贈り癖の強い私が気づいたこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:脇田知子(ライティング・ゼミ平日コース)
「笑顔を贈るギフト」
数年前から、ギフトカタログで目にするようになったフレーズ。贈り物の価値が、モノやコトより「体験」に重きが置かれるようになったためです。私たちの暮らしが豊かな証拠であり、人とのコミュニケーションで笑顔に飢えている傾向なのかもしません。
私はノベルティ業界で長く仕事をしてきました。
ノベルティと聞くと、ワクワクするイメージを持つ人が多いかもしれませんが、私にとっては難関受験を何度しているようなハラハラしたイメージ。エンドユーザーが喜ぶ贈り物を間接的に選び、ノベルティを通してクライアントの結果に貢献することが仕事でした。
「ノベルティ=クライアントの商売繁盛をアシストするモノ」
容易な仕事ではありませんでしたがとても面白かった。一方で、贈り物を選ぶ楽しさや喜びに貪欲になる自分を感じていました。
そんな私は、
贈り癖が強いタイプです。
日常的に、何かを誰かに贈りたくなる。贈り物を受け取る相手が、喜ぶ様子を妄想するだけで、うれしい気持ちになります。私はムリをして、贈り物をしているわけではありません。また何か見返りを求めているわけでもありません。贈り物をきっかけに、人とのコミュニケーションを楽しみ、自分の活力にしているだけです。私の贈り癖が相手への押しつけにならないよう、ほどほどに楽しんでいます。
そんな私は、母への贈り物選びに苦戦し続けてきました。
現在60代後半の母は、現役時代キャリアウーマンだったため、子育ては祖母まかせ。仕事帰りも自宅で仕事をしている様子が、目に焼き付いています。
仕事で忙しい母でしたが、自宅はいろいろなことをテキパキとこなし、整理整頓がとても上手でした。子共に関するモノも、瞬時に判断してサッと捨てることができる人。私や姉が学校で作ってきた作品、母へ贈った手作りの品は、かなり早い段階で姿を消していたことを覚えています。悲しい気持ちより、母に喜んでもらえるモノを贈ることの難しさを、子供ながら感じていました。
数年前の冬のこと。
私は出産のため、実家に戻っていました。社会人になってから、10年ほど実家を出て暮らしていたため、両親と暮らすことは久しぶり。10年という月日は、暮らしに大きな変化を与えますね。
父と母は、ともに退職を迎え、実家は両親二人が住む家に。
趣味と仕事を両立しながら、家事もこなす父。
家事や畑仕事、趣味に自分磨きと忙しい様子の母。
近くに住む姉夫婦の孫と、毎日楽しそうに戯れている父母の様子は、とても新鮮でした。
春になった頃のこと。
5月の母の日を意識するようになった私は、充実した日々を送る母へ何を贈るのか心底悩んでいました。
「母が喜んでくれるモノ……」
「母が喜んでくれるモノ……」
「母が喜んでくれるモノ……」
呪文のように唱えながら母の姿を観察する日々。
なかなか思いつかないときに、ふと頭に浮かんだフレーズ。
「母は笑顔になる体験って何だろう?」
見つかった!
お店で迷いなく購入できる自分に驚きながら、母の喜ぶ笑顔を妄想する私。
うれしくてたまりませんでした。
「早く贈りたい!」
母の日がこんなにも楽しみなのは、何十年ぶりだろう。
止まらない興奮に、ニマニマ顔になった私を主人が笑っていました。
この年の母の日こと。
私は、「安心」と「くつろぎ」を母に贈りました。
孫の面倒を見ながら、ヤカンの火を気にかけている母。
キッチンでお湯の出来上がりを待ちながら、団欒に入らない母。
「安心」と「くつろぎ」を贈れば、母の日常はもっとハッピーになると確信しました。
今も実家のキッチンで母とすごす「電気ケトル」を見ると、贈ったときの母の笑顔を思い出してうれしい気持ちになります。
この体験は、母への贈り物選びで苦戦し続けてきた気持ちを、一気に吹き飛ばしてくれました。そして、とても貴重な気づきを与えてくれました。
「相手の時間に寄り添うことで、相手のココロが見えてくる」
贈り物でとびきりの笑顔を得るには、相手と過ごす時間が必要で、相手の潜在的なキモチに気づくことが大切。この時の気づきは、今も大切にしています。
私は贈り物を渡す時に、相手からこんな言葉がもらえたら、とてもうれしくなります。
「えっ、これ何?」
「へー、はじめて見た」
「〇〇できそうだね!」
モノを通して、相手が新しい体験を創造してくれた時の表情。
コントロールできないほどくしゃくしゃになった相手の笑顔は、私に感動を与えてくれます。
くしゃくしゃの笑顔に出会うことは、容易ではありませんが、得られた時の喜びはクセになりますね。
贈り物の価値は、これからも時代とともに変化していくでしょう。しかし相手と関わる時間が、贈り物の価値に大きな影響を与えることは、これからも変わらないと思います。
相手と共に過ごす時間。
相手が大切にする時間。
相手のこれからの時間。
相手の時間に自分から寄り添うことで、相手の潜在的な気持ちに気づくことができ、相手のこれからの時間にも関わっていけるのではないだろうか。
贈り物は特別な日や特別なモノでなくていい。
私は相手の時を想えた時に、気持ちをカタチにして贈りたいと思う。
ニマニマする気持ちを抑えながら。
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