残業は地球温暖化と同じだ。全力で止めなければならぬ
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記事:北 堅太(ライティング・ゼミGW特講)
定時退社を題材にしたドラマが最近流行っている。
「定時に帰ることがコンテンツになっていること自体、定時に帰ることがめずらしいのだと実感させてくれる」
そんなふうなツイートをよく見た。ぼくもそう思う。ぼくは4月に新卒で入社したばかりだけど、生意気なことに定時退社を実践している。しまくっている。意地でも定時に帰る。時間になったらパソコンを閉じて、速攻で帰宅、あるいは次の用事に向かう。この活動、自分では「ひとり働き方改革」と呼んでいる。まあ失敗する日もあるけど。
べつに仕事がキライとかそういう理由じゃない。会社がキライなわけでもない。純粋に早く帰りたいから。そしてそれを会社の文化にしたいから。この理由が割と大きい。心の中ではマジで戦闘モード。本気で世の中から残業をなくしたい。撲滅せねばならぬ。
さて、ひとり働き方改革だけど、これがけっこう難しい。なぜかというと、ひとり働き方改革だから。ひとりだから。組織のなかでひとりだけ別行動をとるなんて、なかなかなかなか。実行するにはある程度の勇気がいるし、最悪の場合「やる気がない」と見なされる危険も承知しなければならない。いや、そもそも残業=やる気という等号がおかしいのだけれど、そういう考え方の人もいることにはいるわけで、まあその辺はしかたない。
では次に、ひとり働き方改革が数人で実践された場合を考えてみる。どうだろう。想像してほしい。数十人規模のなか、数人だけが定時退社している。かなり見栄えは悪いはずだ。もしかしたら、先に帰る人は罪悪感を心の片隅にかかえているかもしれない。数人ではまだまだ足りないのだ。
今度は定時退社がマジョリティになった場合を考えてみる。全員ではない。あくまで多数派なだけ。よくよく考えると、これもこれで定時退社勢の心的負担は大きい。何人かはまだ働いているから。まさに「お先に失礼してすまん」って感じ。
ぼくはこの感情こそが、残業が減らない理由だと思う。本当は帰りたいけれど、同じチームのあの人も残っているし、帰れないな。本当は帰りたいけれど、失礼なやつだと思われたくないから、帰れないな。本当は帰りたいけれど、やる気がないと思われて、評価に響いたらこわいから、帰れないな。そんな感情を、一度くらいはみなさん、いだいたことはありませんか?
要するに、誰かひとりが定時退社してもそのほか大勢が定時退社に切り替わる可能性は低いのに、誰かひとりが残業したらみんな残業をせざるを得なくなるパターンが多いのだ。残業が基準になっている。所定の業務時間があるのに、実際は残業が基準なのだ。所定のくせして、なんて頼りない業務時間だろう。
これは地球温暖化対策に似ている。全世界の国々でいっしょになって取り組まなければならないのに、一国でも離反したらそれでもう対策として意味がなくなる。どんなにほかの国がCO2を抑えようと努力しても、一国が気にせずCO2をどんどん排出し続けていたら、地球温暖化は止まらない。
それでも地球温暖化は止めなければならない。なぜなら、人が死ぬから。少なくとも、今よりも生きにくくなるから。毎年夏は異常な高温だし、異常気象も全世界でたくさん発生しているし、海水面が上昇して沈む国もあるし、貴重な生物種の絶滅の可能性もある。つまりこのまま温暖化が進むと、人間にとって今よりも不便な世界になってしまう。心身への健康被害も相当なものだ。
残業だって同じだ。心身の健康を損なう。場合によっては過労死だってありうる。だから撲滅しなければならない。残業という文化そのものを破壊しなければならない。もう一度言う。残業は人を殺す。だから残業はなくさないといけない。
とはいえ、定時を過ぎても働きたい人はいると思う。まわりをうかがったり、仕事が終わらないから仕方なくではなく、純粋にもっと仕事がしたいから残業する人。もちろんいるだろう。もしかしたら、ぼくもそうなるかもしれない。でもよく考えてほしい。これはもはや残業ではない。好きでやっているのだ。趣味に近い。本人からしたら、所定の業務時間のほうがおかしいのだ。残業したい人からしたら、働き方改革なんて言って強制的に帰らされるほうが迷惑だ。帰らずに仕事がしたいのに。
一番の問題は、残業したい人と残業したくない人が同じ組織にいることだ。だから、組織はふたつに分けなければいけない。残業可のグループと残業禁止のグループのふたつに。残業禁止のグループでは、定時になったらみんなで一斉に帰る。残業可のグループにはもはや定時の概念すらない。働きたいだけ働いて、好きな時に帰っていい。こうすれば、みんな幸せになれそうじゃないですか?
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