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「お洒落なマダムから教わった女の魅力」 


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ふじもと(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
私は毎朝30分かけて歩いて通勤している。
寒い日も、暑い日も。なぜならダイエットをかねているからだ。
 
本音を言うとめんどうくさいのだが、最近体がたるんできた気がする。
少し前ならば、ご飯を抜くだけで体重が落ちたのだが、どうもそうはいかなくなってきた。それに加えて体型が変化してきた。お腹周りの浮き輪のような贅肉が堂々と居座っている。勘弁してほしい。
 
ジムは続いた試しがないので、仕方がなく歩いている。通勤ならば強制的に歩かなければいけないので、面倒臭がりの私には一番合った運動法なのだ。
 
歩き始めて早5ヶ月。びっくりするくらい体に変化が起きない。性格だけではなく、体も怠け者らしい。息を吸うだけで体重が増えているのではないかと思うくらいだ。
サンドイッチマンの伊達さんは油であげれば0カロリーなんて言っていたけれど、私の周りだけ酸素にカロリーでも入っているのではないかと疑いたくなる。
 
なぜここまで体型を気にしているのかというと、恋をしたから。
というわけではなく、今まで履いていたスキニーが入らなくなり、履いた瞬間、おばちゃん感が出てたまらなく悲しくなったからだ。
気がつけば着る服は体型を隠すものばかりで、最近はお洒落も楽しくない。なんだか女であることを楽しめなくなった気がする。
 
高校生の頃はお洒落が大好きだった。
当時の愛読書は、ファッション雑誌の「non-no」。派手すぎず、流行を取り入れたシンプルで可愛いコーディネートがたくさん載っていて好きだった。
なにより、若くて綺麗なモデルさんに憧れた。雑誌を立ち読みはその服を着ている自分を妄想し、お金が無いのでひたすらウィンドウショッピングをしていたものだ。
 
お金を貯めて雑誌で見ていた服を買って着る喜びは相当大きなものだった。
その頃は服を着る際に体型で悩んだことが無かった。男性からは好まれることは無かったたが、女性からは羨ましがられるくらい当時は細かった。むしろ体のラインが綺麗に出るものが好きなくらいだった。
 
高校生の頃の私が今を知ったら、がっかりするだろう。
 
許して、お酒とご飯が美味しすぎる福岡が悪いの。
そう、大人になって洋服以上にハマってしまったのが「お酒」だ。
私が太った原因は酸素にカロリーが入っていたわけでは勿論なく、お酒とおつまみと不規則な生活のせいなのだ。
 
お酒は楽しくてやめられない、やめる気もない。
しかしこのままお洒落をしなくなって、女性らしさを失うのではないかと思うと悲しい気持ちもあった。それに福岡には綺麗でお洒落な人が多く、余計に自信が無くなっては、食べて、太っての繰り返し。服はお腹とお尻を隠すために着ているようなものだった。
 
そんなことを考えながら、朝いつもの道をぼてぼてと歩いて通勤していたときだ。
たまたま目に入った1人の女性から目が離せなくなった。その方は綺麗な白髪の70代くらいのおばあちゃん、20代の若い子が着ていそうな服を着こなしていたのだ。
白と黒のタイトな膝丈のボーダーワンピースに淡いデニムシャツをはおり、白いハットにペタンコの黒い編み込みのパンプスを着こなしていた。赤いリップが差し色になっていて様になっていた。
 
これがもう、ほんとうに衝撃だった。お世辞抜きでとっても似合っていた。
若作りとは違う、若々しさがあって心の底から素敵だと思った。
いや、若々しさというより、そのおばあちゃんから「女性」を感じたことが、目が離せなくなった理由かもしれない。
 
私の恋愛対象は女性ではないが、それでも綺麗で素敵な人を見ると目と心を奪われることがある。それを初めて70代以上の方に感じたのだ。
 
この説明だと、夏木マリのようなスレンダーで若々しいおばあちゃんを想像させてしまったかもしれないが、それとは違う。どちらかというと背は低く、体型も細身よりは少しポッチャリしていた。身近にいる親しみやすそうなおばあちゃんといった感じだ。
 
若いことが当たり前だった頃は、年を取ったらもうお終いだなんて浅い考えしかもてなかった。それは30歳手前の今でも潜在的にあったのかもしれない。
だから年齢を重ねても「女性」でいることが出来る、そのことが心から理解できた瞬間が衝撃だったのだと思う。
 
おばあちゃんに感じたこの衝撃は、高校生時代読んでいた雑誌「non-no」を読んでいたときの「この服素敵」「モデルさん可愛い」「私もこうなりたい」という高揚感を思い出させてくれた。
 
それと同時に、雑誌に載っていたモデルさんは当時思っていたほど特別な存在ではなくなった。雑誌の中にしかいないと思っていたキラキラした人は、案外身近にいるのだと気付かされたからだ。
 
女性の価値観やお洒落は多様にあり、選ぶ自由がある素敵な時代に、周りと比べ、若くなくなったことに劣等感なんて抱かなくていい。
 
何歳になっても、体型が変わっても、女性であること楽しむ気持ちが一番の「お洒落」なのだと教えられた。
久しぶりに、可愛い服を買いたくなった。
 
 
 
 
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2019-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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