始まる事もある。
 
こうしたリアルなコミュニケーションには、必要最低限のマナーが必要だと思う。清潔感のある身なりは必須だし、挨拶ができない人とは仕事をしたいと思わないだろう。でもそうしたマナーは人によって是とするものが違う。世代や考え方、性別や人種、文化によって正しさは異なる。これからは多様性の時代。教科書通りに振舞っていればオーケー、そんな簡単な話ではなくなってきているのだ。
 
だからこそ、想像力が必要だ。相手の立場に立って、臨機応変に振舞う事。相手へのリスペクトを忘れない事。多少マナー違反をしても、根底にそういう気持ちがあればトラブルになる事はないはずだ。
 
だから、私はやたらと電話をかけてくる人にイライラするのはやめようと思う。なぜ電話という手段を取っているのか、思いやる気持ちを持とう。みんながそうやってお互いの事を考え始めたらもっと色んな事がスムーズに回るようになるかもしれない……。
 
でもやっぱり、メールで済む話はできるだけメールでお願いしたい。私のことも、少しだけ思いやっていただけると嬉しく思う。

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2018-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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