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メディアグランプリ

イライラは本音を映す鏡


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉澤香子(ライティング・ゼミ日曜コース )
 
 
「お母さんと話しているとイライラするんだよね!」
私は思わずスマホに向かって叫んでいた。
日曜の夕方のことだった。夕食を作り終えて、さあ食べようというところで実家の母から電話がかかってきた。
心の中ではまたか、とややうんざりした気持ちになった。しかし、何か急ぎの用事かもしれないと思い直して通話ボタンをタッチした。
スマホのスピーカーから流れてきたのは、初めの予想通りどうでも良い話だった。東京にいる兄に会って、今帰ってきたこと。甥っ子たちが元気でやっていたこと。兄の奥さんが忙しそうだったこと。
兄たちがどうでも良いというわけではないが、私も先月彼らに会ったばかりなので近況は知っている。それをわざわざ電話してきてまで言うことか?と疑問に思うのだ。
さらに母の一方的な話は続く。冷めていく夕食を眺ながらイライラしてくる自分がいた。
「で?何か用事あった?」
「いや特にないんだけどね。あんたがどうしてるのかと思って」
「特に先月から変わりないよ」
これ以上長引かせたくなくて、そっけなく言った私の言葉をどうとったのか、今度は父の愚痴が続くのにイライラが増し、思わず冒頭の言葉が口を突いて出てしまったのだ。
言葉と同時に電話を切ったため母の反応はわからなかった。ただ私は声を荒げて大人気なかったなと反省していた。
そんな話をある日先輩にしたところ、イライラするのは自分が我慢しているからだと言われた。思ってもみない言葉に頭の上に はてなマークを浮かべる私に彼は続けた。
「例えば、会社で仕事をサボってばかりいるのにきっちり給料だけもらっている人にいつもイライラしているとする。その人の行動を見張って、あ、またサボってる!と腹を立てているとする」
「いますねえ、そういう人。イライラします」
「でもさ、イライラするということはそれは羨ましいということなんだ。内心は自分も仕事をサボって上手いこと給料をもらいたいと考えている。でも、それをしてはいけないというルールがあるから、我慢している。そうすると、我慢せずにルールを破っている人を見ると腹が立つんだ」
ハッとさせられた。だとすれば わたしは何を我慢しているのだろう。
答えはすぐに出た。 母が私にとっててどうでも良い話をしてくるのにイライラするのは、私がどうでも良い話をするのを我慢しているからということ。 つまり母にもっと話がしたい、話を聞いてもらいたいと思っていたということなのか。
それに気づくと思い当たることがあった。子供の頃に母に何か話す度に、それはやめておきなさい、どうしてそんなことしたの、と否定的なことを言われることが多かったのだ。だから、いつしか自分の話をすることを辞めてしまった。諦めてしまった。
でも、本当はもっと話したかったのだ。
今日あった楽しいことも、辛いことも、腹がたつことも、嬉しかったことも、どうでも良いことでさえ。何でも話したかった。
それを我慢して話さないようにしていたのに、母は我慢せずに私に全て話してくるからイライラしていたのだ。母に原因があると思っていたが、結局は自分の心の問題だったのだ。
自分の本音が見えて、猛烈に恥ずかしくなった。
お母さんに話ができなくて、聞いてもらえなくて拗ねてるなんて小さい子供のようで。良い大人が考えていいことだとは思わなかった。
でも、この気づきをくれた先輩は言っていた。
「我慢していることを見つけたら、それを自分にやって良いよって許可してみなよ。そうしたら、イライラしなくなるよ」
このイライラが解けるならやってみる価値はあるだろう。
ドキドキするけど。
怖いけど。
次に電話がかかってきたら、母の話を遮ってでも自分の話ばっかりしてみようと思う。今日は私の話を聞いてって言ってみようと思う。
さて貴方は普段誰にイライラしているだろうか。
会社の仕事ができない上司?
家事を全然手伝ってくれない夫?
おもちゃを買って欲しいと駄々をこねる子供?
その人たちのどこにイライラするか、わかったら鏡に聞いてみよう。
鏡よ鏡、魔法の鏡。私がイライラする本音はなーに?
 
 
 
 
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2019-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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