私が「凪のお暇」にハマる理由
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記事:YUKA(ライティング・ゼミ平日コース)
私は元来ドラマが好きだが、今クールで最も楽しみにしているドラマが「凪のお暇」である。放送中のドラマの中で満足度1位にも選ばれ、話題のドラマだ。
放送のある金曜日の夜が楽しみで、見終わった後はすぐにもう一度録画を観て、次の日も、その次の日も、次の金曜日まで何回も見てしまうほどである。
いったい何がそんなに魅力なんだろうか?
なぜもう一度観たいと思ってしまうのだろうか?
それは、「キュンとする瞬間」を味わいたいからだと思う。
「キュンとする」瞬間とは? それについて解説していきたい。
「凪のお暇」は、黒木華さん演じる28歳の大島凪がヒロインのドラマ。
凪はその場の空気を読み、親にも同僚にも彼氏にも嫌われないよう本音を出さずに過ごしてきたが、彼氏にひどいことを言われたことをきっかけに過呼吸で倒れ、家も仕事もSNSもすべてリセットし、古いアパートで新しい生活を始める。そこでのアパートの住人との交流、新しい恋、元カレとの交流などを経て、自分らしさを取り戻していく…。というお話である。
このドラマの魅力はそれぞれの登場人物が個性的で魅力的であることなのだが、特にヒロイン凪をとりまく正反対の二人の男性が魅力的だ。
高橋一生さん演じるモラハラ元彼氏の我聞慎二と、中村倫也さん演じる引越し先のアパートの隣人、安良城ゴン。
元彼慎二は凪の前ではいつも凪を否定するようなモラハラ発言ばかりしてしまい、凪にフラれてしまうが、実は凪のことが大好きで、本人の前以外では凪を思って号泣してばかり。ドラマでも毎回この号泣シーンが話題だ。
もう一方の男である安良城ゴンは、メンヘラ製造機というあだ名もあるほどの生粋の人たらし。相手の欲しい言葉、して欲しいことが自然とわかり、次々に相手を魅了し、依存させてしまうという人物。始めは凪もその魅力にやられてメンヘラ女と化してしまうが、このままではいけないと凪から別れを告げる。しかし、凪から別れを告げられてから、ゴンは凪への恋心を自覚し、初めての恋に、その思いを持て余す。
この二人の男性、そして、ヒロインの何がそんなにキュンとさせるのか?
私は考え、そして気付いた。
このメイン登場人物3人の共通点、それは「周りの空気に合わせて生きていること」なのだが、彼らはそれをすることで、人に嫌われないようにし、好かれようとし、カッコつけてバカにされないように自分を守ってきた。
だがしかし。
ドラマを見ていて、キュンとするのはその自分を守ろうとする「空気を読んだ仮面」がはがれる瞬間なのである。
つまりは本人にとっては「カッコ悪くて見せたくない部分」を見てしまったときに観ている者はキュンとする。
空気を読んで周りと合わせてきた凪が、不器用ながらも一生懸命自分の思いを出していこうとがんばっている姿。そして、周りに合わせよう合わせそうとしていたことで、実は周りの人の背景や思いを見ていなかったことに気づき、ようやく人と本当に関われるようになってきた。自分の本音を出す怖さとたたかい、失敗しながらも本当の自分になろうとする。
相手の求める空気を提供し、外から見れば完璧だけど、好きな女性の前では素直になれずにもがく小学生男子のような慎二。
物語終盤になってやっと、少しずつ、彼女に素直な思いを出そうと葛藤する姿はたまらず応援したくなる。
多くの女性を魅了し、ダークサイドに引きずり込んできたけれど、初めての恋心にどうしていいかとまどい苦しむゴン。本当に好きになる前は簡単にできていた相手へのアプローチが出来なくなり、初めて本気になる覚悟をする。
そういう、本人にとっては「出すのが怖い本当の自分」「カッコ悪い自分」「魅力とは思えないようなところ」が魅力に映り、視聴者をハマらせる。
頭ではわかっているのに上手くできない。人にはおかしく見られるかもしれない。でも、自分の気持ちはないものにはしたくない。
誰しもがあるそんな気持ちを登場人物に投影させ、キュンとし、勇気をもらうのかもしれない。
不器用で、人間的魅力にあふれた登場人物たちが今後どうなっていくのか、今週末のドラマの最終回を観るのが楽しみである。
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