ダメ元で突き進んだ私が現役高校生のテニス部コーチになった理由。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:森田周平(ライティング・ゼミ特講)
取引先との商談中、特に夏場は私自身の顔が日焼けで真っ黒な為、
お客さんから「何かスポーツされているんですか?」とたずねられる。
しかも頻繁に。決まっていつもこう答える。「テニスしてるんですよ」
「テニスですかー、このあいだのウインブルドン決勝すごかったですよね、人気ですもんね、そういえば最近日本人の女子選手でも世界ランキング1位になったり……」と、話に食いついてくる方によるお決まりの回答である。
しかし違うのだ。最初にはっきり説明していない私が悪いのだが、テニスはテニスでも硬式テニスではなく「ソフトテニス」なのである。「そうですね、人気ですねー」と返答してこの話を終わりにしたいのだが、どうも腹の虫がおさまらない。
「テニスといってもソフトテニスなんですけどね」
それでもピンと来ない方には、「硬式じゃなくて軟式です。軟式テニスです」
「白いゴムボールの……」とついつい付け加えてしまい世間のソフトテニスに対する存在位置を確認する。
それぐらいの認知度だと認識はしている。
自分自身も中学から大学までの10年間ソフトテニスにひたすら打ち込んできたけれど、
大学卒業後20年以上競技からは離れていたし、ルールが変わっていることも知らなかった。
現在はYoutubeで、たまーに試合動画を観る程度だった。
そんな私が現在ボランティアではあるが、プレーヤーではなく外部コーチとして高校生の指導を行っている。
指導を行うきっかけになったのは、些細な理由で1年半前にさかのぼる。
1年半前、中学校の同窓会で久しぶりに集まった仲間でテニスをしようという話になり、
当時キャプテンだった私が当然のごとく?幹事をつとめることになりテニスコートを予約することになったが、集まれる日に借りることができるテニスコートがない。
困った。市内のコートはどこも空いていない。日を変えるのも今からだと難しいし飲み会だけにするか……その時ふとひらめいた事があった。
以前からツイッターでフォローしているあるフォロワーさんのことだ。
その方は面識がないが、母校の中学、そして母校の高校のソフトテニス部の外部コーチをされていて、毎日熱心にソフトテニスに関することをつぶやいていた。
ダメ元で「自分は母校のOBで、テニスコートを貸してほしい」とその方にDMでメッセージを送ったところ、「ぜひいらしてください」とコメントが帰ってきたので、久しぶりに母校の中学校へお邪魔させてもらえることになった。
私は大学卒業後、就職先は転勤が多い会社だったこと、転職等も経験している為、今まで13回の引越しをしている。
今回20年ぶりに奈良へ戻ってきたこともあり、「やっぱり奈良はいいなぁと」と思いつつ母校が余計に懐かしく感じる。
当時の記憶がよみがえる。テニスコートの位置は変わっていたけど、久しぶりにここでテニスをして、夢中にボールを追いかけていたあの頃を思い出した。
運動不足でボールを打ったおかけで、体力は限界、おまけに猛暑でフラフラ、でもとても楽しかった。
「ぱこーん」というこの打球感。この感じ。良かったなぁ。おかけで今夜は美味しいビールが飲める。
そして今回お世話になった方に御礼をしに行ったところ、びっくりする依頼を受けることになる。
「本日はありがとうございました。ダメ元なんですが、森田さんの母校であるK高校の男子を指導する人がいなくて困っています。一度指導してもらえませんか?」と。
現在母校の高校の外部コーチとしてテニスコートへ足を運んでいる。
土日は時間のある限り参加している、合宿にも参加し、夜のミーティングでは40名程度の学生の前で話をする機会ももらっている。
コーチを引き受けた理由は、こちらがダメ元でお願いしたことに対して快く引き受けてくれたこと、勇気をふりしぼってお願いされたこと、元々いつかはソフトテニスの指導に関わることがしたいという気持ちがあったということ、ソフトテニスが好きであること、自分自身が達成できなかった全国大会出場に関して指導を通じて成し得たいという気持ちがあること。挙げればキリがない。
今回も全国大会出場はできなかった。でも私にもできることがあると認識できた1年だった。
先日引退したキャプテンは半年間ケガでほとんど練習ができず最後の大会に満足の行く結果を残せなかった。試合後彼は1時間ずっと泣いていた。一生懸命やってきたことは必ずこれからの人生に役に立つ。そして彼は大学でもテニスを続けると言ってくれた。
そんな彼の背中を見ながら自分自身の存在意義を確認する。
今年もまた猛暑である。真っ黒に日焼けした理由をたずねられた時に、胸をはって、「ソフトテニス部のコーチやってます!」と言えるのは、もう少し先になりそう。
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