山椒の醤油漬けづくりと時間術
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山椒の醤油漬けづくりと時間術
記事:イシザキマキ(ライティング・ゼミ日曜コース)
「山椒は小粒でもピリリと辛い」
小学校の頃、この言葉を国語の教科書で初めて読んだ時、
「そんな人になりたい!」と強く思ったのをとてもよく覚えている。
「ちびぃー」
と言われて、2人の男子につばを顔面に吐き捨てられ、体操服の入った布の袋を水たまりに投げいれられたのは、転校したての小学校2年生ぐらいだったか。悔しくて、そしてそんな嫌がらせをされたのは自分が小さくて弱くてそして性格が悪いせいだと思いこんでいた。だから、
「山椒は小粒でもピリリと辛い」
を聞いた時は、これだ!小さくても、存在感のある人になる。と
たしか、小学校4年生の時に思ったのだった。
結局体は小さいまま少しは図太くなって、ほどほどの存在の大人になった。
この週末、そんな事を思い出しながら青山椒の実からぷちぷち枝を外していた。
300グラムぐらいの山椒の実を水にさらしながら作業する。
ミクロなブドウを房から1つずつ外すような作業、なぜこんなに面倒くさい事をしているのか。
たまたまランチに入った定食屋さんで初めて山椒の醤油漬けを食べておいしかったのだ。ごはんとこれさえあればもう何もいらないと思うほど。
そして100g100円の山椒を見つけたので思わず手を出してしまった。
面倒くさい事は仕事ではない限りできるだけ避けて通りたいのに。
「山椒は小粒でもピリリと辛い」
あ、でもぷちぷちしているだけではこの時間もったいない。
NHKのラジオ英会話1日15分のストリーミングを順番に聞いていく。
頭はリスニングに集中し、手もとはぷちぷちを続ける。そして、ぷちぷちしたそばからレモンの様なさわやかでほのかにスパイシーな香りが広がっていく。
実と枝をきれいに分けられたら、鍋に山椒の実とひたひたの水とおおさじ1の塩入れ中火で7分。部屋中に山椒の爽やかな香りが広がる。ぴりりとする感じではなく、シャキッとする香り。
時計を見ながら洗い物をしつつ、ボールに水をはる。ざるで水を切った山椒を1時間水にさらしあくを取る。そして、クッキングペーパーをひいたお皿の上で半日、しっかり乾かす。
煮沸消毒した粒マスタードなどの空き瓶に山椒をできるだけ詰め込んで、しょうゆを加える。10日間冷蔵庫で保管して出来あがり。
ごはんと食べても、お豆腐にかけても、納豆に混ぜてもうまい。
ウナギのお供にもよいだろう。
500円と2時間の手間暇で美味しい山椒のしょうゆ漬けが瓶に4つと、青山椒の香りに包まれた部屋と英語のリスニングの時間ができた。
そしてふと、この時間の使い方はどうなのだろうか、と思った。梅仕事をよくしていた母や祖母を見て幼心に面倒くさいのになぜするのだろうと思っていた。時間はお金で買えることがある。とくに食に関わることはお金を出せば時間短縮できることが多くある。スーパーやコンビニで買えばいい。外食すればいい。1分でも食にかかる時間を短縮して、1分でも長く仕事し眠る時間を確保できたほうがよいと思っていたこともある。
「山椒は小粒でもピリリと辛い」
今でもそういう人間であればいいなという気持ちは、遠い昔の小学生の頃から変わることはない。でも、食の準備にかける手間暇の時間は時には良いもの。そして2時間かけて作った山椒の醤油漬けは多分半年ぐらいゆっくり楽しめる。目先の時間だけでなく長い目でみて有効なことを見極められるようになったのかもしれない。
山椒の醤油漬けをつくるために用意したもの
青山椒の実 300g
塩 おおさじ1
醤油 適量
煮沸したガラス瓶 4個
時間 2時間
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