「健康である」は「技術」である。
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記事:あらや のぶとし(ライティング・ゼミ日曜コース)
先日、知人に草野球に誘われ、数年ぶりに野球をしてきた私。
三十路とは言え、身体は野球を忘れていないだろう! と高を括っていたのですが、飛んでくるボールは見えない、まともな送球もできない。
高校時代当たり前にやれていた動きができないことは、悔しい体験でもありつつ、高校球児時代に練習に明け暮れる日々も捨てたもんじゃなかったなぁとセンチメンタルな気分にさせられました。
そんな私を尻目に、毎週のように練習や試合をしている知人は、まあまあ機敏なプレーをしていました。私よりも年上なのに。それでも、「おじさんっぽい動き」にはなっていましたが……。
と、考えると、45歳まで現役を貫き、矢のような送球をしていたイチローはすごい! 鉄人? 天才? 特別な存在?
いったい何が、彼をイチローたらしめたのか。
健康産業に生きる私としては、健康について改めて考えざるを得ませんでした。
そもそも、健康とは何なのか。
私は、「健康である」=「習得可能な技術である」と考えています。
習得可能な技術ということは、車と運転するとか、パソコンを使うとかと同じ。
私たちが当たり前にやっているスマホの操作も同じ。
最初は全く使えなかったのに、基本動作を学び、失敗を繰り返すうちに、無意識に使えるようになる。そういうことです。
こう考えると、日常でしているあれこれは、どれも「技術」なんですよね。
もちろん、人によって生まれもった体質は異なります。
体が強い人もいれば、弱い人もいる。これは仕方のないことで、生まれる側には選べません。遺伝子が決まった段階で、基本設定の30%程度は決まってしまうそうです。
ガン家系だとガンのリスクが高いとか、母型の祖父が薄毛だとハゲになりやすいと、よく言いますよね。遺伝的な傾向があるのは間違いありません。
母型の祖父がツルツルだった私は、20代の頃、髪が抜けていく恐怖に押しつぶされそうになった時期もありますし。
ただ、イチローを見ていて思うけど、身体能力が特別高くない(と言われている)イチローが45歳まで現役で活躍出来ていたのは、初期設定が良かったからでは決してない。健康であるための技術を、日夜、磨き続けていたからに違いありません。
彼が毎日決まったルーティンワークを決して崩さないという逸話は有名ですよね。朝食に何を食べるか、準備運動や試合後のケアをどうするか。バッターボックスへ向かう時の歩数まで徹底しているというのは、イチローを語るうえで欠かせない逸話です。
プロ生活を通して、プロであるための技術を磨き続けた結果、45歳まで現役を貫き、歴史に残るプレイヤーとして名を残すことになりました。イチローこそ、「健康である」=「習得可能な技術である」の生き証人だと、私は考えています。
一方、身の回りに目を向けると、「健康である」=「確率論」で片づけがちな人の多さに驚かされます。
「健康に気を遣っていても、病気になる時はなるんだから」と言って夜な夜な晩酌するお父さん。
「あれこれ考えすぎると、かえってストレスだもの」と言って、スイーツ三昧のお母さん。
「今月もしんど過ぎる」と言いながら、生理痛の薬を飲みまくる娘さん。
この発想、明らかに「健康である」ことを「確率論」と捉えている証拠。
毎年の健康診断も、正常ならラッキー、異常が見つかったらアンラッキーと言ったところでしょうか。
確率論と捉えている限り、努力は要らないため、表面的には楽だと思います。我慢する必要も、運動や料理をする努力もいりませんから。
けれど、いざ異常が見つかった時、健康を整える技術を磨いてこなかっただけに、リカバリーの技術も経験もない。信頼できる医者を選ぶ選球眼も育っていないので、医者を探して漂流するケースも……。天に見放されたような絶望感なのではないでしょうか。
将来的に病気に見舞われないようにするには、気づいた時から技術を磨いておくことが大切。健康であるための基本的な考え方と、基礎的な技術ぐらいは身につけておきたいですよね。
プロ野球選手じゃない我々はイチローほどのレベルを目指す必要はないけれど、自分の健康や家族の健康がケアできる程度の技術は欲しいところ。
そのためにどうすれば良いか。
健康が技術であるなら、情報収集とトライ&エラーが欠かせません。
健康に関する本を読み、勉強会に参加し、良さそうなノウハウを試してみる。感触が良ければ続ければいいし、自分に合わないなら違う方法を試す。繰り返し修正していくと、健康であるための技術が磨かれ、自分にピッタリの勝ちパターンが見つかる。
あとは、年齢や環境の変化に合わせて微修正を繰り返していけば、高確率で健康でいられるはずです。
もしも、病気になったら、技術が至らなかったと反省しつつ、病気を克服する。そして、健康であり続けるための技術を、さらに磨けば良いのです。
草野球の翌日、筋肉痛で体がガキガキになった私は、己の至らなさを反省しつつ、筋トレとジョギングを再開しました。三十路の自分にあった、身体を整える技術を磨く時期ですね。
「健康である」は「技術」である。
この技術、身につけておいて損はありませんよ!
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