遠くの誰かを、想うこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:本間佳奈子(ライティング・ゼミ日曜コース)
赤ペン先生が好きでした。
えっ、もしかして、赤ペン先生を知りませんか?
問題を解いて答案を郵送すると、答え合わせして添削して、コメントつきで返してくれる、小中学生向けの通信講座の先生のことを、赤ペン先生と呼びます。
私は小学1年生から高校生になるまで、赤ペン先生の通信講座を受けていました。低学年のうちは、同じように通信講座をやっている同級生がたくさんいましたが、だんだんと塾通いに鞍替えするひとが増えていき、受験生になってからも赤ペン先生を続けていた私は少数派でした。
通信講座は、向き不向きがあります。答案を送れば添削してもらえますが、それ以外の時間は家で一人で勉強することになります。わからなかったり怠けたり、色々な理由で宿題を溜め込んでしまって、それきりになってしまった……という話をよく聞きます。
いっぽう私は、「塾に行かないの?」と聞かれることもありつつ、通信講座を続けました。楽しそうに塾に通う同級生たちが羨ましいこともありましたが、自分のペースで進められて気楽でいいやと思って、赤ペン先生を続けました。
それに私は、赤ペン先生のコメントを通して得られる「遠くどこかに、私のことを思ってくれている誰かがいる」という感覚が好きでした。
赤ペン先生の添削は、単純な〇×だけではなく、コメントもつきます。良い点数ができたときは花丸とともに「よくできたね!」という賞賛のコメント、うまくいかないときは「ここはXXしてみましょう」というアドバイス。そんなコメントを読むたび「直接会うことはできなくても、私のことを応援してくれる人がこの世界に存在しているんだ」と感じて、私は元気を貰いました。
ところで、大人になった今の私は、多国籍企業の日本支社で働いています。
ちょっと珍しいのは、日本担当が私一人ということです。所属部署には10人ほどいますが、上司や同僚は別の国にいて、色々な国を見ています。部署のなかで日本にいるのは、私だけ。同僚と顔を合わせる機会はめったにありません。
しかしメールやウェブシステムを通して、会議したり、困ったことについて解決策を話し合ったり、対面ではありませんが「一緒に」働いています。ただ、直接会う機会が少ないだけ。
はっきり言って、向き不向きがある環境です。たまに、友人に聞かれます。
「飲み会とかないの?」
「ほぼ0。でもネットがあればどこでも働けていいよ」
「じゃあ出社してもしなくてもいいの?」
「日本オフィスがあるから、そこに出社する。行かなくても上司にはバレないかも」
「報連相はどうするの?」
「上司とSkypeで週1回話すので、そのときに。きめ細やかな連絡や相談は難しいかも」
「寂しくないの?」
「うーん……」
職場に行っても上司や同僚と顔を合わせられないのは、たまに寂しく感じます。でも、別の国に仲間がいるという感覚はけっこう楽しいです。ちょっと遠距離恋愛みたいかも。遠く離れていても相談できたり、「こうすればいいんじゃない?」とアドバイスを貰えて嬉しい……
そう、まるで赤ペン先生みたいな感覚です。
でも、仕事でインターネットを使う人は、私ほど極端じゃなくても、誰しも「赤ペン先生みたいな感覚」があるのではないでしょうか? YouTubeを使ってリアルタイムに講義を通信受講して、SNSで文章を送ってフィードバックを得て、一人の時間で自分の作品をブラッシュアップして……
そう、天狼院ライティング・ゼミは、まさに赤ペン先生です。もちろん、天狼院書店で受講すれば仲間がたくさんいます。それは大きな利点ですが、課題をオンライン提出してフィードバックをもらう……という一連の流れは、「遠くどこかに、私のことを思ってくれている誰かがいる」という赤ペン先生感覚そのものです。
ということは、ライティング・ゼミも、向き不向きがあるのかもしれません。たくさんの人が、色々な理由で課題を提出できなくて、それきりになってしまっているかもしれません。
でも、そんなときは思い出してみましょう。「この世界のどこかに、あなたのことを思ってくれている誰かがいる」ということを。
ライティング・ゼミだけでなく、仕事やその他の活動でも、そう思ってみるといいかもしれません。何かに向けて努力しているあなたからの発信を、待っている誰かがいる。それは文章かも、プレゼン資料かも、表計算ソフトかもしれませんが、あながた作ったものは全て、あなたの「作品」。あなたの作品を待ち望んでいる誰かがこの世界のどこかにいる! ……そう思い込んでみませんか?
作品を作り出すのは、時として苦しい。ネタが浮かばない、浮かんだけどうまく形にできない、うまく形にできたと思ったけれど見直すとイマイチ……。あきらめてパソコンの電源を落としてしまいたい衝動に駆られることもあるでしょう。
でも、ちゃんと完成させて発信すれば、誰かが読んでくれます。そしてうまくいけば、その人からフィードバックを貰えるでしょう。花丸の賞賛だったら嬉しいですね、でもそうじゃなくても良いじゃないですか、アドバイスしてもらえるのも貴重なことです。
そう、これは提案です。直接会うことはできなくても、赤ペン先生のような「誰か」が世界のどこかにいて、あなたの作品を待っている……パソコンの前でくじけそうになったら、そういうふうに信じてください。私たちは、その「誰か」に伝えたいことを、その「誰か」が読みやすいような形で、うまく作り出すことに集中すればいいんです。
そうすれば、きっとライティング・ゼミの掲載審査も通るようになるはず……ですよね!?
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