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「わたし、新しいものに興味ないんです」史学女子あずまのノート~日本神話ラボ体験レポート≪神話に隠された陰謀を垣間見る≫~



こんにちは天狼院書店スタッフの東です。
本屋さんで働き始めて早数ヶ月、毎日くるくると変化する天狼院のペースにもなれてきた今日この頃。
とあるお客様から大変興味深い言葉がこぼれました。

「本は一番新しい版が欲しいんだよね。」

え!そうなんですか?

周りの皆さんからも、

「わかる、わかる」

という反応がちらほら。

初版本の誤字脱字無訂正も歴史が感じられてまた一興と、ホクホクしてしまうのは史学生の性なのでしょうか。
そんな疑問を頭の隅に参加した「天狼院日本神話ラボ」
初回のテーマは「アマテラス」についてでした。

アマテラスと言えば…、
・太陽の神様
・女性
・岩戸の奥に引きこもる
お恥ずかしながら脳内検索の結果出てきたのはこのぐらい。

「こんな初心者で大丈夫かな?」と思いつつ天狼院書店の中へ。
しかし、そこでまず驚いたのはお客さんの多さ!なんと30名近く。
こんなに歴史に興味のある人がいるなんて…!という史学生としての喜びと、平日午前のも関わらずご参加ありがとうございます。というスタッフ的な喜びで、なんだか浮き足立ってしまいます。

そんなわけで私がソワソワしているなか、「天狼院日本神話ラボ」が始まりました。

神話ラボの講師アテア代表大杉さんはこう言います。

「アマテラスの逸話の中で最も有名なものは天岩戸お話だと思います。皆さんご存知ですか?」

私も含め皆さん、なんとなくは、という表情。
先生のお話を要約すると、

「アマテラスにはスサノオという弟神がいて、スサノオは田の畔を壊して溝を埋めたり、御殿に糞を撒き散らしたりする乱暴ものだったそうです。他の神はアマテラスに苦情を言いますが、アマテラスは「きっと考えがあってのことなのだ」とスサノヲをかばいます。
しかし、とうとうスサノオは天女を1人死に至らしめてしまったのです。スサノオの乱暴に耐えかねたアマテラスは、天岩戸に引き篭ってしまいました。太陽神アマテラスのいない世界は闇に包まれ、八百万の神様達はどうにかしてアマテラスを連れ出そうとしました。そして岩戸の前でお祭り騒ぎをしてアマテラスの気を引き、自分がいないのに楽しそうにしている神々を不思議に思ったアマテラスが顔を出した瞬間、彼の神を引きずり出してしまったのです。」

という話だそうです。いつの時代も大変なのは姉ですよね。
しかし、なるほど。
この逸話が有名だからこそ「アマテラス=太陽神」が広く知られているわけですね。

「では、何でこんな御伽噺のようなお話が残されているかと思いますか?」

先生のこの問いかけに頭をひねりました。
そう考えると確かにわからない。
神話といえども降って湧いてくるものでもなし。
しかし、実際にあったお話として残すにはリアリティに欠けるし、加えてきちんと本として残されているからには、誰かが後世に伝えようとしてということで…。
私がうんうんと唸っているなか、続けられた言葉に今度は驚きを隠せませんでした。

いわく、「天岩戸」を含めた神話は、後の逸話などから推定するに「アマテラス=天皇」・「アマテラスが岩戸から出るのを助けた神々=天皇をあがめ助けるもの=日本人」という図式が成り立つようになっており、当時の天皇(つまりは政府)が国民の統治をしやすくするために作られものだったかもしれないというのです。
なるほど、今より神様の存在が重要視されていた古代においてこれほど効果を発揮する正当化戦略はありません。
その後も時代と目的は移り変わっても、戦前の「天壌無窮の神勅」所謂「天皇の神格化」にまで引き継がれていくそうです。

つまりこれは、この「天岩戸」には当時の権力者支配の正当化の意が含まれているかもしれないという陰謀説なのです。

現代に数多く伝承されている日本神話は、ふわふわとした物語なのではなく「誰かが」「何らかの」理由があって作ったものかもしれない。
しかし、陰謀のために神話を作ったのか、もともとあった神様のお話を利用したのかは今となっては誰も知らないお話です。

歴史的観点から見れば、どのような意図・形であっても「残っている」ということに価値があります。
真相は闇の中、しかし教訓としては「何事にも理由(裏)があるという」ことでしょうか。

さて、今回はアマテラスの逸話について詳しくお聞きしましたが、これはまだ氷山の一角。
次回からも先生に、様々な神話をドンドン解きほぐしてことになっております!

以上、本当にあったかもしれない神様のお話。
お付き合いありがとうございました!

なお、私がマネージャーをつとめさせて頂いている「日本神話ラボ」の次回開催は6/26です。

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2014-06-10 | Posted in イベント情報, チーム天狼院, 記事

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