今日の自分は何歳だ?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:鵜木重幸(ライティング・ゼミ日曜コース)
「失礼ですが、おいくつですか?」
初めて参加する懇親会で、私は、良くこんな質問を受ける。
私の答えはいつもこれだ。
「え〜っと、……」
実は、とっさに答えられないのである。
私は50歳を過ぎたおっさんだ。
最近は、様々なコミュニティに積極的に参加している。
それまでは、会社一筋。
プライベートでも付き合う人は皆、会社関係の人たちであった。
定年後を見据えたセカンドライフを考えた時、
「もっと会社以外の景色も見てみたい」
と思ったのが、コミュニティに参加し始めたきっかけである。
多くのコミュニティでは、会員さんたちの親睦を深めるため、メインイベント終了後に懇親会が開催される。
中にはこちらの方を楽しみにしてくる会員もいる。
実は、私もその一人だ。
なにせ、今までの会社人生ではお目にかかれなかった人種? の人たちの話は刺激が多い。
「ほぉ」、「へぇ」、「なるほど」
と初めて聞く話は、脳の未使用部分を刺激してくれる。
知的好奇心が大いに掻き立てられるのである。
初対面同士ではあるが、同じ興味で集まったメンバーたち。
最初はぎこちないが、お酒が入れば無礼講。
年齢、性別関係なし。 場が盛り上がり、打ち解けた雰囲気になる。
だいたいそんなタイミングで聞かれる。
「あの〜、失礼ですが、おいくつですか?」
お酒も入った事だし、そろそろ聞いてもいいかな?
と相手は思うのだろう。
まぁ、私の年齢はそれだけ興味のある事のようだ。
だが、いつも即答できない。
何も加齢の影響で、記憶が怪しくなってきているからでは無い。
年齢を隠したいからでも無い。
私の年齢は都度変化しているからだ。
私は普段の行動で、相手の年齢や性別を気にすることが無い。
コミュニティで学ぶ際も、重要なのは自分の興味。
講師が、おっさんである自分よりも若かろうと、女性であろうと、場を選択する上で重要ではない。
師は年上である、という先入観がないのである。
そんな感覚なので、若い人たちが多く集まるコミュニティ、女性講師で女性が多く集まるコミュニティにも、テーマに興味があれば積極的に参加している。
そんな状況なので、他のメンバーから見れば、多少違和感があるのであろう。
こちらは自分が見えてないので、何の違和感もないのだが……
ある時、女性講師に言われた。
「おじさんたちは、講師が女性ということで来ないんです
更に相手が年下となると、絶対に来ません
それなのに、来ている貴方は、珍しい、貴重な存在です」
一応、褒め言葉だったらしい……
人はいつから、師は先輩、年上の人という先入観が植え付けられたのだろうか?
年下や若い人から学ぶことに、違和感を感じるのは何故だろうか?
それは、幼児の頃から続く「先生」の存在が原因かも知れない。
私の例で振り返ってみると先生というのは……
幼稚園 若く綺麗な女性の先生
小学校 若く綺麗な女性の先生
中年の怖いおばさん
中年小太りの大人しいおばさん
中学校 怖いおっさん
高校 怖いおっさん
大学 おじいちゃんと気難しいお兄さん
と皆さん年上の人たちである。
自分が若いのである意味当然だが……
皆さんも似たり寄ったりで、20年近くにも及んだ習慣おおかげで、師は年上という先入観を植え付けられたのではないか。
ところが、私には、師は年上である、という先入観が全くない。
というか、自分自身の方に年齢の感覚が全く無い。
幼年時に見た若くて綺麗な先生は、おっさんになった今でも先生である。
おばさん、おっさん、おじいちゃん、お兄さんといろんなタイプの先生にお世話になった。
自分の実年齢はシフトしているが、先生たちの前ではその時々の年齢で固定されている。
そんな感覚が、年齢や性別にこだわらない根底にあるかも知れない。
更に、私は、相手によって年齢を変化させる特技がある。
全く知らない場であれば、目の前の人マイナス10歳
ちょっと教える立場かなと思えば、目の前の人プラス10歳
同レベルで共に学ぶ仲間かなと思えば、目の前の人と同じ年齢
こんな感じで、勝手に自分に年齢を操作しているのである。
自分より先に進んでいる人を素直に師とする。
そこには、利点が一杯だ。
既にその道を進んでいる人は、いろんなことを知っている。
「このルートより、あっちのルートの方が早くゴールへ到達できるよ」
「あそこには、障害物があるから気をつけなよ」
「この先、必ず問題が起こるから慌てないこと」 などなど
行く先の道に標識をつけてくれているのである。
この標識のおかげで、私は安心して全力疾走することが出来る。
更には、師が目の前に存在すると、自分が目標達成した状態を、具体的に映像でイメージできる。
この錯覚は、超重要である。
イメージ出来ないことは実現しない。
イメージがやる気を掻き立てるのである。
自分の興味の赴くままに、様々なコミュニティに参加した。
多くの人と出会い、知的刺激を受け、人生がますます楽しくなってきた。
さて、今日の出会いは私を何歳にするのかな?
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