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おもしろき こともなく話を おもしろく


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記事:根岸哲史(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
校長先生の話はどうしてつまらないんだろう……
 
そう思ったことはないだろうか。
小学校、中学校、高校を卒業して、社会人になった後でも
 
上司の話はどうしてつまらないんだろう
社長の話は……
 
とエンドレスに繰り返される苦行。
 
そして、自分もいつか「つまらない話」を部下や子どもにしてしまうのではないかと、不安に駆られたことはないだろうか。
 
トーストマスターズクラブという人前でスピーチをすることを学ぶ大人のクラブ活動がある。私はその活動を2年半ほど続けている。クラブの先輩には舌を巻くほど話が巧みで、ついつい聞きこんでしまう話をする人もいれば、いつまでたってもつまらない話ばかりを繰り返す人もいる。
 
2年半もやっていると、つまらなさの仕組みが徐々にわかってくる。
 
聞いていてつまらない話と感じるとき、その話は、まず間違いなく、自分にとって「どうでもいい」と感じる話である。聞いても聞かなくてもどっちでもいい。だから、つまらない。つまるところ、つまらない話ばかりする人は、聞く人にとって「どうでもいい」話しかしない人だということだ。
 
反対に、まるで自分のことのように感じられる話、明日の自分にかかわるような話、そういう話は聞きたくなくなって聞いてしまう。自分にとって「どうでもよくない」のだ。これは自分の話だと思えること。それを人は「共感」と呼ぶ。
 
つまらない話とは共感できない話である。自分事として聞けないから共感できない。反対に共感してしまう話をつまらないと感じることはありえない。では、どうすれば共感してもらえるのか。
 
ここでひとつケーススタディをしてみたい。日常からほど遠く自分事とは感じられない話題を、どのように語れば共感をしてもらえるのか。
 
たとえば「世界平和」について。
 
戦争と平和の話題は夏休み間近の校長先生の話としては鉄板の話題だ。「日本はかつて戦争をして~」「世界にはいまだたくさんの紛争があり~」「平和の大切さを~」と言っていることはもっともなのに、まったく他人事にしか聞こえない。響かない話題の鉄板でもある。
 
平和に反対する人はまずいない。間違いなく正しい。でも、教科書から切り出してきたような話、どこかのニュースでしていた話を、もっともらしく話されても、聞く人の心には響かない。それはどこまでも誰か他人の話。「三人称」の話でしかないのだ。見も知らない誰かの話に共感することは難しい。
 
そのかわり、「これは実際に私が祖父から聞いた話なのですが」と切り出してみれば、同じ戦争の話でも、ぐっと共感を引く。それは、今目の前にいる人の経験が生に響く話だからだ。人が共感できるのは「私」の経験した一人称の話なのだ。
 
次に大事なことは、明確なメッセージをもつこと。いくら自分自身の経験の話をしても、そのラストメッセージが「平和は大切ですね」「戦争はしてはいけません」というようなフワッとしたものでは、とたんに話への興味は失せてしまう。これも、どこの誰でも言えるような三人称のメッセージでしかない。
 
メッセージは、他の誰でもない、いま目の前にいる「私」が伝えるものであり、そして、聞き手に明確な行動を促すものであるほうがよい。「戦争を経験した方が生きている間に、本人の話を聞いておきましょう」とか、「戦争を伝える報道番組をこの夏に一つは見てみましょう」とか、「私」がしてほしい行動を、具体的にすればするほど、聞く人が自分にできることとして聞いてくれる。自分にもできることであればあるほど、自分ごとにしやすい。共感しやすいのだ。
 
「できること」を選ぶのは大事だ。
 
たとえば、「私のお会いした人は、幼いころから世界の戦争に関心をもち、高校ではひとりアメリカに渡って難民の方々と交流して、大学生になったいまは世界平和を実現するためのNGOを立ちあげて、世界中で活躍しています。この人のようになりましょう」などと言われても、「え、ムリ」というのが素直な反応だろう。
 
話に箔をつけるために有名人のエピソードを引く人は少なくない。イチロー選手とか羽生名人とかスティーブ・ジョブズとか。でも、それは、そんな天才しかできないことだと思われてしまえば、共感を得ることは難しい。誰もが認める有名人の話をするときは、その大きさをしっかりと噛み砕いて、聞き手に受け取れるサイズに落としておかないと、誰も受け取れない。
 
しかし、はじめに一人称の視点から話を始めること、具体的にしてほしい行動をメッセージにこめること、それを、受け取りやすいサイズで伝えること、それさえできれば、話を最後まで聞いてもらえる可能性は十分に高くなる。
 
最後にひとつだけ。ウケは狙わないことだ。ジョークやユーモアで笑いをとるのは非常に高等な技術だ。政治家や有名人の失言が炎上するとき、だいたいここで失敗している。たとえ共感できる話でもウケを狙ってすべった瞬間、一気につまらなくなる。すべるというのは共感を一気に根こそぎに失うことなのだ。そんなリスクを取るくらいなら自分の思いを飾り気なく伝えたほうがいい。自分事の話を丁寧に伝えようとすれば、笑いはなくても、聞き手に想いは伝わるはずだ。
 
だから、次に聞く側にまわることがあったときには、ひとつだけお願いしたいことがある。相手の真剣な話を「マジメか」と茶化すことだけは辞めてあげてほしいのだ。
 
 
 
 
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2019-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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