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オトナのための中学校数学

11.つぶやき〜三角形〜《オトナのための中学数学〜世のためになっているのか調べてみた〜》


2021/01/11/公開
記事:吉田健介(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
「世の中の全てのものは原子でできている」
 
確か、中学校の理科で出てきたはずだ。原子という言葉。
丸い球体のイラストで表現された原子。教科書や資料集では、分かりやすくシンプルなデザインで原子が描かれていた。
 
確かに、言っていることは分かるが、実は個人的にあまり理解ができていない。
いや、理解はしているが、うまくイメージできないのだ。頭の中で想像できないというか。だって、僕の腕をどんどん近づけて目の前に持ってきたとしても、皺くらいは目視できるが、原子は見えてこない。教科書にあるような丸いものは1つも出てこない。きっと、もっと細かく、もっともっと小さくしないと見えてこないのかもしれないが、そんなことは現実にはできない。そもそもそこが原因だ。見えないんだもの。上手に想像できないわけだ。
 
おそらく、レゴブロックのように、組み立てれているのだろう。原子というブロックで、僕の腕は組み立てられているのだろう。だが、レゴは「レゴだ!」と認識することができる。レゴで作られたものは、ある程度まで近づくと、ブロックのゴツゴツ感が分かる。だが原子は違う。どれだけ拡大しても、どれだけ目の前に近づけたとしても、原子が見えることはない。
 
おそらく、分解して分解して、分解しまっくって細かくしていくと、丸い原子が見えてくるのだろう。「あ、原子だ!」
 
「チョコレートはカカオでできている」
こっちの方がまだ理解できる。カカオの原型は残っていないし、細かくチョコレートを砕いても、カカオが登場することはない。だが、世の中の全てのものは原子でできています、と断言されるよりはいい。うまく頭でイメージすることができる。きっとカカオを細かくしたり、溶かしたりして加工しているのだろうから、チョコレートはカカオでできているんだよ! と自分からも自信を持って言うことができる。
 
おにぎりなんて、超親切だ。
明らかにおにぎりの構成要素を確認することができる。おにぎりを近くで見ると、米粒をすぐ発見できる。米粒1つ1つが集まって、たまに梅干しなんかも含まれたりしながら、おにぎりとして組み立てられていることが理解できる。
「おにぎりは米粒からできている!」
かなり自信を持って、声を大にして叫ぶことができる。誰からも突っ込まれる心配もない。
「本当にそうかよ。嘘じゃないか!?」と野次を飛ばされることもない。
 
CGはどうだろう。
「CGは三角形でできている」
これは少しイメージしづらいかもしれない。厳密には四角形も多く多用されるが、この場合は三角形と捉えてもらっても差し支えはない。
 
CG
コンピュータグラフィクス
 
今やあらゆるところで活用されている。
アニメ、映画、ゲームなど、映像の至る所でCGが使われ、僕自身も「CGだ! 珍しいー!!」なんてことにはならない。かなり生活の中でも身近なものとしてCGは馴染んでいる。
そんなCGも、実は1つ1つが三角形の寄せ集め。
どんどんと拡大していくと、三角形が見えてくる。
おにぎりのように、ちょっと近づいただけで見えるものでもないが、CGによっては目で見ただけで三角形の片鱗、においのようなものを確認することができる。
 
もし色を抜いたらより分かりやすくなるだろう。
まるで何かをぺたぺたと貼り付けたような、パキパキと1枚の折り紙で構成されているような線が見えてくるから。
あの線は、三角形どうしの境界線。三角形が寄せ集まっている証。
どんなCGも三角形の集まりだ。
かっこよくコスチュームを着こなしたゲームキャラもそう。
異世界を表現した映像、木々や霧、動物もそう。
ふわりと風に揺れる髪の毛もそう。その1本1本に至るまで、全て三角形で構成されている。
 
そう、三角形は図形の原子なのだ!
 
おい、そこで「原子」を使うのかよ。まあいいか。語呂もいいし、うまくハマっているからよしとしよう。
 
とにかく「CGは三角形でできている」というのは、うまくイメージできるぞ。
自分の腕が原子からできている、と言われるよりはガッテン! となるな。
 
確か中学校2年生の時に、「180×(n-2)」という公式があった。
あれは図形の内角の和を求めるための公式。
つまり、角度を全部集めると、何度になるかが分かる式だった。
 
あの公式は、三角形をいくつ敷き詰めることができるか、という所がポイントとなっている。
例えば、四角形なら、三角形を2つ入れることができる。180°の三角形が2つ入っているから、360°
五角形なら、3つ三角形が入る。だから「180°×3=540°」というように、三角形の数で考えていく公式だ。

ということは、全ての図形は三角形を敷き詰めることが可能というわけだ。
仮に円であったとしても、極細の三角形を並べた場合、遠くから見ると円に見える。
近づいて近づいて、よーく見ると、円の丸くなっている所がカクカクとしているかもしれないが、離れてみると円だしOK! となるのだろうか…… ちょっと強引か? いやしかし、これをうまく利用したのがCGと考えることもできる。

「世の中の全てのものは三角形からできている」
 
んん…… 試しに言い換えてみたが、これは無理があるな。
僕の体をどんなに小さく切り刻んでも、最終的に三角形になるとは考えづらい。むしろ三角形になったら驚きだ。
 
コーヒーを入れると、いい香りがしたり、ピアノの鍵盤を叩いたら音が鳴るように、原子があるから色々な物が存在し、三角形があるからCGがある。
それくらい気楽に捉えていた方がいいのかもしれない。
 
んん…… ちょっと軽く捉えすぎなのか。専門家に叱られるかな。
まあ、結果には原因がある、ということだろう。
うん、そういうことにしておこう。
 
 
 
 

❏ライタープロフィール
吉田 健介(READING LIFE 編集部公認ライター)

現役の中学校教師。教師が一方的に話をするのではなく、生徒同士が話し合いながら課題を解決していく対話型の授業を行なっている。様々な研究授業で自らの授業を公開。生徒が能動的に学習できるような授業づくりを目指している。

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2021-01-11 | Posted in オトナのための中学校数学

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