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論語とスイカ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:図司 貴一 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
昨年の7月21日の土曜日に待望の娘が生まれた。
7月20日金曜日の夜に妻の陣痛が始まり、7月21日土曜日午前3時に生まれた。自分は会社を休むこともなく、出産に立ちあうこともできたし、生まれた瞬間の娘に会うことも出来た。自分と違ってなんと段取りの良い娘なんだと感動していたのがちょうど1年1ヶ月前。早いもので今日でちょうど1歳1ヶ月となりました。時間が過ぎるのは本当に本当に早いと実感する今日この頃。そんな1歳1ヶ月の娘を見ていると、昔、本で読んだ言葉が湧いてきて、しっくりくる。
 
「まことに日に新たに、日々新たに、又日に新たなり」
昨日よりは今日、今日より明日へという意味を毎日、毎日明日に向かって成長している娘が自分に教えてくれている。

生まれた頃は寝ていただけだなたのに、そのうち寝ながら手足をばたつかせ、あーとかウーとか発声出来るようになり、首が安定し、物をつかみ、物をなめるようになり、声を出して笑い、寝返りができるようになり、おすわり、はいはいができるようになり、家の犬を追いかけることもでき、つかまり立ちができるようになり、つたい歩き、たっちまでできるようになった。
 
生まれた頃は母乳を飲み、その後粉ミルク、離乳食を卒業し、普通にご飯やパンも
食べるようになった。いただきます、ごちそうさまもできるようになった。
数えきれないくらい新たにできるようになり、日々別人のよう。

そんな娘は最近、意思も明らかにするようになった。昨日まで好きだったジャガイモを嫌がる、水じゃないタイミングで水をあげるとテーブルを叩いて怒る。「おやじ、今は水じゃないねん。そのままご飯を食べたいねん」と言ってる感じ。
 
そんな日々別人、日に新たな娘が変わらず大好きなものがある。

それはスイカ。スイカを見るだけで両手をあげて喜びだし、満面の笑顔になる。その笑顔を見たい為に朝と晩にスイカを出す。全くあきる様子もなく、嬉しそうに食べている。スイカの食べ方も上達し、昔、志村けんがやっていたような、スイカを固定し、顔を結構なスピードで左右に動かす食べ方をして、大はしゃぎしている。

娘が変わらずスイカが大好きなように、自分にも変わらず好きなものがある。それは論語。
2500年前に孔子の弟子達が孔子の言葉をまとめたもので、512章句から成る。
 
子曰く、「故きを温めて新しきを知る。以て師為る可し」
子曰く、「それ恕か。己の欲せざる所、人に施すことなかれ」などは知られた章句だと思う。

論語は自分なりに解釈すると「自分の心のあり方と人への思いやりの大切さ」をまとめたものだと思う。何をなすかよりどう生きるかを教えてくれている。渋沢栄一も論語をベースに経営を行い、江戸時代の儒学者の伊藤仁斎は論語を宇宙第一の書とも言っている。

そんな有り難い論語にはまったのは5年前。
会社で自分のキャリアに関する一大事があり、やさぐれた心で書店でふと手にとったのが始まり。昔、学校で漢文の授業で習った時は何にも感じなかったのにもかかわらず何故かその時は手に取った。
論語の1句、1句が当時の自分のやさぐれた心を素直な心、前向きな心に変えてくれた。きっと今の生活があるのは論語のおかげとも言える。

それから毎日、論語を読んでも全く飽きず、日々違う解釈が思い浮かび、自分にとっては日々新たな書となっている。そんな論語を娘の心に浸透させたいというのが、今の自分の企み。

スイカのように論語も好きになって欲しい。そんな想いで、娘を湯島聖堂で開催されている子供論語塾に参加させたり、足利学校に連れて行ったり、自宅で論語の読み聞かせをしたりしているが、当然スイカのようには喜んでくれない。そらそうだと思う。
自分も学生の頃、全く論語に興味が持てなかったから。しかも娘はまだ1歳1ヶ月。当たり前だ。完全に自分のエゴ、自己満足。でも意味は今分からなくても良いから娘の心に論語の章句を刻んでおきたい。

なぜならば娘の大好きなスイカには疲労回復と利尿作用の効果があるように、論語には心の疲労回復と心のゴミ出しの効果がある。
娘が大人になって何かやりたいことを見つけた時、人間関係に悩んだ時、壁にぶつかった時、心に染み込んでいた論語が湧き出て自分ひとりで正しい判断ができるように。そして悲しみや怒りや妬みの感情にとらわれないように。

そんな親の企みにはまったく興味なく、論語を読み聞かせても耳を傾けず、日に新たな娘は今日も朝からスイカを食べて、元気に遊び、おしっこでオムツをパンパンにしている。
 
 
 
 
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2019-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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