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元永愛菜(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「それ、へんじゃない?」は、大学院で幾度となく飛び交った一文だ。私が通った大学院は、留学生の多い校風で、英語で取り組まなければならない課題も多かったし、話す機会も多かった。そこでは、日本の校則であったり、就職活動の仕組みといった日本独自の、ガラパゴスと呼ばれるような制度がよく話題に登る。特に、リクルートスーツ姿は彼らにとって本当に不思議に映るようで、どうして皆何も言われないのに同じ恰好ができるのか、と何度も聞かれた。
日本は新卒一括採用で、時期が決まっていて一斉にスタートする。アジアでもこの方法は珍しい。そもそも、大学卒業したかたと言って就職が約束されているわけでもない。台湾では、卒業した後一年間くらいはアルバイトをしつつ、採用の告知があれば、都度応募をするというスタイルだそうだ。
また、インターンが必須ではないもの珍しい。大体は、どこの企業もインターン募集しており、そこに参加した生徒の中から採用をしていく。だから大学生は即戦力となるべく学問に課題に、研究に取り組むのだ。
そういう意味では、機会が平等に与えられる日本の就活制度が必ずしも悪いわけではないだろう。しかし、2020年度から、ついにこの制度も終わりを迎える。時期を固定せず、各々の行動力に任せられる時代がやってくる。
 
さて、そんな時代を目前に控えているあなたに、ちょっとだけ伝えてみたい事がある。文系の大学院進学についてだ。
 
とかく、文系の大学院生とは下に見られがちだ。就職失敗したから大学院にいくんだななんていう印象を抱かれる。ネットスラングでは、文系大学院生の事を揶揄して「入院した。」なんていったりする。理系でもないのに大学院まで進学したのはなぜですか、と私自身、就職活動の面接で聞かれた。
このように認識される理由としては、文系の大学で学んでいることが分かりやすく実学、実際に何かを生み出したりするような、技術に結びつかないケースが多いからだろう。しかし、思想なき経済は悪、という有名な一文にあるように、ただ何かを発展させることが必ずしも幸福に結びつかない。文系の大学院進学は、決して現実からの逃げの選択肢ではない。
 
そのうえで、どう大学院生活を送ればよいのか。まずは、絶対的な主軸を決めることだ。
2年という期間は短い。学部の様に幅広く知識を身につけていると、卒業後、何も深堀できていなかったということになりかねない。軸足を見つけてその部分について深堀をした方がよい。
大学4年間は、いわば武器屋さんで武器を選んでいる段階だ。どんな武器があって、どんな場合に強みを発揮するのか、その武器そのものの特徴を、大学教授という専門会に教えてもらう。大学院に進む頃には、その中から自分と相性の良い一本を見つけ、そいつの扱いを徹底的に学んでいく方がよい。
もちろん、幅広く様々なことを学んでいく中で、書類をまとめたり、基本的な分析をしたりする、根底的なスペックは上がっていくかもしれない。だが、残念ながら、その根底スペックは社会人の1年分と同じだったりするから、そこを大学院で徹底し過ぎないようにした方がいい。主軸の中で学んでいくことをお勧めする。
次に、実践フィールドを持つことだ。武器の知識を身につけただけで実践したことがなければ、本当の意味で武器が自分のものになったとは言えない。大学院の外でも中でもかまわないので実際に手を動かし、足を使うフィールドを1つもった方がよい。これは、必ずしも専門分野と関連していなくてもいい。ただ、疑問に思ったことや、やってみたい事があった時に実践出来る場所を1つもっておくことで、戦い方、知識の使い方を覚えることができる。
そうやって過ごした2年間があれば、就職活動の自己PR欄に書くことに困ったり、バイトリーダーやサークルの副会長の経験ばかりしゃべることにはならないだろう。大学院生なのだ、堂々と自分の専門分野を語り、挑戦してみたきっかけと結果を語ればいい。
そして、この軸とフィールドのイメージがつかないようであれば文系の大学院進学は慎重になったほうがいい。
 
かく言う私は、フィールドばかりを増やし過ぎ、主軸となる専門分野が弱いまま卒業してしまった。専門性の低さはそのまま、報告書やレポート作成の完成度にも反映される。訓練の機会が少なかったからだ。それは、大学院にも行ってたのに、この程度なの?というあからさま評価にも苦しむことになるのは事前に言っておきたい。院に行けばやはり、これくらいはできるよね、のハードルは上がることはある程度覚悟した方がいいだろう。
 
もちろん、就職のために大学に行くためでも、大学院に行くわけでもない。だから、大学院の進学が就職に不利になるかもしれないから、であるなら迷う必要はない。自分が期待値に届かなくて落ちたならともかく、文系大学院生だからなんて理由で落とす企業には用はない。全ての選択肢は自分が満足できるかどうかで決めた方がいい。
 
知識は武器、その実践が大学院という場所だ。この夏、進路に迷う文系諸君、就職という選択肢にとらわれず、己がもっている武器をもう一度見つめて見てもらいたい。
 
 
 
 
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2019-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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