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「孤独のグルメ」が7年も続いた理由


 
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篁五郎 「(ライティング・ゼミ平日コース)
 
2018年の10月に、あの男が返ってくる! 人気ドラマシリーズ「孤独のグルメ」が10月からシーズン8が始まることが決定した。僕も大好きで楽しみしているドラマの一つである。
 
「孤独のグルメ」は2012年にひっそりと始まったが、松重豊演じる井之頭五郎の食べっぷりと心の声が評判を呼び、Twitterで視聴者が五郎のセリフを呟くなど徐々に人気が上がっていった。シーズン7の第一話は深夜0時台の放送にも関わらず視聴率5.1%を記録し、2017年と2018年には大晦日の年越しドラマとして放送されテレビ東京の顔となった。もちろん松重豊の出世作であり、それ以降人気俳優として数多くの作品に出演することになったドラマである。しかも、日本以外に海外でもドラマされ、韓国では「Seoul Drama Award 2018」で「The Most Popular Foreign Drama of the Year」を受賞するなど国外でも絶大な人気を誇るにまでなった。
 
しかし、「孤独のグルメ」は最初から順風満帆でスタートしたわけではない。原作コミックは1990年代に連載をしていたが決して人気があったとはいえなかったし、2008年に週刊SPA!で復活した時も不定期連載だったこともあってコミック化も中々できない状態だった。しかもドラマ化の企画書をフジテレビに持ち込んだがボツにされ、テレビ東京の深夜枠でようやく決定。松重も主演のオファーを受けたときは「おっさんが飯食ってるだけのドラマなんて当たるわけがない」と思ったそうだ。それでも引き受けた理由は「初の主演が大外れでも、それは面白い」から引き受けたそうだ。それが今や7年も続き、8シリーズ目にまでなるとは思わなかっただろう。
 
人気が出ないと思われた理由はいろいろとある。テレビドラマというのは徹底的に女性にサービスをした内容がヒットをしてきた。例えば、「ロングバケーション」や「あすなろ白書」といった木村拓哉主演のドラマは主人公の男性を中心にした恋愛模様がストーリーの軸でヒロインとの気持ちのすれ違いにヤキモキしたり、お洒落なな部屋で過ごす美男美女に女性は自分を投影して物語にのめり込んでいった。つまり、恋愛を軸にしたヒーローズジャーニーなのである。乗り越えるべき困難は恋のライバルや仕事、病気などがあるが、最後は主人公を演じるキムタクと相手役の女優さんは結ばれる。時には結ばれた後に障害が出てきて二人で乗り越える場合もある。それが共感を呼んで高視聴率になった。
 
しかし「孤独のグルメ」には一切それがない。個人で輸入貿易商を営む井之頭五郎が都内を中心に各地を回って商談や購入した商品を届けたり、打ち合わせをしたりと様々な仕事をした後に腹が減って食事をして満足して帰るだけだ。どこにも困難な障害もなければ、乗り越えないといけない相手もいない。ストーリーは毎回同じ構成だ。
 
だが、それが人気を呼んだ理由なのだ。「今日は五郎さんは何を食べるのだろう?」「どんな心の声を発するんだろう?」ファンはそれを楽しみにしている。しかも食べている料理がどれも美味しそうで、五郎さんが美味しそうに食べている姿を見ているとこっちも食べたくなる。しかし、自分たちは食べられない。このギャップに悶えてしまう。食べている五郎ささんは実に美味しそうに食べるから余計に食べたくなるのだ。実際に松重さんは、撮影の前日の夜から食事を抜いて空腹の状態で収録に臨んでいるという。だからこそ本当に美味しそうに食べている姿にファンはリアルを感じてこのドラマを「深夜の飯テロ」と呼んでいる。
 
リアルに美味しそうと感じた料理は誰もが食べたくなる。「深夜の飯テロ」を味わったファンは放送後にドラマに登場したお店に向かい、五郎さんと同じメニューを頼み、静かに食事をして帰っていく。それをいつの間にか「聖地巡礼」と呼ばれ、ファンの間で恒例行事になった。それがドラマが終わるまで続くし、終わった後も気に入ったお店に何度も訪ねてまた五郎さんと同じメニューを食するのだ。そこにあるのは安心感で困難ではない。
 
実はその安心感が「孤独のグルメ」がドラマとしてヒットをした理由の一つでもある。金曜の深夜にゆっくりと過ごすのにドキドキやハラハラは必要なく、ゆっくりと過ごしたいという心理から安心感を求めるのだ。それはまるでかつての時代劇のようである。
 
今では、大河ドラマくらいしか時代劇を見なくなったがかつてはテレビドラマで時代劇は一大ジャンルを築いていた。「水戸黄門」や「遠山の金さん」、「大岡越前」といった時代劇がいわゆるゴールデンタイムで放送されていたが、内容は基本的に同じ。「水戸黄門」ならば、黄門様一行が旅に訪れた先で事件に巻き込まれ、正体を隠して事件を捜査して悪代官や悪徳商人の正体を掴んで痛めつけてから印籠を見せて事件を解決。マンネリなのだが、これがお年寄りを中心に受けてきた。マンネリと言われ続けてもテレビ局は定番メニューとして同じ時間帯で放送をしてきた。その安定ぶりは今だとバラエティー番組にはあってもドラマだと「孤独のグルメ」くらいしかない。
 
そうなのだ。「孤独のグルメ」はかつての時代劇のように安定を求めてファンは楽しみにしているのだ。10月からまた「深夜の飯テロ」を喰らって、登場したお店で五郎さんと同じメニューを食べるのが楽しみで仕方ない。
 
 
 
 
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2019-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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