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メディアグランプリ

行き詰まった時にこそ取り入れたい、不便益という考え方


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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MIOKO(ライティング・ゼミ平日コース)
 
私は昔から、効率化、時短、といった言葉が大好きだ。
テレビや雑誌で時短テクなんてキーワードが聞こえたら、チェックせずにはいられないし、家には便利家電が所狭しと並んでいる。
仕事に出ている間、毎日同じ時間にホコリや髪の毛を吸い込んでくれ、さらにその上から床を水拭きまでしてくれるお掃除ロボット。食事が終わると食器洗い乾燥機に食器をセットし、お風呂上がりのタオルは乾燥機付き洗濯機に投げ込み、寝る時には照明を声で操作して消す。買い物も、洋服はZOZOスーツを利用すれば事前に計測してある自分の体にぴったりの洋服をインターネットで購入できるのでウインドウショッピングはずいぶんしていないし、毎日家にはAmazonで買った日用品が届く。
いかに自分が動かずして、タスクを終わらせるか。そのための便利グッズをどんどん購入する。
そんな生活をしていた結果、引っ越して2年足らずのマンションの部屋は、物で溢れかえってしまった。
クローゼットはパンパン! 中に押し込まれた洋服たちは、シワシワのヨレヨレ。バッグもぎゅうぎゅうに押し込まれた結果、型崩れしてきている。
〝これ1枚あれば何通りも着こなせて便利〟と購入したシャツの捜索に、朝の貴重な時間を3分も費やす。
物を手に入れる事で効率化を求めていたはずなのに、これでは本末転倒……。
でも「断捨離しなきゃ」と思うも、何をどう捨てたらいいのか分からない……。
私は便利という大義名分で買ったものの山に埋もれかけていた。
 
そんな時に、久しぶりに会った友人からこんなことを言われた。
「不便を楽しめないなんて、もったいないよ」
彼女は看護師をしており、とにかくハードワーク。休みの日の唯一の楽しみは買い物をする事で、会うたびに最新の流行の洋服を着ていてオシャレだ。
ただ一方で、実家暮らしの部屋は、袋に入ったままの着られていない洋服たちで溢れかえり、彼女自身も自分がどんな服を持っているのかさえ把握できていないという始末。床に積まれた洋服の山から洋服を取り出して着る、というまさに今の私のさらにひどいバージョンだった。
 
しかし久しぶりに会った彼女は、以前と見るからに印象が変わっている。
柄物や派手な色が多かった洋服は、白シャツに濃いブルーのデニムでこざっぱりしている。でも決して地味ではなく、差し色にしたスカーフやバッグがピリリと効いており、むしろ以前よりも洗練されている。心なしか肌もキレイになったような……。
 
そんな彼女から出てきたのが、先ほどのセリフである。
「実は、親に部屋を片付けろって迫られて……。今まで買った洋服たちを一気に処分したの。残ったのは特に気に入っていた14、5枚だけ」
「いずれ買い足そうと思っていたんだけど、無いなら無いなりに、1枚の洋服を小物で足し算をして何通りも着こなしを考えてたら、前よりオシャレが楽しくなったの」
 
確かに、旅行には荷物を軽くするために洋服はわずかしか持って行かないが、その分スカーフや帽子といった小物で印象を変えてオシャレを楽しんだり、ちょっとした寒さなら上着を持って行かずストールで代用したり。旅行前にそんな組み合わせを考えてパッキングするのみひとつの楽しみだったりする。無い不便が楽しみに変わっているのだ。
 
〝不便益〟という言葉があるそうだ。
京都大学で情報学の研究をされている川上浩司教授の理論で、不便益とは「不便だからこそ得られる利益」のことをいうのだそう。
たとえば、小学校の時の遠足を思い出してほしい。
「お菓子は300円分まで(バナナはお菓子に入りません!)」といった制限があるからこそ、お菓子を選ぶ楽しみが生まれ、それが遠足の醍醐味になっているということはなかっただろうか。
さらに高齢者施設を階段や段差が多いつくりや、廊下に手すりのないつくりにするなど、あえてバリアフリーに逆行する施設を高齢者に使わせることで老化を防止するという考え方もこの発想だ。
住んでいる最寄駅が各駅停車しか止まらないという不便も、この理論に当てはめてしまえば、急行の止まる一駅分歩く事でカロリーを消費できるという利益になる。
 
クリックひとつで簡単に物が手に入る時代。それだ新しい物を家に迎え入れるハードルは低くなっている。
安いから、便利だから、今欲しいから……すぐに購入ボタンをクリック。
でもその前に、ひと呼吸置いて。
それは本当に必要?
もしかして、これが無い不便で手に入る利益もあるんじゃ無いの?
そんな問いかけをしてくれる小さな審査機関を頭の中に設けてみてはどうだろうか。
私はまず不便を楽しむべく、クローゼットの整理から始めることにしよう。
 
 
 
 
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2019-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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