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猿以下の男「いつかやろうはバカ野郎!」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:清水佳哉(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「清水さん、辞めちゃうんですかっ!?」
 
会社を辞める選択肢を選んだときに、仲間たちからそう声をかけられた。
 
私を知る人たちの中で、特に、私のことをよく見てくれていた人たちには、とても驚かれた。
まさかあの清水が、「その会社を辞める」などという選択肢を選ぶとは、まったく予想できなかったらしい。
 
しかし同時に、安堵の表情と共に、「おめでとう!」とも言われた。
 
私がやってきたことと、私のやりたいこと、その乖離がどんどんと大きくなってきていて、もうどうにもならなくなっていた。
 
いや、正確に言うと、明確な「やりたいこと」を見つけるより以前に、「やりたくないことをやり続ける状況」が、あまりにも長く続きすぎた。
 
私は、自分のことを営業マンだと思って生きていた。
 
しかし、実際に行っていたのは、主に、過去に納品したシステムの障害対応や、誰かのサポートであった。
 
私の業務範囲は多岐にわたり、営業だけではなく、障害対応も、支店の構成員への教育や、支店そのものの運営も含まれていたが、その全てを上手にやりきることは、難しかった。
 
例えばお客様からのトラブルコールを受けるたび、本来の、「営業マン」としての私の時間は削られていった。
 
年々、「やりたいこと」というよりも、「やらなければならないこと」が増えていった。
 
仕事の優先順位を整理するための手法として、重要度と緊急度の2つの要素、さらにそれぞれの高い低いを組み合わせて、4つのマトリックスに当てはめてみる考え方がある。
 
重要度の高い低い、緊急度の高い低いそれをかけ合わせる。
当然、重要度が高く、緊急度も高いポジションの該当項目が優先される。
 
お客様への障害対応が優先されるのは、避けられないことではあった。
 
とはいえ、それにばかり追われてしまうと、自分の在り方を見失う。
私という人間は疲弊し、前向きな気持は失せて、遠ざかって行った。
 
とにかく疲れ切っていた。
24時間年中無休の客先、医療機関相手の仕事は待ったなしだ。
 
追う仕事と追われる仕事は違う。
 
「今やっていること」は、「本当に自分がやりたいこと」だったのか?
 
そうは思えなかった。
 
仕事はやりがいがあり、働くことは大好きだった。
それでも、心と身体が追いつかなくなった。
 
「やりたいこと」は分からない。
 
でも、「このままここで働き続けたら、自滅してしまう」それは目に見えていた。
たとえ誰も気がつかなくても、私自身がはっきりと確信していた。
 
冒頭のセリフ。それなりの役割を得て、業務をこなす姿から、私が会社を辞める姿を想像することはむずかしかったらしい。
「私がお客様を支えている」「私が会社を支えている」そんな傲慢な気持ちは持ち合わせてはいなかったが、「頑張って支えようとしている」ことだけは、周りの人たちが感じ取ってくれていたようだ。
 
しかしながら、がむしゃらに役割をこなそうとする姿を見て、「あの人、このままでは潰れるだろうな」、そう思った人も多かったらしい。
 
人事のプロが言った。
「あのな、いいことを教えてやる。猿でもな、他の木に移るときには、次の木に手をかけて、しっかり掴んでから、元の木の手を離すんだぞ」
 
「とにかく会社を辞める!」ということを最大優先において、会社という木から手を離した私の行動は、「猿以下」だっただろう。
 
次の木なんて見えていない。それでも、もとの木から手を離して思い切り飛び立った!
 
その猿の例ならば、私は地面に叩きつけられるかもしれない。
 
運良く次の木に飛び移ることが出来るのだろうか? もしくは墜落してしまうのか?
 
確かにそうではあるのだが……、もし仮に、元の木が燃えていたとするならば?
あるいは自分の命に限りがあると気づいてしまったら?
 
あなたならどうします?
 
そのままでは燃え尽きる!
そう感じたら、やはり一目散に手を離すのではないだろうか?
 
自分の身を守るため。
自分の夢を叶えるため。
 
どちらでも構わない。
 
ツバメの話というものがある。
「5羽のツバメが巣立とうとする時、まずその中の1羽が飛び立とうとしました。さて? 残りは何羽?」というもの。
 
答えは、「5羽」
 
「飛び立とうとしただけ」では何も変わらない。
 
チャンスを伺っているだけでは、夢はつかめない。
まずは飛び立つこと。
 
じっと待っていても、向こうからチャンスはやってこない。
 
いつかやろうと思っていても、見える景色は変わらない。
 
「いつかやろうはバカ野郎!」だ。
 
一緒に飛ぼう!
 
地面に叩きつけられるかもしれない!?
 
いいじゃないか。
たとえそうだったとしても。
 
あのウォルト・ディズニーも言った。
「停滞は衰退」
 
同じ木にしがみついて同じ景色を見る日々をやめる。
それだけで、「違う景色」を見ることが出来る。
 
次の木に手をかけることもなく、宙に飛んだ私はその後どうなったのかって?
 
急速に地面が目の前に迫り、墜落の恐怖を味わった。
 
毎月必ず振り込まれる給料がなくなり、個別の支払いは増えた。
 
新たな収入は安定せず、地面に叩きつけられるのは時間の問題だった。
 
それでも、私は半笑いしていた。
 
本当は恐怖なんて感じていなかった。
自ら鎖を引きちぎり、空を飛ぶ自由を感じていた。
 
このまま地に墜ちるのか?
一気に翼を広げて突然急上昇するのか?
 
自分自身が楽しみで仕方ない。
 
同じ恐怖と同じ楽しみを味わう仲間を募集している。
 
飛べるのか? 私は?
 
答えはもうすぐ出る。
 
それでも、問題を先送りせず、会社を辞める選択をした自分自身を褒めてあげたい。
 
自分の気持ちを大切にすること。
自分の想いを形にすること。
 
「いつやるの?」
「今でしょ!」
 
あなたも是非、こちら側へ。
 
 
 
 
***
 
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2019-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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