フジロックフェスティバルに、生きているうち一度は行くべきである
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:山谷里緒(ライティング・ゼミ日曜コース)
ここ20年くらいで、一気に「フェス」と呼ばれるイベントが多くなった。
音楽、フード、アート、映画などジャンルは問わず、複数のコンテンツが集まって開催されるイベントの事を総称して「フェス」という言葉をつけて盛り上がっている。
フェスとはフェスティバルの略なので、いわゆる「お祭り」である。
言葉の響きも「イベント」よりは「フェス」の方がお祭り感をイメージで盛り上がるのか、どこもかしこも「●●フェス」のオンパレードだ。
お祭り好きの日本人にとっては馴染むワードだと思うが、ここで一言申し上げたい。
「フェスティバル=お祭り=神事」
本来お祭りとは、人々が願いを込めて神に祈りをささげる神事なのである。
日本で乱立している「フェス」には、神を敬うという古めかしいエッセンスは削ぎ落とされ、非常にお手軽で、良く言えば老若男女誰でも気軽に参加できるライトなものに変化している。
それはそれで、親しみやすく、準備もなく参加しやすいメリットがある。
スマホ一つでなんでもできる現代にはこの形式が受け入れられやすいのは当然の流れだ。
実際まだ小さい子を持つ私には、バッグ一つで参加できるイベントは非常にありがたい。
衛生面で配慮のある空間、行き届いた運営、アクセスの良い立地。これらが備わっていると安心して子連れで参加できる。
しかし、こんな時代になっても相変わらず際立って「神事」だと個人的に思うフェスがフジロックフェスティバルだ。
ご存知の方も多いと思うが、22年前に始まった音楽の国内最大級のフェスティバルである。現在の会場は新潟県苗場の山の中。ステージは大小合わせて15以上もある。
なぜフジロックは「神事」なのか。
私は97年の初回開催から10年以上毎年行っていたので、そう断言できる。
(子どもが産まれてからは、しばらく現地参戦はお休みであるが)
まず、会場の苗場の天気はコロコロ変わる。さっきまで晴れていたかと思えば、突然スコールのような雨が降る。前線が通ったり台風が来たりすると、非常に激しい雨がずっと続く。ステージ間を繋ぐ山道は川のようになるため特に日が落ちると足元がとても悪い。
まさにサバイバルといってもいい。懐中電灯は必須アイテム。
山という自然への畏怖、人間は自然の中で生かされているのだと知る。
「神よ、この降り続く雨を鎮めたまえ……」
こんな風に必死に祈っている。多分みんな。
また、山の中で聞く音楽は格別な空間である。緑や土の匂い、時折吹く涼しい風が頬をかすめる。大音量でも耳が痛くなく、音が森に吸収されて広がっていくかのようにやわらかい。ライブハウスでも、都会の野外ステージでも味わえないこの感動は、人間の五感を豊かに刺激しているからだと思う。大自然の中で踊るのは今でも多くの部族が行っていると思うが、まさにこんな昂揚感があるからではないだろうか。
そして大事なのは、食事。
人気の、ステーキ肉を串に刺した牛串やカレーなどの定番ものの他にも、フジロックでは様々な国の料理が食べられる。
日本で有名なケバブやタイラーメン以外にも各国の珍しい料理の屋台がフードエリアにはずらりと並ぶ。聞いたことのないメニューでもチャレンジしたくなるのが不思議だ。
自然の中で緑に囲まれながら食べる食事はどんなものも美味しくて、苦手だったパクチーやラム肉が大好きになったのもフジロックのおかげだ。
普段の生活がいかに便利で、システム化された枠の中で生きているのかをフジロックでは実感できる。
アスファルトに舗装された道、雨風を凌いだり衣服を交換できる場所、綺麗なトイレ。
それらはこのフェスには用意されていない。でもその環境がより人間としての原始的な部分、視覚、聴覚、味覚、触覚にダイレクトにアクセスしてくるのだ。
だから、例え音楽に興味がなくても、チケット代が高くても(笑)、一度は訪れてみてほしい。
ただ過ごしているだけでもいい。ずっと寝っころがって大きな空を見上げながらお昼寝をするのでもいい。山の中の移動が面倒なら、一つのステージだけと決めてひたすらビールを飲んでいるのもアリ! 楽しみ方が無限で自由なのだ。
守るべきルールもある。
山の神を冒涜しないよう、ゴミはポイ捨てせず、きちんと分別してゴミ箱へ。
雨具や防寒具、日差し対策など自然を侮らずにキチンと準備をしていくこと。
あとはひとりの生身の人間として、体と心を解き放つこと。
これだけ。
今年は台風の影響もあり、豪雨でステージ間の移動や雨対策が大変だったらしい。
でも各ステージ最高の演奏をどのアーティストもしていたと。動画で見るお客さんがみんな最高に楽しそうだった。
開催期間中、家で簡易テントを張りながら、Twitterでタイムラインを追い、Youtubeやラジオで現地の様子を聞きつつ雰囲気だけ味わっていた私は本当にウズウズした。
子どもがもう少し大きくなったらまたあのお祭りに参加するんだ。
フジロックフェスティバルに、生きているうち一度は行くべきである。
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