メディアグランプリ

劣等感をデトックスしたら、人生に愛が増えた。


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記事:豊福 直子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
ここ数年で、急に自分に自信がついた。
いや、実際は自分でも知らない間に少しずつ積み重ねていた、が正解なのだと思う。
最近ふと気が付いて、過去の自分とのギャップに驚き、急激な変化があったような気がしているだけなのかもしれない。
理由はわからない。
例えばダイエットに成功したりして、見た目が大きく変わったわけでもない。
特別仕事で大躍進したわけでもないし、生活環境だってさほど変わっていないと思う。
でも、明らかに自分に自信がついた。
なぜなのだろうか。
 
もともと私は、コンプレックスや劣等感の塊のような人間だった。
女性にしては身長が高いこと。
顔がきついと言われ、よく誤解を招くこと。
人見知りで、初対面の人とうまく話せないこと。
笑ったら目がなくなる、いわゆる“糸目”。
滑舌が悪く、声がふにゃふにゃしていて通らないので、伝えたいことが伝わらないこと。
赤面症。
あげはじめたらキリがない。
なにより、そうやって自分に自信がもてないことが最大のコンプレックスだった。
 
自己肯定感がとにかく低い。
私をひと言で表すなら、そんな言葉がぴったりだった。
落ち込みやすくて、一度考え始めたら永遠にくよくよ悩んでしまう。
寝たら忘れる、なんて言う人もいるけれど、私にはそんな明るさが到底理解できなかった。
なにをしていてもとにかく自信がない。
自分に自信があって、堂々としている人たちが心底うらやましかった。
 
はずなのに、気付いたら自分に自信が持てるようになっていた。
正直、本当に突然気がついたのでなぜなのかはまったくわからない。
が、興味がわいたので振り返って掘り下げてみようという気になった。
 
自己肯定感が低い人間は「自分のことよりも他人に労力を使ってしまう」ことがしばしばある、と思う。
必要とされたい思いが先に立つからだ。
そしてそういった類の好意は不思議と相手にも簡単に見抜かれるもので、この場合相手から大事にされることもない。
自分を雑に扱うことで相手にもそれが伝わり、相手からも雑に扱われる。これは相手が身近な人であればあるほどその度合いが深まり、危険だ。
だから私は、ある時を境に自分を雑に扱ってくる人たちと関わることをやめた。
「この人たちといるときの私は、自分を大切にできない」と気づいたからだ。
長い間、そんなことにも気づかなかった鈍感な私でもさすがに認めざるを得ないような、ぞんざいな扱われ方をしたことがきっかけだったのだと思う。そして一度気づいてしまうともう、そんな人たちとは一緒にいられなくなった。
 
そうしてきちんと取捨選択ができるようになると今度は、自分が本当に大事な人たちとしっかり向き合えるようになった。
大切にしたいと思える人だけをきちんと大切にできるようになったし、相手も同じように思ってくれていることがわかる。そうやって自分と同じ温度で思える人たちと一緒にいることで、とても気持ちが安定した。
 
不思議なことに、あげればキリがなかったコンプレックスでさえ、その人たちにとっては逆に魅力だと言ってもらえることも多かった。自分ではいやでいやで仕方なかったのに、他人の目から見るとこうも違うものなのかと驚いてしまう。
そして信頼できる人たちからコンプレックスを魅力だと言ってもらえることで、少しずつ自分のことも認められるようになっていった。無理に「自分でないだれか」にならなくても、そのままの自分を好きだと言ってくれる人たちはちゃんといたのだ。
 
人生はデトックスだ。
きっと私たちは、知らない間にいらないものをいっぱい抱え込んでしまっているのだろう。
必要のない気遣い。「自分なんて」という劣等感。
他人から見れば魅力なのに、自分だけが感じているコンプレックス。
だれかの役に立たなければ、大切にされないのだという不安。
これらはすべて毒だ。
だけどそういう「いらないもの」を排除していけば、自分にとって本当に必要なものが見えてくる。
きっとこれからも、生きていれば毎日いろんなものを聞き、目にし、口にして、いらないものを新たに抱え込んでしまうこともあるのだろう。
けれどもう大丈夫だ、という確信がある。その時はいらないものを捨てていけばいい。
自分にとってなにが不要で、なにが必要なのか。
私にはもう、わかっているからだ。
 
 
 
 
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2019-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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