ロックなキモノ部へようこそ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:嶽キヨミ(ライティング・ゼミ平日コース)
「ロックなキモノ部」やってます。
というと、たいてい
「え? ロックな??」
という言葉が帰ってくる。
そう、これは、わたし自身の、キモノを着るコンセプトであり、わたしの着付けレッスンのタイトルでもある。
キモノとロックとは、対局であるかのようだけれど、実は、キモノには、ロックな部分がたくさんある、と、わたしは思っている。
何がロックなのか?
あ、その前に、前提として、わたしの「ロックなキモノ」とは、基本的にビンテージやアンティークと呼ばれるレトロな着物がベースになっている。
いわゆる、正式なお茶席や礼服としての今のきものが「オモテ」のきもの道だとすると、こちらは「ウラ」のキモノ道という感じだ。
で、何がロックなのか?
まず1つ目は、アンティークやビンテージと呼ばれる、昭和初期や大正時代の頃の着物は、「色や柄」がロックだ。
色合いは、黄色✕紫、オレンジ✕青などアバンギャルドなものも多く、汽車やら昆虫やら幾何学模様など、きもののイメージとはかけ離れたモチーフも少なくない。
男性の着物や長襦袢では、表は地味だけれど、裏地はハデハデなんてので個性を主張していた。
この時代の面白い柄の着物や帯を見つけるたびに、
「あー、この頃の日本人って、なんて柔軟で、自由な発想力にあふれているんだろう!」
と、感動する。
ロックミュージックが時代と共にどんどん変わって行くように、新しいものを取り入れて、これまでにないものを作り出すパワーを再確認出来るのが、アンティークな着物なのだ。
つぎに、コーディネートがロックだ。
「着物は好きだし、自分で着れるようになりたいんですが、合わせ方が全然わからないんです」
と、コーデレッスンにいらしてくださる方は、みなおっしゃる。
でも、実はレトロな着物のコーディネートは、思っているより、自由で、しかも意外とカンタン、めったに失敗しない。
その理由は、ちょっと話がそれるが、ビンテージとなった着物は、著作権が切れたパブリックドメインのようなものだからだ。
パブリックドメインとは、ご存知のとおり、音楽や映画など、著作権が切れたものは、誰でもが自由に使えるようになる、というもの。
これを着物の世界に置き換えてみると、
現代の着物=著作権保護中 つまり、決まりごとに保護されている。
でも、
パブリックドメインとなったアンティーク着物は、この決まりごとから自由になれるのだ。
なぜ自由になるのか?
それは、経年のせいもあって、「決まりごと」に合わせようとしても、現実的に古すぎる着物には無理なことだらけだからだ。
たとえば、長襦袢と着物の袖の長さは、同じであるのが「あたりまえ」だ。
でも、アンティークで揃えて探そうと思うと、いつまでたっても着物を着ることさえできなくなってしまう。
丈が足りなくておはしょりが取れなければ、ナシで着る。これも、現代の着物では、あり得ないこと。
合わせる長襦袢がないなら、タートルシャツとスパッツで着てしまったりもする。
つまり、いろんな部分で不可抗力の部分が多すぎるため、現実的に、自由にならざるを得ないのだ。
どこかのお店で気に入った着物があれば、「サイズが合わないから諦める」のではなく、なんとか着れる方法を考えるのがレトロコーデの醍醐味と言える。
「どうしてもこのキモノが着たい!」
「だから着る!」
で成り立っているのがレトロ着物のコーディネート。なんともロックではないか、と思う。
そしてもう一つは、値段がロックだ(笑)
レトロな着物は、もちろんピンきりではあるけれど、とても安く手に入れることができる。
わたし自身は、着物を集め始めた20代の頃は、よく京都の東寺の朝市に行っていた。
その頃は、1000円くらいでそこそこ着れるアンティーク着物が買えたので、お金のないわたしでも着物を集めることができたのだ。
ちなみに、今でも昭和中期のものであれば、1000円くらいでもきれいな着物がけっこう買えたりする。
結婚式の二次会のパーティーに着ていくセットがトータル1万円以内、なんてのも全然あり得るのだ。
費用対効果を考えると、1万円の洋服の比ではないことはあきらかなのだ。
今回は「レトロ着物のススメ」のような気持ちでこの文章を書いてみた。
「きものに興味はあるけれど、ちょっと敷居が高いなぁ」と思っている方に
「いやいや、案外 キモノの敷居は低いですよ」と、お伝えしたいのだ。
とくに、小柄な方には、ぜひともおすすめ。
きっと「あ〜、小柄でよかった」と実感できるはず。
現在は、着る人が減って、大量のきものが廃棄されているらしい。
きものは、大切に手作りされたものだから、それを思うととても悲しい。
せめてお母さんやおばあちゃんから譲り受けた着物が、次の世代のワードロープの1枚に追加されるよう、活動していけたらと思う。
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