「痩せたければ、そのダイエットをやめなさい」
＊この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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上野弘美（ライティングゼミ・平日コース）
「私、痩せたいんです」
そう相談してきた４０歳前後の女性に
「どうして痩せたいのですか？」と尋ねた。
「何回も自分でダイエットをしようと思って、色んなダイエットに取り組んでみたんですが、全然痩せないんです。痩せたとしても、すぐにリバウンドするし、体重が５kg以上痩せた時も、誰にも気づかれなかったし、痩せかたが悪いと思うんです。結局その５kgも戻って、今はその時以上の体重になってしまったし、なので、しっかり変わったことがわかるように痩せたいのです」
色んなダイエットに頑張ってはいるものの、思った成果が得られずに困った様子だった。
「今までに、どんなダイエットをしてきたのですか」と聞くと
「お菓子を食べていたのを辞めたり、炭水化物をできる限り食べないようにして、夜はご飯を食べないようにしたり、昼食だけにしたり、とにかく減らすようにしていました。それと、仕事帰りに少し遠回りして歩いて帰ったり、スポーツクラブに少しだけ通ったこともありました。でも、全然痩せませんでした」
一般的に言われる、炭水化物を抜くダイエットを特に頑張っていたようです。
体重が落ちることもあれば、落ちないことも繰り返し、体重が落ちたとしても結局はリバウンドを繰り返す。そんな悪循環になっていたようです。
「炭水化物を抜くダイエットって駄目なんですよね？炭水化物を抜くと痩せてもリバウンドしてしまう、炭水化物を抜かずに痩せられればいいのですが、そんな都合よくないですよね……」
炭水化物を抜くと体重は落ちるのに、結局リバウンドしてしまう。炭水化物を抜くことはいけないことだと、何となくはわかっている。でも、炭水化物を抜かずに痩せられる方法がわからず、ダメだとわかっていても、結局炭水化物を抜くダイエットをしてします。四方八方塞がれている状態でした。
「なるほど、教えていただきありがとうございます。一つ質問をしていいですか？何で炭水化物を摂ると太ると思うのですか？」
「なぜ私がこのような質問をするのかというと、私は食事や栄養の相談を受ける時に、いきなりこの栄養素がいいよ、この食べ物がいいですよ、あの食べ方が痩せますよ、などの「スキル」は絶対に話しません。
そのような、スキルや知識は、受け取る側の準備ができていないと、何の役にもたたなくなります。
新しい知識を入れる前に、今ある知識がアナタの世界では正しい知識になっています。その世界をまず崩さなければ、新しい知識は入っていかないのです。なので、まずは炭水化物を摂ると太ると思うようになった原因を崩しましょう。そうしないと、頭では、炭水化物を抜くダイエットはダメだ。炭水化物を抜いても結局リバウンドしてしまう。そう思っていても、心の方が、炭水化物を摂ることを受け入れられないのです。なので、炭水化物を摂ると太ると思うようになった原因を明確にし、崩すことで、心から炭水化物を摂ってもいいのだ。そう思えるようにしていきましょう」
そう言って、二人で原因追及の話し合いが始まった。
原因がわかると話は早かった。
なぜなら、そうやって嘘の情報で作られた世界は、いともたやすく崩れていく。
今までの思い込みは何だったのか、炭水化物を摂ると太ると思っていた数分前が嘘のよう。
そして、新しい発見、「こんな食事でいいだ」そのひらめきは、まさに目からウロコだった。
「炭水化物を抜くダイエットをすると、何でリバウンドをするのかご存知ですか？どんなサイクル、仕組みになっているのか、しっかり把握してくださいね。」
そう言って、図を書く私の姿を真剣に見てくれる表情は、だんだん険しくなってきました。
「私は、ずっとこんな悪いサイクルをしていたのですか、何てことをしていたの……だから、リバウンドするんですね、年々代謝が悪くなっているように感じていました、歳をとるたびに、昔やっていたダイエットでは、簡単に落ちなくなってきていたので、何となくはわかっていましたが、代謝が落ちる原因やリバウンドする原因がわかりました」
受け入れがたい現実を知り、最初は固かった表情が、今までリバウンドしてきた原因がわかり、前を向いた表情に切り替わっていった。
今までの過ちの原因を知り、早く正しい改善方法を知りたい、そんな意欲的な目になっていた。
「そもそも炭水化物って何と何で、できているかご存知ですか」
私が、スタジオをオープンし３年が経ちましたが、この質問に答えられた方は１名しか、会ったことがありません。
私の前には痩せたくて炭水化物を抜いている方がたくさん来ます。でも、そもそも炭水化物が何なのかをしっている方は１％未満です。
炭水化物とは、ご飯・パン・麺だと思っている方が多いです。
違います、ご飯・パン・麺は、炭水化物の中に入っている、ある栄養素が入っている食材のことです。ご飯・パン・麺が炭水化物にはなりません。
炭水化物は抜いたほうがいい。という情報の中、炭水化物の中にある、ある栄養素は摂る必要がある、なぜなら大腸の掃除役になる、便通がよくなるなどの理由から、その栄養素は摂ることを勧められています。でも、その栄養素も炭水化物の中の一つです。
炭水化物の中のもう一つの栄養素も、ある一部は「脳のエネルギーになる」と言われていますが、その栄養素の中には中性脂肪になる原因も含まれているし、その栄養素全てが脳のエネルギーになるわけでもないのに、あたかも全てが脳のエネルギーになるように言われています。
炭水化物の中でも、摂る必要のある栄養素もあれば、ダイエットには不適格な栄養素もある。その中身を細かく一つ一つ知る必要があります。
こういうと、何だか難しく感じるという方もいますが、中身を聞くととても簡単。
「今まで私がやってきたダイエットと、逆のことをやればいいのですね！」
そう言って笑みを浮かべた表情は、とても前向きだった。
今までの間違った経験があるからこそ、その経験を基に、どう変化させればいいかを明確にするだけです。
私は、この瞬間がとても好きです。
今まで迷路に迷い込んでいたが、出口の明かりが見えたような表情を見られる。
一筋の光が見え、前向きになる瞬間は、私にとってとても豊かな時間です。
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