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「M」が地球を救う 〜ブラック・ウィルスに対して抗体を持つ人々〜

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大昔、マルクスが『資本論』でその発生の原因を特定し、「ラットレース」という鮮烈な言葉でロバート・キヨサキがその存在を明確にし、木暮太一が『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』で、その本質を説いた、強力な「ブラック・ウィルス」。

それに感染してしまい甚大な被害が受けている企業を、昨今では、「ブラック企業」と言うらしい。

マスコミや著作によって、その問題が指摘され、企業でも本格的にこのウィルスへの対処法を講じはじめているところもでてきているが、結局は、根本的な解決に及ばないことがほとんどである。

また、「ワークライフ・バランス」や、「時短」などの、免疫療法が様々考案されて来ているが、長らくデフレ不況にあった日本においては、本当に一部の人しか、それが享受できずに、その論旨はもはや、理想論に近かっただろうと思う。

 

ところが、完全にブラック・ウィルスに感染している企業にいて、同僚たちがバタバタとウィルスに倒れていく中、全く平気で仕事をこなしている人々がいる。

それはたとえば、アフリカのある地域において、エイズに感染しても、症状が現れない部族のごとくに、ブラック・ウィルスが、まるで通用しないのである。

それらの人々には、ある共通した性質があることがわかった。

 

「M」なのである。

 

そもそも、ブラック・ウィルスに感染する企業の創業者とは、多くの場合、「ドM」であり、骨身を惜しまず働き続ける。働き続けることが、快楽であり、喜びですらある。危機が到来すると、嬉々として躍動するのも、こういった人々である。

まだ、企業が小さいうちは、創業者の強烈な「M」が回りの社員たちにも、感染して、ブラック・ウィルスに対して、抗体として機能し、ほとんど犠牲者が出ないのである。が、そもそも、創業者の「M」の影響力が及ぶ範囲は限られていて、会社が大きくなり、その恩恵に預かれなくなると、周囲が途端にブラック化してしまうようである。

 

それなので、もしあなたが期せずして「ブラック企業」に入ってしまい、仕事大好きな「ドM」上司に、普通では考えられないほどの量の仕事を押し付けられた時には、こう言い返してやればいい。

 

「できません! 私、あなたみたいにMじゃありませんから!」

 

きっと、上司はぐうの音も出なくなるだろう。

 

ただ、考えても見れば、世の中を切り開いてきたのは、そういった「M」の人々である。

何らかの科学の研究は、やはり、「M」の人が圧倒的に有利であり、地道な忍耐のいる作業を長時間続けるのも厭わない。その結果として、人類の生活を劇的に変えるような発明がもたらされてきた。アントレプレナーの多くが、創業時に寝る間も惜しんで新しいものをつくることに没頭できたのも、「M」としての適性があったからだ。

 

思い起こしてもらえば、すぐに「ああ、そういえば」と思い出されるだろうが、成功者は、マラソンやトライアスロン、登山などが殊の外好きである。

彼らに言わせれば、大義名分として、健康のため、精神鍛錬のため、なぞともっともらしく答えるだろうが、騙されてはいけない。

1キロや2キロはまだしも、42.195キロを走るのは、決して健康的ではないし、高尾山の山歩きぐらいならいいが、高山病にかかってしまうような高所に登ることが、健康的なことだとはどうしても思えない。

 

彼らがそうするのは、やはり、「M」だからである。

 

ただ、「M」だから、と正直いってしまうと、若干回りが引いてしまうし、また、ちょっと格好がつかないから、それぞれ、様々な言い訳をするのだろう。

 

こう考えてくると、ある有名な登山家が、「なぜ、あなたはそうまでして山に登るのですか?」と聞かれた時、とても不可解な答えをしてしまった理由もわかるだろう。

そう質問された時、彼はきっと、ちょっとしたパニックになってしまったのだろうと思う。

 

まさか、本当のことは言えない。でも、それらしいことを言わなければならない。

 

そこで、苦し紛れに出てきた言葉が、この言葉である。

 

「そこに山があるから」

 

よくよく考えてみれば、ひどい言い訳だ。あまりに、ひどい。けれども、あまりにひどいと、一周回って、名言に聞こえてしまうから不思議なものだ。事実、一周回って、落ち着くべきところにキレイに落ち着いてしまった感がある。

しかし、彼は、正直なところ、こう言いたかったに違いない。

 

「M」だから、と。

 

そう考えてみると、成功する人というのは、才能があったから、素敵な出会いがあったから、運が良かったからと、後づけで様々な原因を言われるが、何のことはない、ただ、「M」だったから成功したにすぎないのである・・・。

 

 

なぞと、ちょっと壮大に、自分の「M」っぷりを肯定してみる。


2013-03-08 | Posted in その他

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