反応力で2割増し
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:オノミチコ(ライティング・ゼミ日曜コース)
「反応がいいから、どんどん話したくなっちゃいますね」
ある講座に参加したときのこと。
講師であるY先生は、いつもは簡単にすませるというエピソードをいささか詳しく話してから、笑顔でそう言った。
大成功だ。
私は教室の最前列で、ある人から教わった秘策をひたすらに実践していた。
冒頭の「どんどん話したくなっちゃう」を引き出すために。
「講演やセミナーに参加するとき、ちょっと得するポイントがあるんだよ」
それを教えてくれたのが、Y先生だった。
通信制高校の校長をつとめるかたわら、カウンセリングやセミナー、研修で全国を飛び回っている心理学のエキスパートだ。
先生いわく、このポイントをつかむと講師や登壇者のパワーが2割増しになるらしい。
パワーが2割増しになれば、当然のことながら内容もパワーアップする。
同じ金額や時間を払うなら、講師のパワーも内容も、ちょっとでもおまけがついたほうがお得というわけだ。
話し手は、聞き手の反応に影響を受けながら話をしている。
目の前の相手が無表情だったり、目が合わなかったりすると、「つまらないのかな」「話を聞きたくないのかな」と思ってしまう。
逆に、うなずいたり、表情が変わったり、楽しそうにあいづちを打ってくれたりしたら、「自分の話を聞いてくれている」「もっと話したい」と思う。
先日のランチタイム。
同僚は眉間にしわを寄せてスマートフォンをいじっていた。
私が話しかけても、返ってくるのはタイミングがずれた気のない返事。
何か面倒な連絡が入ったのかもしれないし、あまりごきげんがよくなかったのかもしれない。もしかしたら体調がよくなかったのかもしれない。
それは私にはわからないけれど、なんとなく拒絶されている気がして、それとなく話を終わらせた。
そのあとの食事の味はあまり覚えていない。
一般的に、人の話を聴くときには、適度な相槌やうなずきが大切だとされる。
「あなたの話を聞いていますよ」という、相手に安心して話してもらうためのメッセージであり、最近よく耳にする「傾聴」のノウハウでも紹介されることが多いポイントだ。
さらに、表情やアイコンタクトで相手の話をうながし、自分の気持ちを相手に伝え返しながら、コミュニケーションを深めていく。
これらを意識している場合もあれば、そうでない場合もあるが、一方向ではなく、双方向からのかかわりがあって、はじめてコミュニケーションは成立する。
講演でもセミナーでも、たとえ客席に100人以上の人がいたとしても、話している人と受け手のコミュニケーションであることは変わらない。
しかし、講師と受講生、あるいは登壇者と聴講者、という関係になってしまうと、それが「コミュニケーション」であることを忘れがちだ。
話す側と聞く側が1対1ではないと、聞く側はつい、相手と向き合うときの緊張感を忘れて、「自分ひとりくらいはいいだろう」と反応をさぼってしまう。
その結果、どうなるか。
話し手は、右を向いても左を向いても、無反応の聴衆に囲まれる。
興味をどれくらい持ってくれているのか、わからない。
どんなことをおもしろいと感じてくれるのか、わからない。
私は反応のない同僚に話し続けるのがつらくなってランチタイムのおしゃべりを早々に切り上げてしまったけれど、そうはいかない。
そこで効果を発揮するのが、Y先生の秘策だ。
「ひな壇芸人になったつもりで、話し手を後押しする」
ひとりでも応援してくれる人がいれば、がんばれる。
反応が見えるだけで、自信になる。
話し手がもっと話したくなるように、その応援を伝えるのだ。
目の前に相手がいれば、ちょっとした表情やアイコンタクトが相手に届く。
しかし、距離がある場合はそうはいかない。届かない。
人混みで話をするときは声を大きくしないと聞こえないのと同じで、リアクションを大きくしないと相手には見えない。
そこでお手本になるのが、バラエティ番組でよく見かける「ひな壇芸人」だ。
彼らはカメラに拾ってもらえるように大げさにアピールしながら、その場を盛り上げる。
小さく頷いているだけでは埋もれてしまうから、進行を妨げないようにしながら、遠くから見てもわかるくらい自分の気持ちを表面に出す。
それを、カメラではなく、話し手の目に留まるようにアレンジするのだ。
まだ場があたたまっていない序盤は特に丁寧に反応をする。
話すほうは多少なりとも緊張しているし、聞くほうもどちらかというと身構えている。
ここで相手の言葉ひとつひとつに、少し大げさなくらいの反応をする。
笑ったり驚いたりといった動きのある反応をすると、無表情で静かな海のなかで目立って話し手にも気づいてもらいやすい。
客席でひな壇芸人応援団、あなたもやってみませんか。
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