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行動力がある私が、引きこもる理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:土屋忍(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
もう2日間、家から一歩も出ていない。
こんな日が、ときどき、やってくる。
 
「行動力、あるよね」
どこへでも出かけていく私に、友人たちは口を揃えてこう言う。
 
私自身は、そんな自覚はまったくない。
私はただ、興味のあるイベントやセミナーに足を運んでいる“だけ”だからだ。
おもしろそう! 行ってみたい! だから行く。ただそれだけ。至ってシンプルなのだ。
でも、そのアクションがとれない人もいるんだよと言われても、まったくもってピンとこない。
 
そんな私でも、ときどき、家に引きこもるときがある。
体調が悪いわけでも、ふさぎこんでいるわけでもない。
外出がこわいとか、人に会いたくないとか、そういう理由でもない。
 
面倒くさい。ただそれだけ。
 
そんな日は決まって、食事もおろそかなる。お茶漬けだけとかバナナだけとか。
とにかく、何をするのもおっくうなのだ。
 
自分自身を虐待することを、セルフネグレクトというそうだ。
これってセルフネグレクトかも? そう思った時期もあった。
 
なぜ時折こういう日がやってくるのか。
今までずっと、その謎を解明できずにいた。
 
でも、こうして言語化してみて、気がついた。
 
充電だ。
 
行動力があると言われ、どこへでも出かけていく私。
ワーキングマザーで平日はフルタイム勤務の会社員、休日は働くママ・パパ応援講座やアドラー心理学講座を不定期で開催している。傍目から見れば、パワフルな人と写っているに違いない。
本人にはその自覚はないのだけれど、時間に追われ、タスクに追われていることは確かで、ときどき息切れしてしまう。
一時的に無気力になり、それが「引きこもり」を引き起こしている、という分析結果にたどり着いた。
 
じつは、数年前まで、こうして引きこもることを「悪」ととらえていた。
せっかくのお休みなのに、やらなければならないことがたくさんあるのに、時間を無駄にしている、と自分を責め立て、後悔の念に駆られた。
 
「・・・・・・でも、面倒くさいんだよね」という心の声に耳をふさぎ、ダメなヤツというレッテルを自分で自分に貼っていた。
 
今は、「ま、そんな日もあるよね」「明日からまたがんばればいいよね」と思えるようになった。
なぜ、そう思えるようになったのか。
 
ありのままを受け入れ、不完全な自分にOKを出す。
 
アドラー心理学を学んで、これらが心に浸透して、自分のものになったからだろう。
 
名著「嫌われる勇気」で広く知られるようになったアドラー心理学。困難を克服する活力を与えることを勇気づけと呼び、過去ではなく未来に目を向ける前向きな考え方が支持される理由のひとつだ。
 
その一方で、ありのままを受け入れ、不完全な自分にOKを出す、という姿勢も有している。
 
これはとても大事なことである。
 
こうでなければならない、こうあるべき、という概念に縛られ、自分自身にダメ出しすることは、自分で自分を苦しめるからだ。
 
休日にダラダラ過ごしてはいけない、時間を無駄にしてはならない。
 
体調が悪いのならともかく、病気でもないのに。
せっかくのお休みなのに、一日中家にいるなんて。
ましてや、何もせずぐうたらするなんて、もってのほか。
何かしなければ。
そんな強迫観念にも似た気持ちを抱きつつ、でも何もする気が起きず、ダラダラ過ごしてしまい、翌日は罪悪感でいっぱいになるという悪循環を繰り返していた。
 
でも、アドラー心理学を学んで、この悪循環に陥ることはなくなった。
ありのままを受け入れ、面倒くさいと思う気持ちに耳を傾けることができるようになったからだ。
そして、不完全な自分にOKを出して、自分を否定せず、受け入れることができるようになったからだ。
 
「ダメなヤツ」というレッテルを貼ることをやめ、自分の声に耳を傾けると、
出かけたくないのなら、家にいてもいいんじゃない?
充電が切れたんだよ。たまにはゆっくりしたら?
という心の声が聞こえてくるようになった。
そしてそれに従うことで、これはセルフネグレクトなどではなく、むしろ自分を大切に扱っていることだと自覚できるようになったのだ。
 
自分を大切に扱うことで、罪悪感にさいなまれることなく、堂々と引きこもり、気力と体力を回復して、行動力のある自分を取り戻すことができるようになった。
 
行動力がある私が、引きこもる理由。
それは、自分を大切にしている証拠、なのである。
 
 
 
 
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2019-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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